「発達障害者に優しい職場は全ての人に優しい職場」説への疑問への意見

最近ときどき見かける意見で、発達障害者のなかでやりとりされているもので「発達障害者に優しい職場は全ての人に優しい職場であるとは到底思えない」というものがあります。曰く「発達障害者に適した(暗めの)照明は弱視や老眼の人には暗すぎるでしょう?」「発達障害者の聴覚過敏に配慮して静音を保つことにしたら電話応対や職員同士の相談はどうするの?」などなど。見かけるたびにモヤモヤしてコメントしたくなってたまらなくなったので、ここに書いておくことにします。

「発達障害者に優しい職場」とは

「発達障害者に優しい職場」とは、照明を一律に落としたり職場全体の騒音を控えた職場ではないと私は思います。

ではどんなものだと思っているかというと、例えば照明の話なら、「全体の照明はやや暗めにするとしても、それでは暗い人のために個別の照明を用意できる職場」「全体の明るさを通常に保ったとしても、それでは眩しいという人のために薄暗い仕事部屋を用意できる職場」です。騒音の話であれば、「騒音を苦手とする人が耳栓やノイズキャンセリングイヤホンなどを装着して仕事をすることを許可し、その人が音が聞こえづらい状況にあることを理解して対応する」(声をかけるときにメモを差し出して合図するなど)というようなことです。一人でゆっくりと休憩が取れる静かな休憩室などもあると理想的かと思います。

要するに「個別の要望に対応できる職場かどうか」ということが重要なのであり、「発達障害者の個別の要望に対応できる職場は、全ての人に優しい職場」ということであると思っています。もちろん個別の要望を発信するのは障害者に限らず、全ての職員であるべきだと思っています。当然ながら職場ですので、「仕事をしやすくするため」というメインテーマから逸れてはいけませんが、一人ひとりに合わせた柔軟な対応ができる職場は障害者にもそうでない人にも優しいということになりましょう。

「誰か一人に合わせる」のでは多数派中心の社会と発想は同じです。そういった画一的な職場デザインではなく、もっと柔軟な職場デザインにしようという話だと思うのですが、語感だけが先行してしまうのでしょうかね。

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