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ASDグレー娘の学校遍歴 その1(娘は一体どういう子?編)

娘の学校選びは今も手探り

学校選びの難しさは、転々としてきた彼女の学校遍歴が物語っています。

実は高3の今年4月三度目の転校をしました。改めて書くと自分でも驚きますが、今の学校に入ってやっと勉強する気になってくれたようです。彼女の課題はやる気と勉強。普通に聞こえるかもしれませんが、特性があるので勉強嫌いといっても半端なくレベルが違うのです。

進学希望なので、勉強するのは当たり前なのですが、その当たり前が分からないというか、なんというか。発達の特性がなくてもやりたいことが見つからなくて悩む子供は多いと思いますが、それ以上にいろいろ分からない発達っ子には周りからも分かりづらいハンデが一杯あるのです。

本人の希望や言い分をそのまま聞いてしまうと迷走することがよくあります。けれど、それも本人が経験してみないと分からないものだということも分かりました。納得していないと後々恨まれますから、本人の意思を尊重することが大事で、失敗もあえてさせることが大事だと今は分かります。

手取り足取り試行錯誤を繰り返し、いろいろな学校を経験してきました。今度は大学進学を希望していますが、普通とは違う心配は続きます。

「分かんない」が、分からなかった

特性に悩んでいても、普通にしか見えないというのは、誰からも助けて貰えないということです。特に学校では問題を見せないので、いままで親の私がなんとかするしかありませんでした。

とはいえ、私も娘が何に困っているのか実際よく分からないことが多いので、とにかく話し合い、言い分を聞くようにしています。言葉にするのが苦手でも自分で考えるようにさせないと後々大変です。

けれど、彼女の答えはいつも「わかんない」なのでした。特に進路を決める際はこれでは困ります。「分かんないじゃ困るから、どっちか選んで」と言っても、「だから、分かんないって言ってるでしょ! ママが、いつもそうやって聞いてくるから、私が怒ることになるんじゃん! 私に聞いてこないで!」と怒鳴るのです。

以前の日常は、常にこのめちゃくちゃな怒りに振り回されていたことを今更ながら実感します。

自分のことが自分でよく分からず、先を想像することも苦手なので、恐らくいままでも何かを自分で決めて失敗したと思うことが多かったのだと思います。なので、怖くて答えられないのです。

彼女の立場からすれば、答えられないのに責められるのですから、不条理を感じるのも当たり前かもしれません。けれど、彼女の脳がそういう状態だと分かったのは、つい最近のこと。見えない障害のややこしさは、私の想像を超えてきます。

それでも決めて行かないといけない

私も初めの頃は「え?『そんなこと』も分かんないの!?」と純粋に驚きを口に出しては、娘を怒らせていました。

確かに、自分の脳がいろいろ分からない状態だったらと想像すると、娘が怒り出す気持ちも分からなくはありません。けれど、そんな状態であっても知的能力はあるので、その能力を活かせるよう、難しいと思える事にも挑戦していかないといけないのです。

とはいえ、娘は学校にしろ何にしろ選択することが難しいので、行きたい大学を決めるのは、ある意味賭けになりそうです。

もうそうなると分かんないけど本人を信じるしかない。いろいろ問題はあっても、結局親の私にできることは彼女の思考の補助と応援くらいなのですから。

「これをしたら、こうなるかもしれない」とか「あなたはこういうことは苦手だけど、大丈夫?」とか「あなたは、前にこういうことを言っていたよ。好きそうにしていたよ」など、記憶の呼び起こしや確認、自分で考えるのに必要な情報をアドバイスしています。

昔は即「そんなのわかんない!」と言って怒ってばかりいた娘でしたが、今は少しづつ自分で考えて決められるようになってきています。

今コロナで大学のオープンキャンパスも開催日数が少なかったり、入場は生徒だけに限られていて親は見れなかったり。娘の補助も思うようにできない難しいご時世ですが、それでも前に進むしかありません。

知的能力がある発達グレーには、それに合った支援などありません。進路も出来るできないのレベルが人それぞれなので、これといった道もありません。こういうのもなんですが、知的があると進路は限定されるので、悩む必要がない点では楽と言えるかもしれません。うちのように出来る出来ないの凸凹が激しいだけでは公的支援も何もありませんから、なんとかしたい人は有り金叩いて民間のサービスを使って自覚に辿り着ければいい方だと考えます。

勉強は大事ですが、集中力や独特のこだわり、興味の狭さなど、恐るべき特性は挙げたらきりがありませんから、無理はしないけれどもスモールステップで前に進むことを目指すのが、知的無しの発達グレーにはいいのだと思います。


*学校遍歴は「ASDグレー娘の学校遍歴(どの学校がいいの?編)」に続きます。

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