奇説無惨絵条々書影

【天狼院書店短編講座受講者さん向け】書きあぐねたあなたに④簡単! キャラクター&プロットづくり

 WEB連載の「桔梗の人」よろしくお願いいたします! と共に、2019年2月新刊の「奇説無惨絵条々」(文藝春秋)と文庫化「曽呂利」(実業之日本社)もよろしくお願いいたします。

 このエントリは、天狼院書店さんで4/27に開かれました短編講座の受講者さん向けのものです。基本的に小説執筆の初心者に向けた内容になっておりますので、もし講座を受けておらずこのエントリをご覧になった方は「あくまで初心者の方向け」であることをご理解の上読み進めてください。

 おそらく、今回講座を受けてくださった方の中で、今日の段階でキャラクターとかプロットで悩んでおられる方がいらっしゃるのではないかと思います。というか、絶対におられます。
 わたしが講座の際にご説明したワークショップ、実はそれなりに地力を必要とするもので、初めて小説を書く方にとってはちょっとハードルが高かったかもしれません。というわけで、今回は今でも悩んでいらっしゃる方向けに、簡易なキャラクターづくりの方法とプロットづくりの方法をお伝えします。

簡易キャラクターづくり
 キャラクターの核になるのは、「目的」です。
 たいていの小説においては主人公には強烈な目的が付与されます。なぜそうかというと、目的のない登場人物にはいさかいや対立が起こらず、結果として事件も起こらないからです。
 極論、「目的」さえきっちり設定してやれば、主人公は完成します。
 あとは、その「目的」に合わせてキャラクターを逆算させてゆけばよいのです。
 たとえば「エベレストに上り、遭難した友を弔う」ことが目的の主人公の場合、エベレストに上るという目的を達成するために、ある程度体格に恵まれていないといけませんよね(もちろん、もやしっ子が意志の力で鋼の肉体を手に入れるという筋も可能ですけど)。いずれにしても、小説における主人公は目的に合わせたディティールが与えられるのです。
 そして、主人公の「目的」が決まれば、敵役の「目的」も定まってきます。主人公の「目的」達成を邪魔する、同じ目標を持っているが共有できないといった事情で主人公と対立するのが敵役なのです。
 とまれ、主人公の「目的」を決めてやる。これだけで、実はキャラクター設定を終えることもできます。

簡易プロットづくり
 
ワークショップではカード式プロット法をお教えしました。けれど、実はもっと簡単にプロットを作る方法があります。実は、プロットにも核があるのです。ずばり、以下の文章です。

「Xという目的を持った主人公が、Fという体験を経て、Yになる」

 実は講座の際にご説明した「序破急」はこれに該当します。
 おそらく小説というのは「破」に当たる部分に何を詰め込むのか、そこにどんな面白いギミックや感興を挟み込むかが勝負だと思っているのですが、とにかく核は 「Y=(F)X」 の構図なのです。
 Xについてはキャラクターを定める時に決まっているので、次にYを決めてしまいます。そうすると、その間に挟まる(F)も大まかな形が決まってくることでしょう。
 というわけで、主人公の目的が定まり、結末が見えてくれば、おのずとプロットは仕上がってくる、というお話です。

構想時でも手を動かそう
 
講座にてわたしはずっと「手を動かしてください」とお話ししました。
 頭の中で悩んでいてもしょうがないからです。
 人間の頭は案外非論理的にできています。同じ悩みでうだうだ堂々巡りしたり、論理的に考えれば見逃すはずのない大きな要素を見落としたりするののです。
 なので、思いついたこと、気づいたことはすべて紙に書き出すなり、ワードに打ち出すなりしてみてください。最初から整っている必要は全くありません。紙の上で、消したり直したりして整えればいいのです。混沌としたあなたの考えを、紙の上、パソコン画面の中で形にするイメージでしょうか。
 というわけで、キャラクターづくり、プロットづくりに悩んでおられる方は、まず混沌とした自分の考えを紙に書き出してみてください。そうしてから、筋の通った登場人物、プロットを作ってみましょう。

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