奇説無惨絵条々書影

【天狼院書店初心者短編2020年2月コース受講者向け】③創作物の構造を見破ってみよう

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 はい、天狼院書店さんの小説講座にご参加の皆様、ぼちぼち構想からプロット作業に移る頃合いとなっておりますが、進捗は如何でしょう。
 先に進んでらっしゃる方はどうかそのままで。もしまだ構想がまとまらないよという方もじっくり考えてみてください。実を言うと、構想さえしっかりまとまれば、プロットなんてすぐ組み上がります。というより、構想さえしっかりしていれば、プロットなんて飾りにすぎないのですよ。エライ人にはそれが(略)。

 さて、とはいえ、ぼちぼちプロットの話もさせてください。
 構想をプロットにまとめるにあたって、たぶん皆さんがお悩みになられるのは、プロットをどう作ったらいいか分からない! というところかと思います。
 構想というのは「概ねこんな話」というイメージで、プロットはそのイメージに基づいて実際に主人公がどう動くのかをだいたい考えたもの、というくらいの違いなのですが、そこで躓かれる方の多くは「主人公をどのように動かしたらいいか分からない!」なのです。

 まずは先の講義のおさらいです。
 主人公に何らかの目的が与えられ、その目的のために何らかの行動を積み重ねることで何らかのゴールに至るというのが多くの小説が取る大まかな構成であるという話をしました。そして、子細に小説を眺めていくと、以下に上げる三つの要素で小説は成り立っている、という話もしましたね。

 前提 → 行動 → 結果

 まず「前提」で主人公の置かれた状況や状態、物語で挙げられているミッションの進行状況が確認され、「行動」で最終的な主人公の目的に繋がるアクションがなされます。そしてそのアクションである「行動」に何らかの「結果」がついてくる。実は、シーンとシーンの関係は、大きく分けるとこの三つの役割を負っている場合が多いのです。

 講義を聞いていただいた方は覚えてらっしゃいますでしょうか。わたしがこの三つを利用して、世に溢れているアニメーション作品のシーン解説をしましたね。
 もし、プロットで悩んでおられる方がいらしたら、ぜひ、アニメ作品や映画、ドラマなどを眺めながら、それぞれのシーンがどんな役割を負っているのかを考えながら観てみていただきたいのです。あるいは、今お読みの小説でも結構です。漫画……でもいいのですが、漫画はかなり大きな枠組みを持ったストーリーであることが多いので、短編から数巻で終わる漫画でしたらお勧めします。
 そうして読み進めていただくと、色んな事が見えてきます。
 わたしも講座で説明しましたが、ストーリーの多くは、

 前提 → 行動 → 結果① →(結果①を踏まえた)前提 → 行動 →結果② → (結果②)を踏まえた前提 → ……

 のように前提・行動・結果の三サイクルが数珠つなぎになっていたり、

 前提 → 行動 → (不完全な)結果
         → (完全な)結果

 のような形を取っていたりと、三サイクルの要素の並び替えや組み合わせで構成されています(講義でも説明しましたが、二つ目の例は「どんでん返し」というミステリなどで用いられるストーリー様式の単純モデルです)。

 今回実際の創作物の構造を見破ってみようと皆さんに唆しているのは、知識を固定化するときには実際に試してみることが有効だからです。
 もちろん、「プロットを書く」ことや「実際に小説を書くこと」が一番勉強になるのですが、それだとハードルの高い方も結構いらっしゃると思います。なので、まずは「分析」というハードルの低い行ないからやってみましょう、というのが今回のヒントとなります。

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