奇説無惨絵条々書影

【天狼院書店短編講座受講者さん向け】書きあぐねたあなたに①苦吟しない

 WEB連載の「桔梗の人」よろしくお願いいたします! と共に、2019年2月新刊の「奇説無惨絵条々」(文藝春秋)と文庫化「曽呂利」(実業之日本社)もよろしくお願いいたします。

 このエントリは、天狼院書店さんで4/27に開かれました短編講座の受講者さん向けのものです。基本的に小説執筆の初心者に向けた内容になっておりますので、もし講座を受けておらずこのエントリをご覧になった方は「あくまで初心者の方向け」であることをご理解の上読み進めてください。

 さて、この前の短編講座を受講した皆さん、執筆は進んでらっしゃるでしょうか。
 別に監視カメラを仕込んでいるわけでも幻視能力があるわけでもありませんが、何となく皆さんの今の状況が目に見えるようです。きっと皆さま、書きあぐねていらっしゃるんじゃないかと思います。なんでそう思うかって? わたしだって書き始めのころは書きあぐねていたからです。
 もしかしたら、まだ執筆段階ではなく、キャラクターを作ったり、プロットを練ったりという段階で、書きあぐねてしまっている方がいるんじゃないでしょうか。今日はそんなあなたに向けたちょっとしたヒント集です。


 小説を書く一番のコツは、「苦吟しないこと」です。
 日本で一番仕事の様子が知られている割に作品が一切読まれていない作家・伊佐坂難物(サザエさんのお隣さんですね)のイメージのせいで、作家はうんうん悩んでいるものだという誤解があります。いえ、実際プロ作家の方の中にも結構ああやって苦吟する方もいらっしゃるのですが、講座を受けてくださった皆様の多くは「頭の中で考える」ことよりも「とにかく外に出してみる」ことを考えてください。
 たとえば、キャラクターが定まらず、履歴書を作っているあなた。とりあえず、思いついたところから書き出しちゃいましょう。プロットを書きあぐねているあなた、思いついたシーンだけ書いちゃいましょう。全体の整合性なんて後から考えればいいんです。
 わたしは皆さんに講座でかなり多くのワークショップを科しました。これは「とりあえずアウトプット(外部出力)する」ことを覚えてもらうためのものです。
 最初にわたしがお願いしたワークショップ、覚えていますか。「なぜあなたは小説を書こうとしているのか」。この問いかけに、皆さんは皆さんなりのお答えを書いていましたよね。少なくとも、わたしの見た限りでは手の止まっていた人はいませんでした。
 皆さんは自分の内面を捉え、言葉の形に変換できるのです。
 ならば、小説を書くという行為までの距離は、案外短いのです。

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