奇説無惨絵条々書影

【天狼院書店短編100枚二ヶ月コース受講者向け】書きあぐねたあなたに⑤カメラワーク入門

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」企画参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 講座に参加なさっている皆様、今週のイベントではありがとうございました。
 主に質問を承りましたが、皆さんのレベルが高く、大変驚いております。皆様にはぜひともこのまま突っ走っていただきたいなあと考えておる次第です。

 さて、あと残り一ヶ月、ぼちぼち執筆をするタイミングかと思います。きっと、皆様におかれましてはここで結構お悩みになられる方が多いんじゃないかと思います。プロット段階まではある意味理詰めで考えることができるのですが、ここから先のことはあくまで叙述という身体感覚が関わってくるところだからです。そして実は講師としても核心を教えるのが大変難しく、「たくさん本を読んで書いてください」としか言いようのない面もあります。
 けれど、創作のヒントはあります。なので、皆さんにいくつかヒントを差し上げようと思います。

①シーンをイメージしよう

 皆さんはプロットを作ったと思います。次にこれを書き出す時、具体的にこのシーンのことを想像してみてください。
 主人公はどんな外見の人ですか? どういう場所にいて、どういう天気で、どういう思いで、そしてどういう状況下にいますか? これを、ビジュアル的に思い浮かべてください。一度思い浮かんだら儲けもの。あとはこれを文章に描いてゆけばいいのです。

②カメラワークを意識しよう

 小説の叙述は、実はかなりカメラワークが問われます。一人称の場合、読者に提示される情報はすべて主人公の目にしたもの、耳にしたものが全てです。三人称とて同じで、ある狙いがあってあるところにカメラを置き、また新たな狙いをもってカメラを動かすものです。
 例えばなんですけど、こんな文章、いかがでしょう。

「男がいた。頭に帽子をかぶり、革靴を履いている。切れ長の目で手足が長く、アルマーニのスーツを綺麗に着こなしている。見れば手には高級時計がはめられており、鼻筋が通っている」

 いろんな情報がちりばめられていますけど、なんか散漫な印象を受けませんか。
 なんでかというと、これ、カメラワークがめちゃくちゃだからです。
 映画などをイメージしてもらうとよいと思うのですが、人を描写する際、カメラは

全体像を写す → 足から順に写す → 顔を写す

 とか

 顔を写す → どんどん視線を落とす → 引いて全体像を写す

 とかするものです。
 先の例だと、

全体像 → 顔 → 足 → 顔 → 手足 → 体 → 手 → 顔

 のように、カメラワークがめちゃくちゃなんです。
 これ、風景を描写するときもそうですよ。

 近いところ → 遠いところ
 あるいは
 遠いところ → 近いところ

 基本的には、こうしたカメラワークをしてやると、混乱のない描写になります。

 もし、風景描写や人物描写にお悩みでしたら、カメラワークを考えながらやってみると、解決することがありますよ。

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