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【天狼院書店初心者短編2020年4月コース受講者向け】①何を選び、何を選ばないのか

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 天狼院書店さんの初心者向け短編執筆講座を受講して下さっている皆様こんにちは。講師の谷津矢車です。先日はありがとうございました。
 二か月余りやっていくにあたり、毎週日曜日、皆さんのお役に立つかもしれない小説TIPSを紹介してゆきます。執筆(もっと広く言えば「小説を書くこと」)に行き詰っている方は時々読んでくれると嬉しいです。

 さて、今回は第一回目なので、最初にお話しした

「根源」

の話を少し深掘り、ないしはその周辺のことを話してゆきましょう。

 わたしが述べている「根源」というのは、

『皆さんが人生を送るにあたって身に着けた思考・行動パターンの総体』

のことです。 

 皆さん、朝目覚めてから一番最初に何をしますか。
 わたしは眼鏡をかけるんですが、皆さん色々の答えがあるんじゃないかと思います。牛乳を飲む、ですとか、トイレに行く、ですとか、布団を始末する、ですとか、着替える、ですとか。皆さん無意識にその作業をしていると思うのですが、実はこれ、皆さんの根源にかかわる話なんですね。
 どういうことか。
 これらの習慣を決めるのは、皆さんのものの考え方や、過去現在に至るまでの皆さんの環境に依存しています。たとえば、ずっと戦場で育った人だった場合、朝起きてまずするのは手元の武器の確認かもしれませんよね。そんな縁遠い話はさておいて卑近な話をするなら、朝布団を片付けるのを最初の習慣にしている人は、親の教育が影響しているのかもしれませんし、今の家が狭すぎて、布団を片付けないことには服を着替えることもできない環境なのかもしれません。
 ここで理解していただきたいのは、あなたの何気ない行動は、あなたの人生の反映だということなのです。

 そういう意味では、好き嫌いもそうですね。
 わたしは『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』という漫画(映画にもなっているのでご存じの方も多いでしょう)が好きです。でも、これをお読みの方の中には「なんだそんなもの」とそっぽを向かれる方もいらっしゃると思います。いえ、そういう方を非難したいのではなく、ある事物に対して「好き」あるいは「嫌い」という態度を取った瞬間、好きと答えた甲と、嫌いと答えた乙は違うものとして区別されます。
 人間の内面の個性というのは、「何を選び、何を選ばないのかという決断の総体」であるといっても言い過ぎではないでしょう。

 そして、ここから皆さんに深掘りして考えていただきたいのは、この二つです。

 自分は、何を選び、何を選ばない人間なのか
 なぜ、自分はこれを選ぶ/選ばないのか

 たとえば、わたしが朝最初に眼鏡をつけるのは、そうでないと何もできないという身体上の都合(近眼)のためです。わたしが『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』が好きなのは(もちろん作品としての面白さにしてやられた面もありますが)わたしが最初に買ってもらった漫画本だからです。ちなみに今にして思うと『~宇宙開拓史』は、

作品全体に溢れるSFマインド
西部劇的な世界観とSF世界の融合
普段頼りない主人公が向こうの地ではヒーローという要素が好き
前向きな別離が描かれている

 などの理由で好きなのです。

 ほら、わたしが本講座の最初に「なぜこの講座を受けに来たのですか」と質問しましたよね。あれは、皆さんに「なぜこの道を選ばれたのですか」と問うたわけです。

 迂遠なようですが、皆さんが「何を選び、何を選ばない人間なのか」を知ることで、書きたい小説の形が見えてくるはずです。
 小説というのは、自分と向き合う作業に他ならないのです。

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