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BizOpsってやること多すぎじゃない? 事業スケールで起きたひずみとその後

この記事はBtoB事業開発アドベントカレンダー2の17日目の記事です。

前回はdely株式会社の田中 ジミー 基樹さんによる、営業起点で行う事業開発業務 ~営業マネージャーこそBizdevすべき~でした。

はじめまして。ヘルステックスタートアップのUbie(ユビー)株式会社に所属している髙原(@tak1115s62)と申します。知人の後川さん(@ushiro)にお誘いいただき、今回筆を執らせていただきます。何か読者の方の参考になれば嬉しいです。

ご紹介- Ubie(ユビー)株式会社

「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、医師とエンジニアが2017年5月に創業したヘルステックスタートアップです。AIをコア技術とし、症状から適切な医療へと案内する「ユビー」と、診療の質向上を支援する医療機関向けサービスパッケージ「ユビ―メディカルナビ」等を開発・提供。誰もが自分にあった医療にアクセスできる社会づくりを進めています。 

事業開発 is 多義語.

巷で言われている事業開発という言葉は結構多義語だなと思っていて、会社ごとに範囲が違いそうです。弊社の社内ChatGPT(通称:Dev爺)に、事業開発ってなに?って聞いてみました。(現在Ubieでは社内業務効率化のために、さまざまな局面で生成AIを活用しています。詳しくはこちら

ギャル語で聞いてみた

なるほど。チャンスを見つけて具体的なプランにしていくこと。そりゃ、会社によってやることが違うわけですね。

、、、、という半分冗談は置いておいて、会社によって、事業開発という言葉が指し示す仕事は大きく違います。なので、今回させて頂く話の範囲をまずさせていただきます。

Ubieにおける事業開発とは。

Ubieの組織(会社紹介資料より引用)

Ubieは生活者、医療機関、製薬企業に向けた課題解決ソリューションを提供しています。生活者向けとして症状検索エンジン「ユビー」を、医療機関向けには「ユビーメディカルナビ」を。そして製薬企業向けにもソリューションの提供を行っています。

現在、ソリューションの元になるプロダクトは、私も所属するUbie Product Platform(以下、UPP)が開発していますが、医療機関向けソリューションと、製薬企業向けソリューションの顧客への提供はそれぞれ、Ubie Customer Science(以下、UCS)・Ubie Pharma Innovation(以下、UPI)が行っています。

Sales(Consulting) & Marketing機能はUCSとUPIが持っており、UPPはDevelopment & Deliveryの機能を持っているため、それぞれに事業開発の要素を持っています。“チャンスを見つけて具体的なプランにしていくこと”はどちらもで行いますよね。

その中でも私は、UPPに所属しておりますので、今回はUPPでのお話をさせていただきます。UCSとUPIについては、それぞれに所属しているメンバーが事業開発について触れているnoteがありますので、ぜひそちらも併せてお読みください。

▼Ubie Pharma InnovationのBizOpsチーム立ち上げ1年目を振り返る

▼スタートアップにおけるビジネスプロセスマネジメント

▼何でも屋のネクストキャリアに推したい「ビジネスアーキテクト」とは?


BizOpsってやる事多すぎじゃない?

さて、少し前置きが長くなってしまいましたが、UPPには以前、Ops(オプス)と呼ばれたメンバー達がいました。これは、世間で言われるBizOpsと似たような概念で、チームを円滑に運営すべく、推進や仕組み化に従事し、生産性を最大化するのに長けた面々です。

Ops第1号社員が生まれたのは、社員が20名ほどになった2019年4月のこと。今から4年前です。当時は創業期真っ只中で、市場を切り拓くべく、スピード感を持って0→1に奮闘していた時期。採用する人材の要件も、0→1に適したスキル・ポテンシャル・パーソナリティを定義していました。しかし、より組織やプロダクトをグロースさせ、安定的に機能させるためには「運営」に目を向ける必要がある。そんな背景から生まれた概念でした。その当時の話はこちらのnoteにまとまっています。

それから時が経ち、20名だった社員も総勢200名を超えるまでになり、事業やプロダクトの複雑性も増していた2022年から2023年にかけて、また次の壁にぶち当たったのです。

Opsやること多すぎ。人間の認知の限界。

Ubieにおいては、先に触れた通りSales(Consulting) & Marketing機能はUCSとUPIで別組織にしていたにもかかわらず、です。特に、事業立ち上げから間もない製薬企業向け事業でのひずみは大きいものでした。一人のOpsが、製薬企業との協業案件のプロジェクトマネジメントを行いながら、複数の開発チームの開発するシステムの仕様詳細を把握し、実際の設定業務を行う。もちろん、人材採用などそのほかの業務も並行して行いながら。

手前味噌ですが、当時も今もUbieにはとても優秀で馬力もあるメンバーが多く、”なんとかなってしまっていた”過去の経緯がありました。同じようなメンバーの採用が素早く、大勢できれば良かったかもしれませんが、天才は何人もいません。事業拡大のスピードに採用が追いつかなくなりました。いよいよ厳しくなってきたのです。


“関心の範囲×深度”で分解→Focus.

