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「本を囲んだ語り部屋」2024/5/5ヤニス・バルファキス『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
5/5はヤニス・バルファキスの『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を取り上げました!!

2015年、ギリシャの経済危機時に財務大臣を務め、EUから財政緊縮策を迫られるなか大幅な債務帳消しを主張し、世界的な話題となったのが著者のヤニス・バルファキスです。
私たちは資本主義社会に生きています。しかしflier要約者も書いているようにどこか経済のことを「他人事」のように捉えている自分にも気が付きます。著者は「経済モデルが科学的になるほど、目の前にあるリアルな経済から離れていく」と言います。「経済のことを自分の頭で考えずに専門家まかせにしていてはいけない」というメッセージをどう受け取るかについていろいろ考えるきっかけとなりました。

語り部屋では冒頭、要約から受け取った印象をそれぞれシェアし合いました。この本の原題は『Talking to My Daughter About the Economy』です。自分であれば子どもに「経済」をどのように語るのか?、そのような設定を考えるだけでも経済に対する意識は変わりますね。一方で本書の邦題にあるように「美しく、深く、壮大」に語ることができるのかを考えると非常に心もとない気持ちになりました。振り返れば「経済」は人間が暮らしていくために長い時間をかけて作り上げてきた仕組みです。その中にある「美しく、深く、壮大」な物語に耳を傾けることの大切さを改めて感じました。

またモデレータ仲間が話題にしてくれたモノポリーについての語り合いも大変面白いものになりました。モノポリーは土地や不動産を売買・建設して資産を増やしていくゲームですが、最終的に他のプレーヤーを破産させることがゴールです。他のプレーヤーからお金を得るためにゲームに没頭する面白さはあるものの、一方ではそのゲームルールに対して違和感を盛る感覚もあります。このゲームでは資産を多く持てる者が多くのキャッシュを得ることができ、勝者と敗者が明確に分かれます。果たして他者を出し抜いて富を得ることが話して本当に楽しいことなのか、そんなことも考えるきっかけにもなります。その中で自分が理想とするこのゲームのゴールやルールを変えるのであればどんなものにするのかを考えるのも良い思考実験になりますね。例えばゼロサムゲームではなく、プラスサムゲームにしたらどんなゲームになるのか、格差のない最適な分配をゴールにしたらどんなゲームになるのか、いろいろ考えてみる中で経済を自分事にできる良い機会になるように思いました。

最後は参加者の方にも上がってきていただき、なぜ大学で「経済学」を学んでいたのかというお話も印象的でした。その中ではコテンラジオの深井さんが言われていた「目の前の個体への興味以上にあるホモサピエンスへの興味」という言葉にも触れていただきき、経済学を通じて人間を知ろうとする眼差しも刺激になりました。本書ではテクノロジーや金融政策の過程でも民主化が必要とされたように、地球資源と生態系の管理も民主化が必要だと書かれています。民主化という人間の培ってきた知恵に対しても学びを深めながら、経済について自分の頭で考えることが大切だと感じる素敵な時間となりました。


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