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IU 「Love wins all」のMV解説を読んだら、深くて余計に切なくなった

先日公開されたIUちゃんの新曲「Love wins all」聴きましたか?見ましたか?とても良い曲ですよね。
私はずっとリピート再生して、MV胸がギュッとなっています。
MVの解説を読んだら、切なさが増して奥深さに感動した…!ということをつらつらを書いてみる。

よく分からないけど、切なくて泣ける

1月24日0時。IUちゃんの新曲「Love wins all」がリリースされた。
テテとコラボした曲ということで、もちろんBTSファンの私は公開と同時に視聴。

テテが全く歌わず、声も発しずに曲が終わってしまったのには拍子抜けしたけど、最初の感想はとにかく「切ない」の一言に尽きた。

ピアノの切ない音色に、UIちゃんの伸びやかだけど何かを訴えるような声には心が持っていかれた。
歌詞もあまりにも切なくて儚い。
最後に向かうにつれて、力強くも儚くなっていくIUちゃんの歌声に感情がぐちゃぐちゃになった…

MVはまるで短編映画を見ているような感じ。
印象に残ったのは、2人が一言も発しないのに、最初から最後までほとんど手を離さなかったこと。
最後までお互いを守ろうとする強さが垣間見えるのも、心がやられた。
2人が創り出す、廃屋?での切なくて儚くも美しい世界観と音楽が絶妙にマッチして、余計に涙を誘った気がする。
意味深な謎を残すMVのストーリーに対して、色々な考察が飛び交うことは容易に予想できた。

MVに対する批判やさまざまな憶測

案の定、公開日のお昼を迎える頃には、たくさんのリアクションや考察の動画がYouTube上にはアップされていた。
たくさんの人がTwitterでも発信していた。

・テテは片目が見えない?IUちゃんは喋れない?
・あの四角い物体はなんだ!シュチタの角砂糖?
・テテはゾンビなの?何かに感染したの?
・Love wins allなのに最後は消えちゃうの?

などなど。

中には片目が白いテテと手話を使うIUちゃんの映像に対して、
「障がい者への差別」
「障がい者カップルが健常者のように付き合う夢を見ている」
などの批判や憶測も飛び交って、5分間のMVがこんなにも話題になることに驚きました。

あれこれ言われているけど、どう対処するんだろう…と広報的な視点で気になっていたけど、わりと早々に事務所とMVを撮影した監督から世界観を説明したという記事が出た。

世界観は思っていた以上に社会的だった

MVの監督はオム・テファさん。
数々の賞を受賞している気鋭の監督と言われているらしい。
その監督が事務所を通して、今回のMVの世界観を説明していた。

宙に浮かんでいる四角い物体は「差別」

みんなが「あれはなんだ!」と言ってた四角い物体。金属っぽい色味でどことなく冷たく見える、あいつ。

MVに出てくるあいつ

2人を追うあいつの正体は、主人公たちへの差別、日常の中にあふれる色々の差別を抑圧を意味するそう。
MVでは終始、宙に浮いていて、2人がどこに行っても追いかけ回す。
障がい者への差別、社会生活での抑制など、色々なものをこの物体ひとつで表現しているとは。

合わせて、黒いマントを纏った集団の中で2人が暴れながら、ごちそうを頬張るシーンも、黒いマント集団が2人を止めようとしたり戦ったりしている。
この黒いマント集団も世の中の批判や差別、中傷などを表しているように思えた。

ビデオカメラは「愛のフィルター」

ビデオカメラを通すと、2人の姿が傷や汚れ、風景の朽ちた感じがなくなり、普段通りの世界に見える。

ビデオカメラのレンズはキーアイテムで「愛のフィルター」を意味するのだそう。
時間的な背景は廃屋で衣服も身体も傷だらけの状態で、ビデオカメラを通して見えるのは廃墟になる前の世界。つまり、差別のない世界。
同時に登場人物の内面や外見を超えて、世の中の美しいものを見ることができるアイテムということ。

