奇説無惨絵条々書影

【天狼院書店初心者短編2019年12月コース受講者向け】⑧書きながら、インプットしてますか?

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 天狼院書店初心者向け小説講座にご参加の皆様、いかがお過ごしでしょうか。なんと、あと一週間で最後の講座がやってきてしまいます。
 えっ? あと一週間しかないから書き切るのを諦める?
 何をおっしゃるのですか。古人はこう言っております。
 「諦めたらそこで試合終了だよ」と。
 真面目な話をすると、実質あと六日しかないわけですが、まったく書いてないとしても、一日10枚(4000文字弱)書けば70枚になります。もちろん、初めて小説を書く方にとって1枚書くのも大変なのは承知いたしておりますが、火事場のバカ力を信じ、最後まで頑張ってやってみていただけると幸いでございます。

 さて、今日は皆さんにとっては執筆期間中最後のTIPSです。

 皆さん、執筆中の今、なんか本を読んでますか?
 ああ、本じゃなくてもいいです。映画、ドラマ、演劇、その他もろもろの創作物に触れてますか? えっ。触れてない? それは由々しき事態です。もしそうした方がいらっしゃいましたら、必ず創作物に触れてくださいね。
 創作物を作る人にとって、創作物の摂取はマラソン選手にとってのエネルギーチャージであり、水分補給でもあります。
 実は小説を書くという行為は、あなたの中で渦巻いている様々な情報を取捨選択、整理して結晶化させている作業です。これは個々人の情報処理の速度や深度によっても話が変わってくるのですが、場合によると、小説を書いているうちに取捨選択、整理すべき情報すら枯渇する状態が発生するんです。
 あと、皆さんは小説を書くことに関しては初心者です。他の創作物のやり方を摂取することで、今あなたが取り組んでいる小説の行き詰まりを打開するようなアイデアがひらめくかもしれません。そうした意味でも、執筆中にこそ他人の創作物を摂取することが大事なのです。

上級者向けコラム「実は創作物じゃなくてもいい」
 皆さんに「創作物の摂取」をお勧めしているのは皆さんの多くが小説執筆初心者で、物語のパターンというか、枠組みというか、お約束というか……、ともかく「物語のメカニズム」を摂取し切れていない方が大半だと考えられるからです。もっとも、わたし自身そのクチなので、あんまり偉そうなことは言えないのですが、先輩のプロ作家さんなどにお話を伺うと、ちょっと違う様相が見えてきます。
 既に「物語のメカニズム」に知悉した小説家さんの中には創作物を読まず、むしろノンフィクションやルポ、学術書といった「創作物ではないもの」でエネルギーチャージをしてらっしゃる方もいます。
 わたしが皆さんに創作物を読むようにお進めしているのは、情報の出し入れや文章上での処理、お話を構成する各要素のつなぎ合わせ方といった小説のテクニカルな部分を創作物から学んでいただきたいという意図があってのことです。

 実を言うと、皆さんに体験をしてほしいんですよ。
 小説を書くと決めた瞬間、恐らく、創作物は全く別の見え方がします。
 より細かく製作者の意図が理解できたり、細やかな仕事っぷりに感嘆したり……。これまで、皆さんの多くは物語の受け取り手だったわけですが、そうした人たちとは違う、深い読みが出来るようになった自分に気づかれるはずです。
 小説を書くことの良さは、他の創作物を深く楽しむことができるようになる点にもあるのではないかと思います。

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