結論から言うと従来”Ops”と言っていた概念は、製薬企業向け事業においては3つのロールに分化しました。

  • BPM(Business Process Management)

  • デリバリーマネージャー

  • 事業開発オペレーション

これは、関心の範囲と深度で分解しています。

  • BPM

    • 最も関心を払う領域が広く、抽象度も高い。個別プロジェクトに関わることはせず、他組織との”接合面”のデザインをはじめ、プロセス全体の生産性に着目し、会社としての全体最適をはかるのが責務。

  • デリバリーマネージャー

    • 個別プロジェクトのマネジメントが責務。UPIやUCSからもたらされた顧客の与件の確実な実行を担いながら、プロセスの適正化を図るなどし、Delivery生産性の向上をはかる。

  • 事業開発オペレーション

    • 開発組織にも所属し、個別機能のExecutionを行う。最もプロダクトに近い。システムの仕様を把握し、プロジェクトで必要とされる設定などを行いながら、プロセスやシステムの改修(要求定義等)にも関わりを持つ。

ちなみに、以前のOpsは基本的に開発チームへ所属はしていませんでした。しかし、Deliveryを見据えたプロダクト開発を加速するため、最もプロダクトよりの業務を行う事業開発オペレーションのロールを開発チームに所属する形でガバナンスを変更しました。

ガバナンスのイメージ。UPI/UCSは簡略化。実際はこちらも細分化・明確化しています。

関心を払う領域が広ければ偉い、と言うことでもなければ現場が偉い、と言うものではありません。旧来”Ops”とされてきたメンバーの中でもcanがつよい領域、willがある領域が違っており、それぞれの特性に合わせたアサインが現在はされています。

※UbieではU-map(ユーマップ)という、個人の役割と進化の方向性を明瞭化するスキルマップを定めており、アサインにおいて活用されています。

U-map(会社紹介資料より引用)

また、業務を言語化し、分解したことで負荷軽減・アサインの精度向上以外にも良かったことがありました。採用です。

  1. メンバーの役割、責任分界点が明確になったことで採用ペルソナが明確になったこと。

  2. 採用ペルソナが明確になったことにより、スカウト活動やリファラルが加速しました。

  3. 面接内容の改善も進みました。任せたい事や必要とするスキルがより明確になったので、質問もシャープに。

個人的には、役割の変更を受けてシュッと採用に活かすことができるのは、組織として採用に対する熱量が高いUbieの強みだと思っていますが、事業開発と採用は切っても切り離せないと強く思っています。


役割の細分化、窮屈じゃない?

役割の細分化を行うと視点がFocusされ、一つの物事に対して集中できる一方、自分の行動が制限されて息苦しさを感じる人もいるでしょう。おそらく、ベンチャー企業では特に。細分化された業務以外のことをしない人も出てくるかもしれません。全体の効率は上がったのに、個人のやりがいや、スキル・キャリア開発が阻害されてしまっては意味がありません。中長期的には本末転倒だと思います。

Ubieではそうならないように、上記のU-mapなどを活用し、メンバー同士でお互いの変化・進化の方向性を議論したり、実際に採用されたポジションとは異なる業務に染み出しているメンバーもいたりします。

例えば、事業開発オペレーションとしての役割も担いながら、現在はPO(Product Owner)を兼務してプロダクト改善の課題をエンジニアなどと連携しながら進めているメンバーがいたり、個々人の成長に興味があり、組織・個人能力開発に取り組んでいるメンバーがいたりします。また、当初アサインされたチームだけではなく、様々なチームを渡り歩きながら業務改善をして回ってくれているメンバーもいます。

規定演技を行うだけではなく、自由演技にもチャレンジしていく。
窮屈なのであれば、効率化し、余白で新しいチャレンジをする。

余白を何で埋めるのかは個人ごとに違っていい。その姿勢と行動を全員が当たり前に取れること、そして異なる専門性を持った周りのメンバーが称賛し、支援していくことが、事業開発をし続ける会社には必要となってくるのではないでしょうか。

チャンスを見つけて具体的なプランにしていくこと。

今回は、社員が20名→200名になった時、BizOpsがどうなったのかご紹介させていただきました。Ubieはまだまだ拡大をしていきます。いずれ200名→2,000名になる時がくるかもしれません。(来ると信じています)

その時、事業開発ために求められるものは何でしょうか。どんな壁にぶち当たっているのでしょうか。今の私にはわかりません。しかし、”チャンスを見つけて具体的なプランにしていく”ことはどんな規模になっても、会社・個人が生き残っていく為に必要なはずです。

その為に必要な変化・進化は会社としても、個人としても起こし続けていたいな、そんなことを思いながら筆をおかせていただきます。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。読者の皆様は日々、お忙しいかと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。


最後の最後に宣伝ですが、Ubieでは一緒に働きたいメンバーを募集しています。興味を持っていただけた方はカジュアル面談をご用意しています。お気軽にご登録お待ちしています。

【提供するサービス一覧】
▽生活者向け 症状検索エンジン「ユビー」
日本版:https://ubie.app/

US版:https://ubiehealth.com

▽医療機関向け「ユビーメディカルナビ」
https://intro.dr-ubie.com/


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