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Tierra Whack『World Wide Whack』

リリース日:2024年3月15日

米フィラデルフィア出身のアーティストTierra Whackの最新作にして、待ちに待ったデビューアルバム『World Wide Whack』が3月15日にリリースされました。今回はこの作品について現時点での感想や周辺情報を書いていきたいと思います。

2018年にリリースされた『Whack World』は、一曲1分で15分で聞けるアルバムとしても話題になりましたが、彼女のSNSでの投稿をみるに、今作が一作目のアルバムにあたるとのこと。『Whack World』後も、AppleのCMで使用された曲など含む複数のシングル曲や『Pop?』『Rap?』『R&B?』三部作のEPのリリース、また2022年に発表されたマドンナが参加したビヨンセの「BREAK MY SOUL(THE QUEENS REMIX」でも名前が言及されることもありました。その歳月を経て、満を持してのデビューアルバムのリリースとなりました。


今作のコンセプトとして挙げられるのは、彼女のアルターエゴの存在です。DeepLでそのまま訳しただけのプレスリリースによると…、「手の届かない存在でありつつ、傷つきやすく、超人的でありつつも、痛々しいほど人間的なキャラクターであり、17世紀のイタリアのピエロ、ファッションデザイナーのエルザ・スキャパレリ、ドナ・サマーにインスパイアされている」とのこと。そのキャラクターは、Alex Da Corteというアーティストが手がける今作のジャケットやMVにも登場します。彼女のインスタグラムで、今作はAlexによって「brought to life」されたという言葉の通り、彼が手がけた世界観も一つの大きな存在、コンセプトになっているようです。2023年には金沢21世紀美術館で彼の展覧会も行われていたみたいです。
音楽のみならずMVや作品のデザインなどもユニークで、コミカルでユーモアがあるというか、茶目っ気のあるところも彼女の世界観も魅力の一つです。

リード曲の「Shower Song」では、シャワーを浴びることについての内容でしたが、もう一曲のリード曲「27 Club」では、愉快でノリの良い印象とは裏腹に、普段表には出せないような自身の不安や悲しみが歌われています。コーラスで繰り返される「the coach got me doin' suicide」というフレーズには最初戸惑いを覚えましたが、Geniusをみると「Suicide 」というシャトルランのような走るトレーニング法があるそうで、その言葉とかけて、それだけナレーターが辛い状況に追い込まれているという様子が伝わってきます。
歌詞はまだしっかり読めていませんが、日常の中で感じる喜びから悲しみやまで様々な感情が彼女らしい言葉で描かれていて、個人的には好きな一枚でした。

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