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「地方に教育移住」で杞憂だったこと(2)


前回は、教育移住にあたって気になっていたことのひとつ、「文化芸術に触れる機会や習い事の場があるかどうか」について、佐久穂町ではむしろたくさんの機会に恵まれ、親子で楽しんでいることを書きました。

私が気になっていたこと(その2)

気になっていたことのもうひとつは、私立の学校で、子どもの人間関係が画一的になってしまうのではないか、ということでした。

子どもが通う大日向小学校は、「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界をつくる。」という建学の精神を掲げる私立の学校です。

私はこの建学の精神に惹かれ、ぜひここに通わせたいと思いました。一方で、日本で初めてイエナプラン教育という考え方を実践するちょっと変わった小学校、しかも開校したばかりで実態もよく分からないところに子どもを入れようとする家庭って、ある程度似通っているだろうなぁと思いました。

そうなると、通ってくる子どもたちも同質性が高く、世の中にはいろんな人がいるんだ、という現実に気づかないまま大きくなってしまうのではないかということが心配だったのです。

でも、入学後にこれは杞憂だったと分かりました。

子どもたちを通して見える多様性

確かに親同士で話をしていると、子どもの個性を大切にしようという考え方や、前例のないことにもオープンな態度、対話をしようという姿勢など、通ずるところは大いにあります。

でも、子どもたちの様子を見ていると、一人ひとりが本当に違うんです。

違いを認め、それぞれの育ち方を尊重しようというイエナプランの教室だからこそ、もともと持っていた個性が存分に発揮されるのかもしれません。

たとえ同じ年齢で、同じ環境にいても、一人ひとりがすごく違う。それが人間の本来の姿なんだなぁと、彼らの姿から改めて気付かされました。

もちろん、文化や国籍、人種やジェンダー、障害の有無など、子どもがまだ出会えていない多様性はたくさんあります。でも、「一人ひとりが違う」という根っこのところが理解できていれば、その先に広がる世界の広さも、自然に想像できるようになるんじゃないかな、と思うのです。

「違うことは良いこと」が自然に

うちの子は保育園では、他の子と違う、変わっている、と思われることをを恐れていました。それで自分が本当に好きなものを言えなかったのですが、1年生になってまもなく、「馬が好き」と自己紹介できるようになりました。

土地柄もあって「自分以外にも馬好きがいそうだ」と感じ、言い出す勇気が出たのかもしれません。実際、お友達や先生の中に馬好きの仲間もできました。一方で馬の話に興味を示さない子もたくさんいて、それはそんなもの、と思えるようになったようです。

みんな違って当たり前だし、違うから面白い。もうすぐ丸3年になる学校生活を通して、そんな感覚が自然に身についてきたんだなぁと嬉しく感じています。

(トップの写真は、昨年5月の運動会のときのもの。子どもも大人も出たい競技に出る。何も出場しない人もいれば、全競技に参加しようとする人もいる、そんな運動会でした)


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