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仲が悪いのは、仲良くしてほしいという強い願いの結果

コロナ禍で、家にいる時間が長くなった人たちが多くなった結果、家族の仲、親しい人との仲が悪くなった、という話を聞きます。

人間関係において、どうして仲が悪くなってしまうんでしょうか。どちらか一方が、悪いのでしょうか。Aさんの事例で考えましょう。

昨日は、私(Aさん)はできれば外食を節約したかったので、「同じようなお店で安いお店があるよ」と提案したら、Bの機嫌が悪くなった。黙り込んだ。とてもいやな気持になった。よくきくと、Bなりの計画があったらしく、そのお店に行ったついでに寄りたいところがあったようだ。私はなんとか空気が悪くならないように、じゃあそこに行こうか、と察して譲歩した。でもいやな気持を引きずって、その日はずっとギクシャクした空気になってしまった。
コロナで在宅が増えた。Bの我慢ならないところは、トイレットペーパーが切れそうになったときに、取り換えずに、ちょっと残してあるところだ。まるで自分は使い切ってないからOKとでも言っているように思える。私はいつも通り、黙ってトイレットペーパーを取り換える。
私が育った家は、両親の仲が悪かった。父は大声で怒鳴る。手を振り上げる。怖い人だった。もう大声はごめんだ。不仲もごめんだ。私さえ我慢すれば波風たたない。私が粗相をしなければ、穏やかでいられる。
だから、私の今の家は、穏やかであってほしい。
でもどうして私ばかりがやっているんだろう。どうして察してくれないんだろう。

これは一例ですが、重要なポイントを含んでいます。

誰だって、生活を共にするパートナーとは、仲良くしたい。この記事を読んでいるあなたもそのはずだ、と思います。

でも、この例の「私」のように、「どうか仲良くしてください」と願い続ける。「もう不仲はごめんだ」と思っている。そういう体験があると、「なんとか怒らせないようにしよう」というサバイバルスキルを身に着けてしまう。仲良くしてほしい、という強い願いの結果です。これは実家が不仲だった以外にも、様々なトラウマがあり得ると思います。いじめ、職場のハラスメントなどなど。

「相手が不機嫌なのは、私が従わなかったからだ」「私が我慢しよう」

ところが、「私」の願いとは逆に、ギクシャクしてしまっています。それは、不仲にならないように、あなたが引き下がった分だけ、「恨み」が蓄積されるからです。

「私ばかりが我慢している」「いつも私が負担している」といった風に。

いつも我慢している結果、トイレットペーパーのことが「我慢ならない」ほど、イライラする要因になってしまっているようです。

仲良くしたいという願いが、仲良しの邪魔をするなんて、悲しいことだと思います。

ではどうすればいいのか。

この事例の「私」は、実は結構いいセン行っていると思います。Aさんの良いところは、提案しているところです。私はこう思うけど、あなたはどう?と聞くやり方は、人間関係の境界線を守る良いやり方です。

一方で、機嫌が悪くならないように、自分を抑え込んで対応したところが、残念ポイントです。これが「わたしばかりが」と恨みを溜め込み、不仲の火種になっています。

対策1 相手の不機嫌は私のせいではないと考えること。あなたの事情を教えてほしい、と話すよう促すコミュニケーションスキルを身につけること。(対等な話し合いに持ち込むことで、支配される関係を回避する)例えば、I(私はこう思う)メッセージ、随伴性マネジメントを使った家族コミュニケーションなど。これらのスキルについては、別の回で、詳しく取り上げたいと思います。

対策2 「不仲はごめんだ」とあなたに強く考えさせている、トラウマを処理することで、反射的に相手の顔色を見ることから抜け出す。カウンセリングでお話しいただくときに、カウンセラーはあなたのトラウマが処理されるよう聞きます。

恨みをため込まず、さっぱりとした関係性にする。これらは、カウンセリングが得意としている分野ですので、是非ご相談ください。

(矢田の丘相談室 田中 剛)

 


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