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映画の感想を言い合う会へ〜精神0を観て〜

もうだいぶ経ってしまったけど、書いたのに上げずにいた記事です。

↑この続き。

なんで今、書きかけの記事を改めて書き足して公開しようと思ったかというと、先日監督にお会いしたからなんです。


「精神0 オンラインシネマファンミーティング」に参加してきました。

大阪に住んでる時は足繁く通った、大好きなナナゲイさん主催で。オンライン上で、映画の感想を言い合うwith監督とプロデューサーという、想像もつかないけど心惹かれすぎるイベントの告知を見て、悩む間もなく参加ボタンを押し(てしまい)ました。

よく考えたら、そもそも他人に映画の感想言うだけでも恥ずかしいというのに、知らない方ばっかりの中、監督に直接感想を伝えるなんて。そんなことが私に出来るのか?やっぱりキャンセルすべきなのではないか。。。と、5億回くらい逡巡したけど、「もう最悪無理やったら、黙って聞いといたらいいんや」と、自分を励まして、100年分くらいの勇気を振り絞ってzoomを開きました。

結果、めちゃくちゃ参加して良かったーーーーーーーー。
案の定、自分の感想を言う番には声がブルブル震えて酸欠になりそうやったけど、監督はじめとした皆さんがウンウンと聴いてくださり、そして皆さんの感想もとても深い洞察と示唆に富んだ話で、結果自分でも驚く程よー話してたわ。そして最後には「時間足りねー」ってくらいのやつで。

というわけで(どういうわけ?)、以下、精神0の感想記事の続きです。


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私にとっては、この映画の前作となる08年の「精神」が、映画の内容以上にパンチのある、思い出深い経験となった映画だったんです。

その当時付き合いたての彼氏(現在:夫)と一緒に十三のナナゲイで観たんですが、彼が途中でギブアップして退席した上に、映画が終わってから合流した時、「なんでこの映画選んだの??もう意味がわからん!!」とやたら不機嫌で。。。その日は早々に解散。美味しいお店がいっぱいある十三なのにね。涙

濃い内容の映画やったからしょうがないか、と思ったけど、「サブカル映画を一緒に観られる彼氏が欲しいー」みたいなキラキラな未来を望んでいた当時の私にとって、あぁ、もうこの人とは、自分が好きな映画は観れないんだ。。。と、絶望すらしたあの日。(でも、当時知人にその話をしたら、付き合いたての映画デートで「精神」を選ぶなんて、私の方がどうかしてると言われました。とほほ。)

実際その後、夫となってからも映画を一緒に観るということはほとんどありません。子供と一緒にピクサー、ドラえもん映画くらい。

夫は、相撲と寅さんとドリフとドカベンとサザンが好きな男。好みが全然違うから仕方ない。
でも、好みが違って何も問題ないどころか、むしろそれで良かったよ!と、当時の私には熱烈に伝えたいけどね。
今回「精神0」を観るにあたって、夫とあの時の話をしたら、めっちゃ気まずそうにしていて。自分の中の何かに触れた気がすると言っていました。

そんなわけで、映画の感想はすっ飛んでしまったのに、

・待合室のソファに寝転がって、色の濃い飲み物を飲んでいる娘さん。そのソファのすぐ横に微動だにせず正座している痩せたお母さん。
・子育てが苦しく虐待して亡くなってしまった子供の話や、幻聴が聴こえるから公園で生活している話を淡々と話す女性。
・先生が月給10万円しかもらってないから、かろうじてやっていけてると話す医院のスタッフさん。
・庭の木。猫。

そんなシーンの印象が強くて、「あの映画ってなんだったんだろ?」ってふと思い出すことがありました。

その後、子供が産まれたり転勤したりでなかなかミニシアターに行く余裕も無く過ごしてたんで、あれ以来、想田監督の作品には触れることがなく過ごしてきたんですが。
今年に入って、Amazonプライムで「港町」を発見して。
あの!あの、あの「精神」の監督やないかい!!と、私にとっては大興奮の再会でした。

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港町がまたとても美しくって、しばらーく余韻に浸りました。

それで、想田監督の映画について調べたら、ドキュメンタリー映画じゃなくて「観察映画」なんだと書いてました。
監督のいう「観察映画」は、最初からテーマや展開を決めずに、目の前の人や状況をただただ注意深く見て、撮る。その素材を編集しながら、その時感じとったことを浮かび上がらせていく映画なんだそうです。

名称未設定のアートワーク 2


最初は軽く世間話をしてたのに、ふと、お互いの大事な話になる瞬間ってあるじゃないですか?
あの時の、グッと聴く姿勢になる集中力、それが監督の映画を観てる時に発動されます。

だから入ってくる情報量が多くて、観終わった後に感情の余韻と、気づきの余韻がいつまでも続くんです。

その時の、自分の感性がイキイキと働き始める感覚。心の中にある言葉や物語を見つけにいくような美しい時間。
新鮮な魚を前にした板前さんってこんな感じなんじゃないかな??ちゃうか笑
とにかくワクワクして、自分の心の探求が始まります。


その後、改めて「精神」を観ました。
10年前に観た時は、一言でいうと重い感じ。孤独とかやるせなさとか、物悲しさとかを感じていたような気がしたけど。
今回観たら、むしろ生きる力強さみたいなものを感じて、心がポカポカしました。映ってる方の勇気を考えたら、敬意しかなかったなぁ。

昔の辛い出来事を淡々と話す女性の話を聞いていると、黄昏時の泣き止まない産まれたての娘を抱いていた、あの2人っきりの部屋を思い出して、深い共感が湧きました。10年前には分からなかったことやから。わたしの中の時の流れが感じられるって、これまたいい映画です。

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そんなわけで先日は、撮影の時の話や、映ってない所の話も聞けて贅沢な時間でした。
何より、柏木プロデューサーの想田監督へのツッコミがめっちゃおもろかった!「そんなドラマティックなもんじゃないよ」的な。柏木プロデューサーは現実派、想田監督はちょっとメルヘンなんかなぁ、家でもそーいうやり取りがめっちゃ行われていそうな気がしましたよ。
そして想田監督は柏木プロデューサーの声が入ったシーンをカットせずに入れてて、そんなところがこのご夫婦の「A love  story」だったりもして、おもろいわ。


密に作ってるお二人ですら違った見方をされているくらいやから、参加されてた周りの方の感想を聞いていても、皆さんそれぞれの視点で独自に観察されていて、それがとても個性豊かで、興味深かったぁ。
当たり前だけど、同じものを見てもみんな違う感じ方をしてるねんもんなぁ。
観た人と語り合いたい映画っていいね。語り合って知らなかった視点を知れる映画っていいね。


自分の意見や感想を言うことに極端に緊張してしまうタチなのを自覚しつつ、参加して良かったー。言えるってすごい。言っていい場ってすごい。
勇気出してよかった、人生深まった気がしますわ。そんな一日でした。

ナナゲイさんやっぱ好きやわ。大阪戻ったらまた通おう。
想田監督、柏木プロデューサー、そしてご参加の皆様ありがとうございました。

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