廉太郎ノオト書影おびあり

『廉太郎ノオト』(中央公論新社)のWEB聖地巡礼 番外・浜松編

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 はい、聖地巡礼も最終回です。
 今回は浜松です。
 えっ? 廉太郎さん、浜松に縁があったんですか? と声が聞こえてきそうなので早めにネタバレしておきますが、廉太郎さんは浜松にはほとんど縁がありません。じゃあどうして聖地巡礼なんか……という話なのですが、実は、『廉太郎ノオト』の取材として、浜松のこちらにお邪魔していたのですよ。

 日本唯一の公立楽器博物館です。
 いや、初めてお邪魔したのですが、とんでもなく広い博物館でした。そして、とにかく楽器が多い!

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 これはアジアの楽器たちですが、いや、なんというか自己主張が激しい! 世の中にはこんな楽器があるのかと目から鱗です。
 アジアやアフリカ、ユーラシアの楽器にも出会いましたが、この取材の目的は……そう、ピアノでした。この博物館には近代日本で活躍していたピアノが多数展示されていると伺っていたのです。
 確かにたくさんありました!

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 燭台付きのアップライトピアノや、まだアップライトピアノの形が定まる前のピアノたちです。
 そうか、ピアノが生まれた時代はまだ電気がなかったのか! という新鮮な驚きを覚えて撮影した次第です。本編でも、ドイツ留学している幸の家に置いてあるアップライトピアノが飴色の燭台付きピアノでした。実はこのピアノが遠いモデルになっております。

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 これはピアノ……ではなくオルガンですね。パイプオルガンの一種です。廉太郎さんの時代にはまだ一般的ではないものです。もし、廉太郎さんの時代にこんなオルガンが移入されていたら、もしかしたらピアニスト瀧廉太郎は生まれていなかったかもしれませんね。

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 いかにもなピアノですが、現代のそれと比べるとちょっと小ぶりな気も。ピアノっていろいろあるんだなあと素人丸出しな感想を持った一台です。

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 こちらはピアノ……ではなく、チェンバロです。ハンマーで弦を叩くのではなく、鍵盤と連動する爪で弦をはじくことで音を出す楽器です。一般には強弱が付けづらいとされていますが、こちらのチェンバロは上下の鍵盤によって強弱を操るタイプのものでした。

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 これはなんでしょう?
 そう、なんとフットペダルです。現代のピアノは足で踏む方式ですが、かつては鍵盤の裏にあるこのペダルを膝で押すことによってペダルを動かすという形式のピアノもあったそうです。もっとも、このタイプのものは日本に来る前に廃れている様子だったので、『廉太郎ノオト』には未登場となりました。でも、ピアノという楽器の試行錯誤が見える気がして、わたしとしては大変面白く拝見しました。

 正確には浜松市楽器博物館は『廉太郎ノオト』の聖地ではありませんが、本書片手にお邪魔していただけると、もしかしたら近代にピアノを移入し必死で西洋音楽を摂取しようとした廉太郎さんたちの姿をそこに観ることができるかもしれません。お近くの方はぜひぜひ。

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