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マロン内藤のルーザー伝説(その17 エピローグ)

迫る渡独を前に1976年製ポルシェ930ターボ(ター坊)の売却という喫緊の課題を解決すべく、久しぶりにおじさんの店をター坊と共に訪れたマロンは、即決即断でター坊を購入した暑い夏の日の思い出に浸る間もなくおじさんに渡独の事情を説明した。

おじさんは、自分が1年ほど前に販売し、さらに正規代理店ポルシェセンターで50万円相当の純正部品が取り付けられたばかりのクルマを買い叩くこともできず、苦虫を噛み潰したような表情でしぶしぶ相応の値段での買い取りに合意した。商談成立、プロショップオーナーの見立ては正しかったのである。「もう一台うちでクルマを買ってもらわないと採算がとれないよ~」というおじさんの愚痴を聞き流しながら、厳粛な雰囲気の中、マロンは書類に押印し、安堵感と惜別の思い入り交じる中、1人寂しく店を後にした。

翌日お店の前を通ると、まだ値札の付いていないター坊が新たなオーナーの登場を待っているかのようにガレージに鎮座していた。それがター坊との今生の別れだった。後年このお店も廃業したようで今は跡形もない。おじさんはお元気だろうか・・・そして、ター坊は新しいオーナーのもとで幸せな人生を(車生か?)を送れたのだろうか・・・あるいは・・・

小学生の頃、サーキットの狼でその勇姿に一目惚れして以来憧れ続けた元祖ポルシェ930ターボ。期せずしてそのオーナーとなり、短い期間ではあったが苦楽をともにした思い出は私のルーザーライフにおけるほろ苦い青春の1ページであり、後悔などあろうはずがない。ありがとうター坊。ター坊のおかげで一皮むけた負け犬として単身渡独を果たすニューマロン(パチンコ屋か?)であった。

そして皆様長らくご愛読いただきどうもありがとうございました。

I'll be back.

flatsixes.comより

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