廉太郎ノオト書影おびあり

作家は取材と称して何やってんの?

【PR】

 実は、今週の金曜から九州を見て回るつもりです。
 17日の日曜日に紀伊國屋書店久留米店さんでサイン会があるので、ついでに取材をしようと思い立った次第です。とはいっても、用意できた時間は僅かに二日弱(金曜日に現地に降り立ち、土曜日まで自由時間、日曜日にサイン会で月曜朝に帰る)なので、気になっているところを重点的に見ることしかできないのですが……。
 さて、「作家が取材」と言うと、「飲んで食って遊んでいるだけでしょ」と言われがちですし、「どうせ出版社さんからお金が出るんでしょ」という向きもあろうかと思います。いや、実際に出版社さんからお金が出ることもあるのですが、今回は自腹ですYO。
 では、作家は取材で何をしているのか。今日はそんな話をしようと思います。

 わたしの場合、やっていることの多くは「答え合わせ」です。
 取材に赴くのは、たいていは執筆直前、あるいは執筆直後です。つまるところ、座学で勉強した当地の地理や国ぶりが正しいかどうかを見て回るわけです。何度も取材をして分かってきたことは、やっぱり書物からの知識は現実とややズレるものであるということ。やっぱり一度くらいは直に見てみないと現地の空気を再現するのは難しいのかもしれません。GoogleMAPを駆使すれば現地の様子をある程度知ることができるようになったとはいえ、距離感とか海とか山の様子、全体に流れる空気感みたいなものまでは知ることができないので、やっぱり取材は大事だなあとなっています。
 また、単純にモチベーションアップですね。執筆前、あるいは第一稿執筆のあとくらいに取材に行くと、モチベーションにプラスになることもままあります(一方で、「考えていた展開が成立しないじゃん」と凹むこともままありますが、間違いを書くよりましと心を入れ替えるようにしています)。
 あと、わたしはひたすら歩いてます。
 わたしが書いている歴史小説の多くは前近代であることが多いので、多くは足、あっても馬や駕籠、舟で移動しています。なので、メインの舞台に関しては出来る限り自分の足で歩き、アップダウンや道の所在、町との距離感などを意識して歩いています。そうすることで、小説に具体的なイメージが乗るといいなあと思っております。

 こうしてまとめてみると、取材で手に入るものというのは具体的なあれこれというよりも、あやふやで形のない何かばっかりだったりしますね。ともすると行間に隠れてしまいそうな細かなイメージ、それらのものを拾い上げるために、作家は旅をするのかもしれませんね。

 まあ、とはいえ、まじめなことばっかりやっているわけではなく、おいしいものを食ったり珍しい酒を飲んだり奇景を眺めたりするのも取材なんですけどね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?