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まぢかでみせられた私/でりりうむ―【詩】―

高速で過ぎ去る電車の脳内の映像をかれこれ12時間もしかも近いので疲れました なんとか眼で追って止まってるように頑張ろうとしましたが普段つかわない部分を多分に使いよけいに疲れました
風がふいてるワケではないのですが錯誤として感覚が想起され顔の神経が引き攣り乾き 手を振るヒトの列が浮かれた修学旅行生のようにたくさん
『どうしてやめてくれないんですか』と聞きましたが駅員は不在らしく そもそも私は首周辺の一切が固定され眼球しか動かすことを許可されていないのですが 例外的にお喋りは許されてはいるのですが 過ぎ去り擦れる車輪の轟音にかき消され愉快なパントマイム

こんな時ですら私は明日のお弁当の献立を考え野菜室の隅にあったミニトマトを同じく弁当箱の隅に配置しようと思案 しかし他のおかずが思いつかないためコンビニで済ませようかと思考を巡らせましたが 汽笛のつんざく耳障りがやめてくださいを引き出しました

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砂嵐状のノイズがやがてペースト状になりブランケットに包まれ小蝿にたかられたバゲットに塗りたくりましたが 次の瞬間には霜雪の少女が眼に映りました
彼女は大きなバケツをひこずるように運び 深閑の森のののののの中の  【水】  を汲みまたどこかへ消えていきましたが 半分以上水がこぼれて苔の栄養になるだろうと予測しました そのうち見えきたのが塔で 太陽が真上に位置していましたから影はどこにも伸びず 彼女はそこに入っていきました 中では彼女と同年代とおぼしき少女が固定されていました 塔のてっぺんにはよく磨かれた鈍色のいぶし銀のギロチンが待ち構えており ロープを断ち切れば落下するという寸法なのはひと眼でわかりました 鉈を手にした彼女に対し 固定された少女はトゥア・ソルと叫び 太陽礼拝の儀式だと思いました いたって簡単に首は飛びバケツの中で清められました やがてソレは塔のてっぺん掲げられ魂は

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内蔵くすぐるエネルギィまんまるお月のその裏側でお花見🌸を する溶けたウサギ 10000マイナスな重力が不定形で形容しがたき者に不必要な生命を与え 私はまたこの光景かと落胆しいつもの遊びを始める 惑星を均等に配置しどの星のつよい重力に惹かれるかのオミクジです 今回は目論み虚しくバラバラに引き裂かれましたが意識はひとつで
 ビーチサンダルの追加購入を考えたのは去年のヤツが蜘蛛の巣にまみれて哀れだったからです 隙間から侵入したのか水草に付着したミニ貝の卵のように発生したのか 古代の実験閉じた瓶の中に蠅が発生するかのアレですけど失敗に終わりました だから無から生物発生夢物語のレリアラレティ

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重い重い、重い 内部の中心部から苦悶を呼び起こす振動としての不愉快な広がり 庭を工事する複数の男性に声は届かずシャイな私は布団に潜り身を悶え
籠絡させるには確立されたテクニックが必要なのに手は尽くさずひたすらに振動のみが血を熱し 砂利と砂埃をまぢかで見せられ視点を引くと賑やかな綱引き大会 私は負けたくないので力いっぱい込め たのですが頭頂部に不得要領なカタマリがグイグイ昇ってきて殴られたような衝撃が走り懇願として工事の中止を願いましたがやめてくださいは通用しませんしそもそも布団からいっぽも出られない

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くすぐったいのが好きなのか進んで私はそのような場所へ赴きます 衣服を全て脱ぎ捨て草むらの上に横たわるのですが草の物理的なくすぐり以前にヒトの眼が心臓部をゾワゾワさせ日常が遠のきます
すみっこで生きるのを生業としている女の子の定義疑問に対する新たな答えは古代の柱にすら記されておらず真理は闇の中の懐中電灯の電池を手探りで交換するほどの苦労を伴います
鼻血を浅瀬に投じると一瞬だけ小魚が寄ってきますがすぐにそっぽを向いて帰る場所がある羨望と朽ちたバス停の比較は無用だと判断されポケットの中のクシャクシャの定期券を運転手に差し出しましたがドアーを指差しアゴで指示して 

『……昨日の事は、私が悪かったわ。ごめんなさい。気まずい空間を味わいたくないから仲直りしましょう』
『昨日だけの事かい? おかしいな、ボクは何度も……何度も何度も黙って見過ごしてきたというのに。それに気が付かず増長し、ボクを責め続けた罪に関しては不問にするつもりかい?』
『知らないわよ! 気に入らない事があったらスグに言ってって、それこそ何度も伝えたハズよ!』
『おやおや、ボクの意見や反論は全て打ち消されたような――気のせいだったかな? 心優しいボクはキミの意見を全て受理したけども。見えるかな? この苦虫の――』
『あぁもういいわよ。私が全部悪いんでしょ?』
『その通り! ボクは我慢と改善を続け、キミは発散のみを続けた! 至極単純な力関係さ』
『あなたにはもう、私に対する愛はないの?』
『口を開けば文句や命令を繰り出す人間を、キミは好きになれるのかい?』
『それは……あなたの為を――』
『ああ! 100万回予測した台詞がボクの耳に確かに今届いた!』
『……死ねよ!! ゴミクズ野朗!!』

3D空間に平面の切り絵として放り込まれた私『すげぇ! めっちゃリアルじゃん!』




思案の先
 砂場の温泉
  かみつく小エビ


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