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最期の時まで③

5月3日
貴女とあと何日一緒にいられる?
3年前の今日の事はよく覚えている。
だから、とても哀しい。
油断すると泣いてしまうので
今日はずっと気持ちを張り詰めていたせいか
頭痛が酷い。
やはり私の家で3人一緒だった。
貴女は気力がなくて
ほとんど横になっていたね…
どこにも行きたくないと言うので、
夕飯はお好み焼きを作った。
今年より気温が高かった様で
貴女の娘は夏のワンピースを着て
私と公園に遊びに行った。
色んな遊具に乗っている写真があるが
どれもなんとなく寂しそうな顔をしている。

貴女はスマホを見たり、
時折り私とおしゃべりしたりして
そして……
お誕生日は何が欲しい?と聞いた。
私のお店で販売しているデザイナー物の
カーディガンが欲しいと言った事が嬉しくて
快諾した。
それが死に衣装になるなど夢にも思わず。

何故、貴女の話しをする時は全て過去形なの?
あの大量の薬は一体なんの役にたったの?
毎週通った20分たらずのカウンセリングは
貴女に何を与えてくれたの?
絶望?
恐怖?
疎外感?

死にたがる病気とわかっていながら、
脳の病気とわかっていながら、
どうして医療は進まない⁈
ただ大量の薬を与え、
眠らせ、気持ちを封じ込め、気力を奪う。
数時間の効き目が切れた時に
自殺を実行する!
私の娘だけ?
いや!違う!!
同じ病気の子達の多くが同じ様に
まるで自分の娘の人生を見る様に
同じ道を辿り、
残された親は同様の罪悪感と喪失感に
もがき苦しむ!
おかしい!
おかしい!
絶対におかしい!
何故救えない?
みんな『聞いて欲しい』と
  『わかって欲しい』と訴えているのに!
本当は生きていたいんだよ。
『普通』になりたいだけなんだよ!
この悲劇はいつまで繰り返される?

生きていて欲しかった‼️
今も側に居て欲しかった‼️

もし3年前の今日に戻れたら
お母さんは貴女を救えるだろうか?

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