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WF-1000XM5 所感など

 こんばんは。Sagishiです。

 今回は、WF-1000XM5の所感などを書いていこうと思います。M4から切り替えたので、感想を雑多に書いていきます。


1.ハードウェア

良い点

①軽量化・小型化
 かなり軽く、耳への負担が少ないです。想像していたよりこの恩恵は大きいと感じます。

②イヤーピースのフィルター
 ひとによっては不評のようですが、筐体内部のメンテナンスが億劫・大変だったので、改善されていると思います。

③取り出しやすさ
 以前よりケースから取り出しやすくなっていると感じます。 

悪い点

①ケースに収納しにくい
 イヤホンをカチッとケースに収納しにくいです。取り出すときは良いのですが、ケース充電部に広めの空間があるので、うまく収納できない感じがあります。

②耳への収まりがやや悪い/外れやすい
 耳への収まりがやや定まらない感じです。ポジションを直す回数が増えました。きちっと嵌まるように押し込む必要があります。あとたぶん側面がツルツルしているからというのもあるかなと思いますが、耳から外れやすくなっていると思います。

 ツルツル面じたいには何も思わないのですが、耳との接地面はもう少し摩擦力のある素材のほうが良かったかなと。


2.機能・接続性

良い点

①システム切替アナウンスの廃止
 M4にあった「Bluetooth接続しました/Bluetooth切断しました」というアナウンスが無くなったのが非常に良いです。M5ではただのシステム音になりました。会議などで使っているときに、マルチポイントを解除するとアナウンスされるのが不快でした。アナウンス中は、音量が下がって相手の声が聞こえなくなるので。

 ノイキャン/外音切替時の動作音も「ポン!」という軽い音に。ただ、わたしは正直システム切替音さえ不要なひとなので、オプションで無しにさせてほしいなと思います。

②接続感度の向上
 接続感度が向上している感触があります。M4のときは何度接続しようとしても全然接続されないことがたびたびありました。特に、アプリからの接続はほぼうまくいった経験がなく、何度もケースに出し入れして接続させていました。けど、M5はちゃんとアプリから接続できます。

悪い点

①コマンドのカスタマイズ性
 コマンドのカスタマイズ性が以前から変わらず弱いです。片耳だけ装着することも結構多いので、片側だけで「ノイキャン変更」と「再生・停止」を同時にやれないのが不便です。正直ここはもう少し頑張ってほしいなと思います。

②タッチセンサー感応(ワイドエリアタップ実装なし)
 タッチセンサーが反応しなくなる(再接続しないと復活しない)ことが多々あります。これはM4のときもそうでしたが、例えば濡れた手で筐体を触ったあとなどに反応がなくなることがあるように思います。筐体をタッチしなくてもいいように、ワイドエリアタップを実装してほしかったです。

接続安定性の低下
 これ結構問題だと思うんですが、以前より接続安定性が悪くなっています。人混みのなかで接続が不安定になる回数が明らかにかなり増えました。M4は人混みでも不安定になることはほとんどなかったのですが、M5はしょっちゅうプツプツと切れます。干渉されているのだと思います。

 また、接続端末から距離を置くと、M4は家の外にいても音声が流れていたのに、M5は隣の部屋にいっただけで音声が途絶えます。これは結構痛い。

 仕事の会議中でも外に出れたのに(おい、出るな)いまは接続が切れるので机から離れられません。かなり不便です。


3.ノイキャン/外音機能

良い点

①ノイキャンオフバグが軽減
外部の高音(レジの音など)に曝露した時に、ノイキャンがオフになるバグ・事象がやや起きにくくなっています。正直、このバグがM4最悪の仕様(何度問合せをしても、何度筐体を交換しても起き続けていた問題)で、ユーザー体験を最悪なものにしていたので、これが少しでも改善されているのは大きいです。だが、正直起きるのじたいなくしてほしい。

②外音モードの自然化
 より外音が自然に聞き取りやすくなりました。M4の外音モードは正直微妙で、いちいち機体を耳から外さないと他人の声が適切に聞こえなかったので、これは良いと思います。

③ノイキャン強化
 低~中域の処理がさらに強力になっています。今までは多少聞こえたような音が聞こえません。個人的には、高音をもう少し抑止してほしいですが、やはり技術的に難しいのでしょうね。

悪い点

①ノイキャンの自然さの微減
 ノイキャンが強力になった分、自然さがやや低下してます。高圧時のような、耳への圧迫感があります。ノイキャン「強/自然」と設定を分けれても良いのかもと思います。

②独特な風切音
 風切音抑止モードが無くなりました。常時風切音抑止モードということなのか、よく分かりませんが、おそらく新しい細粒穴マイクに自信があるのだと思います。実際素晴らしい技術ですが、ゆえにM5の風切音は独特です。ちょっと粒状というか、そういう聞こえ方をします。微妙に気になるので、可能ならもう少し風切音を抑止するモードを実装してほしい気もします。

