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Theater010レポート

2023/01/20(金)
 NY,ロンドンにある「THE BOX」が福岡に来たと聞き、THE BOXもTheater010も調べてもどんなお店か分からなかったので、これは兎に角行ってみようと、東京から駆けつけました。

 簡潔に言えば、基本的にはラウンジで、30分に一度5分程度のショウが入るスタイルでした。日本はキャバレーもナイトクラブもラウンジも女性が接客するお店を指す言葉になってるんで、こう言うときに正しく指す言葉が無くて困りますね。隣に座って接客されることはない、着席して音楽を楽しみ仲間とお酒を飲むラウンジです。

https://clubberia.com/ja/venues/5125-THEATER-010/

 自分は19時に予約していたので18:50ごろに行ったのですが、まだスタッフミーティングをしていました。これは、劇場のように開場前から並ぶスタイルでは無く、好きなタイミングでゆるっと入るナイトクラブであることの証拠です。事前情報からはそれすらも分からなかった。

 受付によると、もともとSNS投稿禁止だったのが最近解禁したとのこと。道理で調べても情報が無いはずです。

 最初のショウが20時にあると聞き、それまでお料理を食べました。コース料理+ドリンク2杯付きで11,000円(外税)というお値段で「スタンダートコース」。VIPはもっとお高い。凄いな。

 だけど、今HP見たら食事付きコースが消えてますね。色々テコ入れしているところなのかも知れません。

 食事は同じビルの「GohGan」から、飲み物は同じビルの「BAR 010」から来るようです。どちらも世界的に名高いシェフやバーテンダーのお店で、この010BUILDING全体が一つのコンセプトで作られているのが分かります。

 そのコンセプトとは、バッキバキに手を掛け高価値で提供すること。素材よりも尖った演出、クリエイティビティでの勝負です。

https://devi-log.net/more/gohgan/

 クラウン的な黒子によるグリーティングを楽しみつつ、面白く美味しく豪華なご飯を食べたあと、お酒を追加しながら、この日はショウを6回見ました。

 20:00 シンガー
     重ねた椅子の上で倒立

 20:30 ビッグバルーンパフォーマンス
      アニメーションダンス

 今回一番良かったショウは、このアニメーションダンス。ダンサーが黒子二人のキューブを操ったり、照明がキューブに当たりミラーボールになったり、映像と音がぐるっと客席の外周を回ってきたり。この箱の機能をフルに使った良い総合作品でした。

周囲にもスクリーンがあります

 theater010はイマーシブシアターという触れ込みですが、前方のステージだけでは無く周囲にも演出が施されている、という程度の意味のようです。でもそれって普通のレストランも同じでは。うーん。

 20時半までは自分たちも含めて3組しかお客様が居ませんでした。ナイトクラブとは言え、ショータイムの最後が23:30でクローズが25:00なので、夜が深まる前にもう少し集客がある想定だったように思います。

 もちろん自分と同じフロアしか見えていないので、VIPフロアに凄いお客様が居た可能性はありますが。

 21:00  特別ショウ:Hajime Kinoko 緊縛インスターレーション
 この日はスペシャルショウ付き。まさか福岡まで来てHajime Kinokoさんを見るとは。ファンが多く、立ち見席まで埋まるほぼ満員に。このショウが長く20分ありました。

 21:45 エアリアル(客席中央のミニステージ上)
    シルホイール

 22:05 ボイスパーカッション+シンガー(客席中央のミニステージ)
    ミラーボールマン

全身が鏡で光る。動きは少ない

 22:30 コントーション+水    

装置が派手

 この女性がエアリアルもコントーションもビッグバルーンもやっていて、サーカスの技についてはこの人一人に頼っている感じでした。それを、大きな道具を使ってラグジュアリーに見せています。

 しかし、特筆すべきクリエイティブを発揮していたのは、アニメーションダンスのコンテンツだけのように思いました。

 また歌とボイパは演出が無かったので、NYでトップレベルのシンガーというわけでも無い限り、演出が欲しいところですね。

 22:45でお会計、一人1.5万円。滞在しているホテルの大浴場の時間と、次の日の糸島観光を考えると、これ以上の長居は厳しかった。

 それにしても、この施設は誰に向けてのものか、難しいですね。

 自分も東京のクラブでサーカスイベントを開催していますが、客層の想定が難しい時があります。10年前のイベントで、パフォーマンス目当てのお客様が最前列を陣取って全く踊らず(俗に言う”地蔵”)、ステージ上のDJの心が折れたという事件がありました。その日は緊急でクラウンにフロアに繰り出してもらい、マイムマイムから最後には縦ノリまで行ったのは一生モノの良い思い出です。

 このTheater010も、最初からお客様の慣れを必要としている、と感じました。5分のパフォーマンスをみたあと25分を暇しているのではなく、音楽とお酒と仲間が居れば25分なんて短いよね、という人向けです。

 Theater010のスタッフは外国人が多く、もしかしたら海外旅行者向けで想定していたのかもしれませんが、この日は日本人以外のお客様は2Fには居なかったように見えます。

 流石にHajime Kinokoさんのファンたちは夜遊びに慣れていらっしゃって、DJの前の狭い場所で踊ってました。そうそう、音楽があったら踊るよね。踊ってはいけない国だったのも過去のこと、となれば良いなぁ。

 正直な話、個人的には楽しい夜だったし一回は行けて良かったとは思いますが、もう一度東京からこのハコのために行くかと言われると、また違う作品になったときに検討しようという感想ですね。
 クレイジーホースがドゥクフレ氏を招いたように、日本だとMIKIKO氏かな、もしくは海外の著名演出家が全体を再監修したのなら、何を置いてでもスグに飛んでいきます。

 Theater010の食事+お酒+音楽+ショウというのは理想形で、建物も素晴らしく、ハードとしては揃っていると思います。おそらくは、それを楽しむ土壌が福岡に無いと感じました。さらに突き詰めて世界中で噂になるレベルの世界一のクリエイティブなショウを提供するのか、カミカゼが吹くのを箱貸し業をしながら待つのか、外野から偉そうで恐縮ですが、見守りたいですね。

http://010bld.zeroten.jp/theater/


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