奇説無惨絵条々書影

【天狼院書店初心者短編2019年10月コース受講者向け】⑤毎日何かを書こう

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 はい、この前の二回目講座から早くも二週間です。皆さんもぼちぼち実際の執筆に入られているのではないかと思います。講座でもご説明しました通り、実は第一稿の執筆に必要なのは技術よりもむしろ体力気力なので、タピオカミルクティ(なんでもあれ、一杯で800kcalくらいあるらしいですね)でも飲みつつ、ガシガシ頑張ってくださいね。

 さて、第一稿を書いている皆様の中には、手が止まっておられる方も結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。
 いや、それが普通なんです。
 真っ白な紙を渡されて自分の思うところをつらつら書き連ねることができる人なんて少数派にもほどがあります。小学校の時の作文の授業を思い出してください。四百字埋めるのに一時間かかってませんでしたか。わたしだってそんな小学生だったのでよくわかるのですが、アウトプットというのは訓練を積まないとなかなか身につかないスキルなんです(わたしの講座で手を動かすワークショップが多いのは、「自分の心の内をアウトプットする」練習でもあります)。
 特に現代、「ゼロからのアウトプット」が難しくなっています。
 ブログ、TwitterとかFacebook、あるいはnoteなどでも時事ネタに対する意見表明ってできますよね。そもそもブログはそうした目的で開発されたものの、日本人が日記のように用い始めたことで意味合いが変わったものらしいですが、いずれにしても、ああしたこともアウトプットではあります。時事ネタというインプットを自らの言葉で再構成してある結論を作る。ね? アウトプットですよね。でも、実はこれ、「ツッコミ」的なアウトプットなんです。それが悪いわけではありませんが、小説を書くために、と考えた際、「ツッコミ」的なアウトプットは核心部分における機序があまりに違いすぎます。むしろ小説を書くのに必要なのは、明確でない心の混沌からある像を作り上げる「ボケ」的なアウトプットなのです。

 では、「ボケ」的なアウトプットをスムーズに行うコツは?
 もうこれは反復練習しかありません。
 毎日少しずつでも書いてゆく。一日一枚でも半枚でも構いません。少しずつ、自分の思い描く像を作り上げてゆく。ここに必要なのは根気であり、「自分にしか作れないものを作っている」という確信です。最初はもしかしたらかなりつらいかもしれません。けれど、毎日のように少しずつ書いてゆくことで、小説の全貌があなたの前に立ち現れてきます。そして、書いている途中で新たなアイデアが浮かび始めたり、別の小説に使えそうなアイデアが出てくるかもしれません。そうなった頃には、きっとあなたは小説を書くことにハマっています。
 もし、「ボケ」的アウトプットが辛いようなら、いっそ「ツッコミ」的アウトプットから始めてもいいと思います。例えば観劇記録を書いてみてもいいでしょう。あるいは趣味のバイク改造について書いてもいいでしょう。先に「ツッコミ的アウトプットは核心部分における機序があまりに違い過ぎる」と書きました。つまり、逆に言えば周辺部に関する機序は結構似ているとも言えるのです。なので、「ツッコミ」的アウトプットで腕を磨いてから、「ボケ」に切り替えるというのも迂遠ながら、有効と言えば有効な手段ではあります。

 とにかく、何かを書く、ということが大事なのです。

 自分が熱を与えることでしか存在しえない箱庭世界を作る。実は、クリエイティブ趣味は天地創造をするがごときもの、だからこそ楽しいのです。

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