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【天狼院書店初心者短編2020年夏休み特講受講者向け】⑥簡単な言葉・文章で表現する

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 はいこんにちは。
 講座参加者の皆様、進捗はいかがでしょうか。
 今日も小説執筆TIPS、投下します。

 さて、初めて小説をお書きの方は、こんなことを考えておられるかもしれません。
「小説って、難しい言葉を並べて、難しい文章構成を用いて、厄介なたとえとかを駆使して作るものなんじゃないか」と。
 いや、そんなことはありませんよ、というのが、今回のわたしの提言でございます。
 世の小説の中には、確かに「難解」と称される小説群が存在します。けれど、それだけが小説の世界ではありません。具体的な著者名や作品名を挙げるのは憚りがあるのでしませんが、大変平易な言葉(普段使いのような言葉)でもって、豊穣な物語世界を紡いでいらっしゃる作家さん、そして評価されている作家さんもたくさんいます。
 プロの小説家が難しい言葉を用いるのは、書いている小説が「難しい言葉でないと表現できない」「難しい言葉を用いないと雰囲気が出ない」と判断しているからです。たとえば歴史小説では、現代人はあまり耳にしないだろう単語をたくさん用いています。けれどこれは、扱う時代が古く、現代に存在しない文物を多数登場させる必要があるからです。また、難しい言葉はたいていの場合、多重的に意味が存在しますし、微妙な取り回しができ、また深く物事を描写することができる良さがあります。
 また、複雑な文章構成をするのも、厄介なたとえ話をするのも同様の事情があります。
 プロは、必要だから言葉を難しくしているのです。まずこれをご理解ください。

 けれど、単語や文章構成やたとえ話を高度にすればするほど、読者にとっては読みづらい小説になってしまいますし、作り手にとってもハードルが高くなってしまいます。すでに書き慣れておられて、その上でチャレンジをなさりたいという方はさておくとしても、今回初めて小説をお書きになるというあなたは、自分の使い慣れた言葉・文章構成・たとえ話を主軸に物語を構築するのがよいと思います。
 ツーリングとか自転車を趣味になさっておられる方ならあるいは頷いていただけるかもしれませんが、新しいバイクや自転車を買った際、まずは近場で慣らし運転・試運転をするじゃないですか。いきなり遠くに行ったりしないですよね。
 それと同じこと。
 書き言葉も、普段使い慣れていない方はハードルを下げて用いてやると、負担なく言葉が出てきます。少し慣れてきたな、となったら、ハードルを少し上げて凝った表現などに挑戦なさればよいのです。
 実を言うと、前半をかけて企画・プロットの大切さをお伝えしたのは、ある程度文章が平易であったとしても、プロットの構造さえしっかりしていればある程度小説の形が出来上がるからなんです。
 特に初めて小説を書くあなた。まずは、肩の力を抜いてください。そして、変に自分を飾ろうとせず、普段の自分の言葉を、キーボードにたたきつけるつもりで書いてみてください。

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