きっとビデオカメラを通した世界は、2人の希望や理想の世界でもあるのでは…と思った私は、ここで胸をギュッと掴まれるような感覚になった。

2人の設定

IUちゃんは唇にピアス。(チェーンなんだとか)テテは片目が白く濁ったレンズをつけている。
これは世界とのコミュニケーションが困難な状態を意味しているのだそう。
たくさんの「IUちゃんは話せない」「テテは片目が見えない」という考察は大当たりだ。

2人は世の中の困難を克服することが難しいことを暗示していて、それぞれ傷を負って疲れた状態でも勝ち抜こうとする意思を、走り回って逃げたり四角い物体に立ち向かうことで見せている。

テテの戦う姿、大切な人を守ろうって意思がめちゃくちゃ伝わる表情だったよねぇ…

ウェディングドレスとタキシードは愛の象徴

印象に残っている人も多いであろう、2人のウェディング姿。一緒に写真を撮ったり、ステージで歌うIUちゃんにテテが小さな花をつけてあげたり…キュンとするシーンが多かった…!

この姿は愛を象徴するアイテムで、写真を撮ったり歌ったりすることで、これまでの日常では実現できなかったことを一緒に実現しながら、つかの間の幸せを感じているのだそう。

あのシーンは非現実的さが溢れていたから、微笑ましくも切なくなっちゃうシーンだけど、実際にそうだったのね。

実はハッピーエンディングだった

戦おうとするけど、微動だにしない四角い物体から逃げられず、2人が宙を浮く様子がチラッと映って、ゆっくりとドレスとタキシードだけが落ちていく様子が映し出されて、MVが終わる。

最後まで絶対に手を離さなかったの…

ずっとバッドエンドだと思っていた。どうやら違うらしい。
監督によれば、浮かび上がるシーンはあらゆる抑制と圧迫から抜け出して自由に飛んでいけることを意味したそう。

2人は差別や抑圧(四角いあいつ)から開放されて、最後には愛(ドレスとタキシード)だけが残る=愛はすべてに打ち勝つ(Love wins all)というハッピーエンドだったのね…!?

謎は解明されたけど、更に切なくなってしまった

監督が公開したMVの意味で、批判は拡大せず、称賛を送る内容も出てきている。
何もせずに見る側の想像に任せることもできたけど、意図を伝えることで世界観が明確になって、作品の持つメッセージをより際立たせた良い例。

MV解説を読んで、Love wins allは悲しい楽曲ではなくて、「生きにくさ」を感じている人たちへの、IUちゃんからのラブレターで、とても温かい楽曲だと思える。

「愛があれば、差別にも抑制にも、何にでも打ち勝てるよ」「何があっても愛することはできる」というメッセージなんだろうな。
タイトルと世界観とメッセージがちゃんとマッチしているからこそ、心に刺さる。

最初に歌詞を読んだときは
「どうして私たちは "お互い"なのかな」
「私の貧弱な想像力では思いつかないところまで連れて行って」
「もう一度穏やかに笑ってちょうだい」
という部分に切なさや悲しさがあって、最後の「Love love love love」との対比を感じていた。

それも世界観を知った今は
「私たちはこんなにも違うけど、一緒にいる」
「私が知らない景色を、君が与えてくれる」
「穏やかに笑いながら愛し合おう」
と、愛を与え合う意図があって書かれた歌詞な気がする…

そう考えると、何があっても愛を貫いて、幸せな瞬間を噛み締めながら、最後は開放されて消えていき、愛の証だけが残る。ってものすごく切ないストーリーだと思わない…?

それにしても、女優でもあり歌手であるIUちゃんの演技力はもちろん、テテもあんな表情や表現ができるとは…
もともと、表情豊かな人ではあると思うけど、MVの表現力はすごかった。

改めて、音楽と視覚情報がマッチしたとき、ものすごいパワーで感情や心を揺さぶられるんだな…と実感した。

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