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6/21頃、新刊『ぼっけもん 最後の軍師 伊地知正治』(幻冬舎)が刊行されます

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時間かかっちゃってごめんよ

 2023年もなかばという今、ようやく単行本の新刊が刊行される運びとなりました。

『ぼっけもん 最後の軍師 伊地知正治』(幻冬舎)です。
 上記リンクを辿っていただければ各種WEB書店様でも予約も可能ですし、ISBNコード(本の名札みたいなものです)もあるのでリアル書店さんでのご予約なども可能です。なにとぞご検討ください。
 なんでこんなに新刊の上梓に時間がかかったの? ですって? いろいろあるんですよ、あれこれ色々と……(ありていに言えば、わたしが色々こねくり回しすぎた、というかなんというかです)。
 と濁すのも何なので、裏事情をお話しします。わたしは今、十年目の作家なのですが、ここにきて成長痛がくるレベルでの成長期にさしかかっており、それがためにテキストのバランスをとるのに苦労をしまくり、ここ数年、なんとなく一作辺りにかける時間が長大化しているのです。十年目で成長期っておまえ、なんてスロースターター、と自分で自分のことを笑い飛ばしたくなる今日この頃ですが、成長していないよりはるかにましと自らを鼓舞し、日々七転八倒している今日この頃であります。
 って、ここはわたしの愚痴をUPする場所じゃないんですよ!(と自分の肩をたたく)

そもそも伊地知正治って誰?

 たぶん、タイトルを見てもピンとこない方が多いと思います。
 なので、版元さんの用意してくださったあらすじを引用しましょう。

 鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争。わずか700の兵で4倍の幕府軍を撃破した片眼片足の不自由な「類稀なる軍略家」伊地知正治。ぼっけもんと呼ばれる激烈な性格で兵を駒として操り薩摩人として勝ち続けてきた伊地知が新時代に目にしたのは、荒廃した土地で貧困に喘ぐ民の姿。大久保利通、西郷隆盛と並び称される勤王の志士の胸に、最後に去来するものとは。

版元ドットコム『ぼっけもん 最後の軍師 伊地知正治』掲載文より引用

 そう、幕末の人です。
 幕末期、西郷隆盛、大久保利通とともに志士活動に邁進した三人目の男、それが伊地知正治(いぢち まさはる/しょうじ)です。合伝流という薩摩に伝わる兵法を学んでいたこともあり早いうちから薩摩藩の軍師として頭角を現し、薩英戦争、戊辰戦争で活躍しました。特に、白河城奪還戦では城に籠る四倍の敵から鮮やかに白河城を奪ってみせています。軍事に詳しい人からすれば、「城に籠る四倍の敵から城を奪う」という文字列のヤバさに頷いていただけるところでしょう。それを為したのが伊地知正治という人物なのです。
 なのですが、奇矯な人物としても知られており、のちにある大陸浪人が伊地知のもとを訪ねた際、伊地知節にしてやられた旨を自著に書き記していたりします。
 そんな伊地知は西南戦争後は薩摩に帰ったのですが(註・伊地知正治は諸般の事情で西南戦争に参加していないので、戦後、スムーズに薩摩に帰ることができた様子)、本作はその時代、明治十五年ごろの薩摩の姿を描きつつ、幕末明治期の伊地知の道のりを振り返る構成になっています。
 そんなわけで、本作は「戦記」でありつつ、明治期の伊地知の活動を描いた「政治もの」でもあります。

谷津は伊地知正治を通じて何を書こうとしたのか

 拙作に『北斗の邦へ跳べ』(角川春樹事務所)、『ええじゃないか』(中央公論新社)という書籍があります。どちらも幕末もので、それぞれ”敗者たち”、”勝者とも敗者ともつかない人たち”を取り上げました。わたしとしては、新刊『ぼっけもん』は敗者、中立の者を描いてきた上記二作の死角を描く最後の一作という位置づけをしており、したがって本作は”勝者”を描いた小説となりました。
 でも、谷津が単純な勝者を書くわけないですよねえ?
 幕末・明治という時代に、果たして勝者などあったのだろうか。
 敗者も悲惨だったけれど、勝者にも勝者の苦しみがあったのではないか?
 そんな疑問からスタートしている長編です。
 今のところ、明かせる情報はこんな感じです。
 追加情報を待て!

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