ジャンガリアンハムスターの病気(心不全)について
この記事は、2歳半以上の高齢のジャンガリアンハムスターにとっては避けられない病気のひとつである、心不全についての記事です。
1 心不全の病態
心不全は、いくつか種別がありますが、主に左心室が弱くなるために起きる病状です。
左心室は、肺から来た血液を体内への送る役割を持っています。左心室が弱くなると、心臓から体内へと送られる血液量が減少します。しかし、肺から心臓に送られてくる血液はそのままなので、時間が経つと肺が血液で溢れて、呼吸困難を引き起こします。
こうなると、身体は拍動を増やして送る血液量を確保しようとするので、頻脈が起こり、呼吸は異様に速くなります。さらに悪化すると常に身体が揺れるように呼吸をするようになります。これが心不全です。
ハムスターの病状を、わたしたち人間が気づくのはかなり難しいです。結果的にハムスターがかなり悪い状態になってから対応することになる可能性もあります。
参考程度ですが、下記のような観点は注意項目になると思います。
つい先月までいつも通り回し車を回していたのに、突然歩くのもやっとな状態になってしまう。心不全は、崖を駆け下りるように悪くなります。あっという間にハムスターの命を刈り取ってくる、本当に恐ろしい病気です。
2 治療/投薬
残念ですが、心不全になったハムスターは、基本的に完治することはないと思ってください。これは人間も同じで、心不全は治らない病気です。
できることは、ストレスのかかるような環境を取り除き、安静にしてあげること、好きな食べ物をあげること。あるいは投薬をして、肺の水分を取り除いて心臓の動きをサポートする、少しだけ楽をさせてあげる、くらいです。
投薬するためには、動物病院に行く必要がありますが、病弱なハムスターを外出させることは極度にリスクが高いです。温度管理も適切にできない。別の生き物の臭いや鳴き声で充満している。動物病院はハムスターには優しくない環境です。
ハムスターのことをよく分かっていない獣医もいます。高齢のハムスターの扱いを間違えるとその場で亡くなってしまうリスクもあるので、そこをしっかり理解しておきましょう。病弱なハムスターにとっては、直接触れることすら大きなリスクになります。可能なら視診だけをしてもらい、薬をもらう判断も必要です。
幸運なことに、わたしが診ていただいた動物病院の獣医さんは、ハムスターに触れるリスクをよく理解しており、一切触れることなく、視診で投薬を決めてくれました。感謝しています。
処方薬は、ピモベンダン(強心剤)、フロセミド(利尿剤)、メトクロプラミド(整腸剤)の混合薬を処方してもらいました。
3 投薬の効果
ただ正直、この投薬にどれぐらいの効果があったのか、わたしには分かりませんでした。
投薬開始してから2週間のあいだで、今日は良い状態だ、という風に思える日も何日かありましたが、心不全の悪化のスピードを止めることまでは、残念ながらできなかったです。
投薬することは、気持ちです。わたしはそう思います。厳しい現実ですが、小動物にとって病気が目に見える状態まで来たとき、投薬で対処できるのは限定的です。良くなってほしいという、強い気持ちを持っているひとは、信頼できる動物病院があるのなら、そう思います。
ただ投薬よりも、力を入れるべきは食事などの環境面にあると思います。
4 病食
心不全の状態が明白になってから、もちおも食事が進まない状態になりました。ただ、それでも毎日3g程度の食事を与えることはできていました。
何をやっていたか、書いていきます。
4-1 まとめて食事ができなくなる
病弱になると、一度に多くの食事ができなくなります。
健康な状態のジャンガリアンハムスターは、3gのペレットを一度に頬袋に突っ込んで、自分の好きなタイミングでポリポリ食べますが、高齢・病弱になるとまず硬いペレットが食べられないです。
なので、何らかの工夫が必要になります。事実、もちおは硬いままのペレットは食べれなかったですし、一度に0.1~0.7gずつしか、口にしてくれなくなりました。
食事ができないと、体重が減って一気に体力が落下していきます。食事をどうやって食べてもらうかは、投薬よりも腐心すべきところです。
結論わたしは、もちおが食べたいという気持ちを持っているときに0.1~0.7gずつ食事を与える、ということを1日に何度も繰り返しました。深夜でも目がさめて、とにかく自分が起きているときには、もちおの様子を見て、食べれそうな様子なら食事を与える、それを1日に10回以上、繰り返しました。
給水塔の水も1日に3~6回ほど交換し、食事量と飲んだ水分量、そして体重を細かく記録しました。どうしても下降傾向になりましたが、2周間ほどは、なんとか体重をキープできたのではと思います。
4-2 粉末状にしたペレットとミックス
具体的にどんな食事をあげていたかというと、ずっと食べていたペレットを、すり鉢とすりこぎ棒で粉末にして、ここに乾燥キャベツあるいはにぼしを同じく粉末にして、ミックスしてあげていました。
ペレットを乾燥キャベツやにぼしと合わせて粉末状にすると、結構食べてくれるのです。ただ、にぼしを与えることは過剰栄養になるので、本当は良くありませんが……病食としては採用できると思います。
また、一緒に乾燥ブロッコリーや乾燥チンゲンサイ、あとブロッコリースプラウト、乾燥豆腐を出しましたが、よく食べてくれました。
4-3 ピューレ
4/12には、いよいよ食事の量が減り状態が悪くなったので、ピューレをあげるようにしました。
『国産野菜 無添加ピューレ』が、品質的にも安全だと思います。もっと早く使っておけばと思うくらいには、効果的に食べてくれました。ただ水分量をどれくらい飲めているのかは分からなくなりました。ここが難しいところです、心不全なので、過度に水分を取ることは負荷になりますので。
あと投薬の際には、『エナジーバイト』と薬を混ぜてあげていました。これは非常に効果的で、薬を嫌がることなく舐めてくれるので、このやり方は非常に良かったと思いました。
もちおが生涯食べ続けた粟ですが、あげたら喜んで食べるのですが、その後はどうも食べにくいのか、調子が悪そうにするので、粟を最後はあげるのをやめました。
5 環境の整理
ストレスがない環境にするために、危なそうなものは撤去して、かわりに藁を追加して眠れるスペースを広くしました。
また、砂場を2つに増やしました。おしっこをするたびにおしっこを掬いだして、新しい砂に替えることをしました。砂場を増やしたのは非常に良かったと思います、普段からもっと砂場があっても良かったんだろうなと思うくらいには、たくさん使ってくれました。
最初は少しだけ、回す素振りを見せていた回し車ですが、歩くのも、立っているのも辛そうな様子を見せてからは撤去しました。
まとめ
とりとめもない記事になりましたが、ハムスターを飼育しているかたにとって、何かの参考になればと思います。
2歳や2歳半を越えたハムスターというのは、かなり高齢になりますので、色々なリスクから守ってあげたいですね。
詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/