4.音質

4-1.音場・傾向

 大前提として、モニター寄りなサウンドではないです。

 中域からやや下よりの音(400~1,200hzあたり)が全体的にダイナミックに広がりがあり、強めに出ます。それより低い帯域の音も強調的です。

 しかし、どっしりとした感じではなく、全体的・空間的に持ち上げられるような、ややぼんやりと、浮遊感のある音場になっています。より好意的にいえば、若干ライブサウンドっぽく聴こえます。ここがモニター的でない、WF-1000XM5独特の特徴といえます。

 上記の特徴もあり、ボーカルの周囲にある音が主役になる傾向で、ボーカルじたいは若干埋もれるような感じがあります。

 また、いちぶの高音は鋭く、エッジが効いた音になる印象があります。特に、 エレクトロニカ系統の楽曲は相性が良いように思います。

 具体的には、『Pipo Password』とか『空音サイレンサ』とかは相性が良く感じます。空間性が強化されても違和感のないような楽曲だと、楽曲のもつパワーがより引き出されます。ボーカルや生音感に強みのある楽曲だと、若干相性が悪いかもしれません。

 全体的にバランスには優れておらず、演出的です。リスニングに特化されている音場・傾向になっているといえます。


4-2.解像度・定位感

 各音の粒立ちが、WF-1000XM4からかなり良くなっています。また定位感も向上しています。M4では聴こえなかった音がかなりはっきり聴こえるようになっていますし、より適切な位置で音が鳴るようになっています。

 ただ、有線のモニターヘッドホンと比較すると聴こえない、曖昧になり、抽象的に処理されていると感じる音は多いです。これはまぁ仕方ないですね。

 また、それぞれの音も原音に忠実かというとそうではないです。楽器の音が美しく鳴る、それを正確に味わうことができるかといえば、そうではない。若干の脚色が入った音になっています。

 解像度・定位感は良くなっているが、原音忠実ではなくリスニング寄りなところが、WF-1000XM5のちょっと奇妙なバランス感覚といえます。


4-3.DSEEについて

 M5のDSEEを有効にすると、音像や音場、定位感など、音楽のバランスが崩れることがあります。よりモニター傾向のある音を志向するかたは、DSEEを無効化したほうが良いのではないかと思います。

 ただ、DSEEじたいはM4よりは良くなっていると感じます。M4のDSEEは、そもそも音質そのものが劣化する印象があったので、基本無効化していました。

 M5は音質劣化するような印象は無くなりましたが、音楽のバランス感覚に違和感を覚えます。DSEEを使うと、元の音楽の設計や設計意図を捉えることができなくなる可能性があります。割と問題です。

 ヘッドホンであるWH-1000XM4のDSEEでは、上記のような問題を感じたことがない、むしろ好意的な効果があると感じるので、WFシリーズのイヤホンに固有の問題だと思います。


5 バグ・謎の挙動

①ノイキャンオフバグ
 前述しましたが、M4から継続して「ノイキャンオフバグ」が起きます。このバグの発生条件は、音楽を聴いていない状態で、「ノイキャン」あるいは「外音モード」にしているとき、高音に暴露すると発生します。

 特にレジの「ピッ」という音に弱い印象があります。何度もSONYに問合せをしましたが、結局バグとして認定されずに終わっています。M4を3台くらい交換してもらっても起き、M5でも起きているので、もはや仕様だと思っています。

②片側装着時の強制外音モード
 イヤホンを片側だけ装着している状態だと、強制的に外音モードになります。…いやいや、何でやねん。M4も片側装着時に変になるというか、そういう感じの挙動はあったけど、M5は片側装着時には必ず外音モードになる。これどうなの? 正直片側のイヤホンを外してもノイキャンのまま動作してほしいのですが。
→仕様でした。下記を参照。
https://helpguide.sony.net/mdr/2963/v1/ja/contents/TP1000778401.html

③特定の状況でのマルチポイントの接続断
 まだちょっと条件が分かっていないのですが、特定の状況で、マルチポイントを使っていると、音声を流していない側の端末の接続がダウンします。

 おそらくですが、アプリ接続側ではない端末をメインに使用していて、アプリ接続側の端末に音声が流れない状況が10分程度続くと、アプリ接続側の接続がダウンする気がします。

④装着が甘い状態で口を開けるとノイキャンが弱くなる
 これはM4もそうだったのですが、ちゃんと正しく耳に接着できていない状態で、口を大きく開けるとノイキャンが弱くなります(外音モードっぽくなる)。正直、謎の挙動ですが、口を大きく開けてもノイキャンが弱くなったと感じない場合は、正しく耳に装着されているという確認ができますね。…これはしょうもな情報すぎる。

⑤握ると共鳴音がする
 これもしょうもな情報ですが、M4のときから、イヤホンを手のひらで握ると「ヒュー」という共鳴音が鳴ります。おそらくはマイクのハウリングに似た現象かと思われますが、ほぼ仕様なので気にしなくて良いでしょう。


まとめ

 総合的には、M4より良くなっていると思います。特に軽量化・小型化が素晴らしいです。

 音質は、わたしはもっとモニターライクなサウンドのほうが好みなので、そこは違いましたが、普段使いとしては申し分ない製品だと思います。

 接続安定性が気になるところですが、アップデートで改善されることを期待します。

詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/