「蟲愛ずる女」には彼女が描いた蚕の美しさを見ることができる。中勘助の「銀の匙」にも大人たちに捨てられた蚕に傘をさして涙する少年の姿があり、長年こんなことを思うのは自分だけなのかと口を閉ざしていた気持ちが救われた気がして、少年と一緒に声を上げて泣いた。人間が語る尊さの奥の狡猾さよ。

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