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【天狼院書店初心者短編2020年夏休み特講受講者向け】③やっかいなり、世界観

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【注意】
 こちらのエントリは、天狼院書店さんで開催中の「短編小説100枚を二ヶ月で書いてみる」講座参加者の方向けのエッセイです。参加していない皆様にもなにがしかに気づきがあるかもしれませんが、このエッセイは基本的に「初心者の方が小説を書き切る」という目的設定をした講座に向けたものでありますので、中級者、上級者の方がご覧の際にはそうした点をご注意の上ご覧ください。
【注意ここまで】

 はい、皆さんこんにちは。
 今日も小説TIPSを投下しますよ!

 さて、

登場人物
ストーリー
世界観

の三つが小説を構成する三要素だと説明しました。登場人物、わかる。ストーリーもわかるとして、では、世界観とは何でしょう? 恐らく一番聞き慣れないのが「世界観」なのではないでしょうか。
 でも、皆さんにとって聞き慣れないからこそ、「世界観」は小説を書く際に重く圧し掛かってきます。

 実はわたしたちも、「現代社会」という「世界観」に支配されています。細かく例を挙げていけば、わたしたちは十進法のお金を用いて交易をし、インターネットが当たり前に存在し、(日本の場合)世界中から輸入品が集まる、そんな世界によってわたしたちの行動は決定づけられています。基本的にわたしたちはご飯を食べる際、狩猟採集漁労などに従事することなく、近くの店で買い物をしますよね。そのおかげで、狩猟を野蛮なものとして忌避する傾向すらあります。ここでご理解いただきたいのは、「世界観」はその下で暮らす人々の行動様式やものの考え方をある程度規定するということなのです。

 特にSFや歴史・時代小説、ファンタジーなどを書きたいあなたはご注意ください。わたしたちと違う「世界観」の中に生きる人々が、同じ行動様式を持っているはずがありません。
 極端なことを言えば、縄文人はネットサーフィンをしませんね。そもそも、物々交換はしていましたけど、貨幣経済には全く縁がないはずです。当然そうなれば、彼らとわたしたちの間には価値観の相違や行動様式にギャップがあるのはある意味で当たり前のことでしょう。
 ちょっと角度を変えてお話ししましょう。

 たとえば、「すべての国との国交を断絶した現代日本」を舞台にした小説を書くとしましょう。
 すると、おそらくですが、その日本の文明レベルは相当低いものになっていると想像できます。
 皆さんもご存じだと思いますが、日本は様々な物品を輸入品に頼っている国です。発電や機械の稼働に使われる石油も大半は外国からの輸入に頼っているわけで、当然発電量も落ち、稼働しない機械も増えていくでしょう。そして、そもそも日本は食料自給率が低いので、多くの人が飢えに苦しむことになるでしょう。そんな状況ではきっと様々な産業もストップし、皆さんの消費行動もストップすることでしょう。そもそも、商品が町から消えていることが想像できるので、健全な貨幣経済は成り立っていないことでしょう。

 「世界観」を想像してやることは、実はこうしたことです。
 「こういう世界であるということは、こういうことになるのでは」と理屈をつけていき補強し、その姿を想像してやる。そして、そんな「世界観」の下に生きる人々はどんな思いを抱えているのかを想像し、どういう事件が起こるのかを考える必要があるわけです。そして、ここで得られた考えを「登場人物」や「ストーリー」に落とし込んでやるとよいのです。

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