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”問題設定って難しい!”気になるマーケの手法:試してみる⑨ <松竹梅効果2021>

このマガジン、久しぶりの投稿です。大学の授業が始まったので、また学生アンケートを使った検証をしてみます。今年も2年生のマーケティングの授業<価格>で、松竹梅効果を検証してみました。今年の問題設定は次の通り。

松竹梅問題

実は、昨年の結果から、少し問題設定を変化させています。松竹梅効果を分かりやすく見せるためには、2水準の方でいかに並(梅)を選ばせるかにかかっているわけです。そこに3水準で特上(松)が登場し、上(竹)が選ばれるという寸法。昨年の結果を見ると、

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2水準でも結構、上を選ぶ比率が高かったことが分かります。そこで、今回は、上の価格を1,680円に設定してみました。場面設定としての「東京旅行、浅草の老舗鰻屋に行った」はそのまま継続(普段にすると、貧乏学生たちは価格志向に走ってしまうだろうと予測)することにしました。果たして、その結果ですが、、、

松竹梅2021

なんと、残念! 微妙な結果に。まず、2水準のグループで42%の人が「上鰻丼」を頼んでしまいました。3水準では、「並」が50%を下回って、「上」「特上」が増加ということで、一応、松竹梅効果ってこんな感じだよって、苦しい説明でごまかしました笑。

「上」価格を上げたにもかかわらず、です。おそらく、コロナ自粛下で、旅行設定、浅草老舗設定が、せっかく感、限定感を大きく演出しすぎてしまい、損失回避効果が働いたのでは?と考察しています。

人間は、利益が手に入る可能性のある場面では「利益が手に入らない」ことを、損失の可能性がある場面では「損失すること」を回避しようとする傾向を持ちます。このような人の性質を説明しているのがプロスペクト理論(損失回避性)です。https://service.plan-b.co.jp/blog/marketing/6665/

学生君たちの、「遊びに行きたい」「体験したい」「何かしたい」そんな切ない胸のうちを覗いた気持ちにもなりました。それにしても、○○効果を体験してもらうことを目的にやったアンケートですが、問題設定って本当に難しい、それこそ、学生の心理をしっかり見ないとだめだなと感じた授業でした。

補足ながら、今期の「マーケティング」授業は基本オンデマンド動画配信でやっており、今回の<価格編>は特別ライブ配信授業をトライしてみました。zoomで200名以上の学生の顔を見ながら、やったものの、学生数が多すぎて質問や意見を出してくれる人はおらず、私的には録画と変わらんなと思っておりましたが、授業後の感想(Teams課題で送られてくる)を読むと、「朝一の時間にしっかり起きて受けた」「みんなと一緒に授業を受けてる実感を感じた」「その場のアンケートがすぐ結果が見れて面白かった」などのリアルタイムの面白さを伝えてくれる感想も多くありました。まあ、たまにはライブもやった方がいいかな、と思わせてくれました。


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