顧客に幸せになってもらうには -マーケティングの基礎はどこへ行った?
昨日、美容師歴30年を超える美容師さんとお酒を交わした。
彼女とは20代に出会い、
お互いバリバリ働く仲間同士。
ときにお酒を交わし、
仕事のことやお互いの人生について熱く語り合った仲。
いまだに現場で輝き続ける彼女の姿に触れるたび、
私は心にひとしずくの感動を覚える。
お酒を傾けながらも、
「ごめんね。ちょっと予約調整とお客様に連絡させて」と
予約表を見ながらそれぞれのお客様にラインをする彼女の姿は、
一人ひとりの顧客に真摯に向き合う姿勢そのもの。
新規客を一切受け付けず、
既存のお客様で先2か月は予約が埋まる。
予約管理やスケジュール管理も、
AIやデジタルの利便性に頼ることなく、
彼女は手作業で全てをこなす。
「お客さまが希望する施術、髪型、長さによって、
何人入れられるか、それはデジタルでは調整できない」
お酒を交わしながらも、手帳と携帯をいったりきたり。
そんな姿を見ていると、彼女の信念が強く伝わってくる。
「私はお客様の髪を切っているのではなく、
人生に携わっているの」
SNSやPR、それも必要な要素の一つであろう。
でも彼女は、自分をPRする時間よりも
一人ひとりの顧客と向き合う時間を優先する。
そんな彼女を見ていると、いつだって
マーケティングの基礎は何だったのか、あらためて気づかされる。
数字やSNSの数よりも、真摯な心が顧客との絆を深めるのだと。
タイミング同じくして、ステキなnoterさんイトーダーキさんも
同じような記事を書かれていらっしゃった。
かつて、ある外資系会社で優秀なマーケッターさんが
こんなことを言っていた。
「自分が担当している台所洗剤のプロモーションを
夜一人で残業しながら考えていた。
ふとビルのオフィス窓から外を見たとき、
住宅群の灯りが見えて。
この全ての台所には台所洗剤がありと思ったとき、
自分には住宅全て台所洗剤に見えた。」
もちろん台所洗剤と、一人ひとりのヘアスタイルでは
価値、価格も違うし、ビジネスモデルももちろん違う。
でも、どんなサービスや商品の先にも一人ひとりの顧客がいて、
その顧客にどう幸せになってもらうのか。
それはSNSのフォロワー数やいいねやスキの数ではない気がしていて。
何か我々は忘れていないだろうか?
マーケティングの基礎は何だっただろうか?
そんなことをあらためて気づかされた夜だった。
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