奇説無惨絵条々書影

【天狼院書店短編講座受講者さん向け】書きあぐねたあなたに⑦時が満ちる時

 WEB連載の「桔梗の人」よろしくお願いいたします! と共に、2019年2月新刊の「奇説無惨絵条々」(文藝春秋)と文庫化「曽呂利」(実業之日本社)もよろしくお願いいたします。

 このエントリは、天狼院書店さんで4/27に開かれました短編講座の受講者さん向けのものです。基本的に小説執筆の初心者に向けた内容になっておりますので、もし講座を受けておらずこのエントリをご覧になった方は「あくまで初心者の方向け」であることをご理解の上読み進めてください。

 皆様、泣いても笑っても今日が最終日です。皆様に笑顔でお目にかかれますのを楽しみにいたしております。
 さて、とはいっても、今回の期間中で書き上げることができなかった方も必ずいらっしゃったと思います。それどころか、結局一行とて書くことができませんでした、という方もいらっしゃるかもしれません。
 この言い方をしてしまうとアレですが、実は「小説を書く」という行ないは普通の書き物とはちょっと違います。だからこそ、戸惑われたり、二の足を踏まれたりするのは当然のこと。小説には小説のフレームがあり、そのフレームに体を慣らすという作業が大事になるのです。
 わたしはよく、「時が満ちる時」という言い方をしています。
 何事もそうですが、物事には適切なタイミングがあるのです。今回小説が手につかなかったあなたは、もしかしたら今というこの時が小説に向いていなかったのかもしれません。もしかしたらある種の責任転嫁にも聞こえちゃうかもしれませんけど……。

 わたしが申し上げたいのは、「今、うまくいかなかったからといって、自分は小説に向いていないと思うのは早計」だということです。
 かくいうわたしも、最後まで書き切れずに何作も宙ぶらりんになった小説があって、それらの屍の上でようやく一編完結までこぎつけた経緯があります。
 もしかしたら、今回はだめだったかもしれません。けれど、もしかしたら半年後、ふと小説を書いてみようという気分になって、意外にするっとかけてしまうかもしれません。そしてその日は一年後かもしれませんし、十年後のことかもしれません。わたしは予言者ではないので正確な日付をお伝えすることはできませんが、短編講座にわざわざ時間とお金をかけてお越しになった皆様は、何かを表現したい方たちなのです。それこそ、もしかしたら小説ではない何かで芽が出るかもしれません。
 その際、わたしがお教えしましたいくつかのコツがお役に立てましたなら、これ以上なく幸いです。

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