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まだ妖怪ケマメのチケットを買ってない人へ

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 渡邉尚さんは床を発見したジャグラーで、2017年の渡仏後すぐに世界中で引っ張りだこ、賞も数多く受賞したサーカスアーティストです。そして、デフラクトは本場フランス現代サーカス界で知らぬ者はいないトップカンパニー。そんな彼らがコラボレーションするまだ誰も見たことのない作品「妖怪ケマメ」は、すでに世界ツアーが数年先まで決まっています。

 その世界初演が、10/5、6に横浜KAATで行われます。しかもチケットは3000円という激安価格。 

 だのに、まだチケットを買ってない方。分かる。
 だって妖怪だもんね。何をやるのか不安だよね。 

 この、手に入れた肩書や社会的地位なんかもぽーんっと放り投げてしまうところ、渡邉さんっぽい。とても自由なミニマリスト。

 幸い、トークショーと稽古場を見させていただいたので、妖怪ケマメとは何か、ある程度先に分かることができましたので、この作品の魅力を3つほど上げます。僅かでもネタバレをされたくない方は、ここで読むのを止めて下さい。

 結論から言えば「妖怪ケマメ」は渡邉さん自身に強く根付いた理由がある作品でした。

1. 日本人としての感覚を舞台化

 渡邉「パンを置いておいても、ヨーロッパは乾燥するだけだが、日本だとカビが生える。気を抜くと生命が生まれる」

 乗越たかお(舞踊評論家)「日本には8million God'sが居ると言うと驚かれる」

 日本人なら誰もが持つ身体感覚を使用している点で、フロアジャグリングを発明したのと同じ。今回は、妖怪と共にある感覚を舞台作品にしようとしています。小豆洗いが実際に出てくると言うより、見えないけど気配を感じるあの身体感覚です。

 故・水木しげる氏は漫画を通じて妖怪の世界を広めましたが、彼等はジャグリングを通じて広めようとしている、とも言えます。

2.日仏コラボだから出来た、四方からの生音

 ギヨーム・マルティネ(デフラクト)「物を長い間使うと妖怪になる。それをシルヴァンに伝えて、新しい楽器を提案してくれた」

 渡邉「フランスチームによるクリエイションで作品がどんどん乾燥して行く中、野村 誠さんが湿度をもたらしてくれた」

 日仏コラボの音楽がとにかく心地よいです。映像のとおり、生の音が鳴る装置を使います。それが四方から聞こえてくる。それは、真夜中に鈴虫の音があちこちから聞こえてくるような感覚でした。もうこの体験だけでも一つの作品として楽しめます。


3. 社会的抑圧からの解放

 渡邉「社会に潰されてる、普段やらないような行為に才能を持つ人もいる」
 乗越「社会に抑圧されてる身体を解放する?」
 渡邉「それができる一つの分野がジャグリング」

 今回の舞台では「大人も子供も楽しめる」というキャッチコピーがありましたが、稽古場で見て、爆笑しました。社会という前提を取り払ってしまえば大人も子供に戻るしかない。遊びを通じて、常識を植えられる前の生物としての自分に戻る、そういうことでした。甘い子供だましなんかではない。

 4つ目として舞台装置である照明についても上がりそうなのですが、自分が観た時はまだあまり分からず。下の動画から妄想しつつ、本番を楽しみに待ちます。

 これは確かに渡邉さんが演じる必要がある舞台で、世界初演が日本なのは当然です。ここから始まり、世界中の人達に潤いをもたらしてくれると思うと、とてもワクワクします。これはもう、その発信源に立ち会わない訳にはいかない、そう感じました。

是非是非、勿体ないので足を運んで観てください。
チケット購入はこちらから!
https://www.kaat.jp/d/kemame

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