ロングスロー対策

今回のまとめるきっかけ

ロングスロー対策本部の大場です。

先日行われた高円宮杯U18プレミアリーグファイナル、EAST王者:青森山田 vs WEST王者:サンフレッチェ広島ユースの試合は2−1で青森山田が勝利しました。

同点弾から逆転弾まで後半のロスタイムに起きたということでサッカーファンの皆さんはもちろん「あー、サッカーってほんとやばいな」と再認識したことかと思います。

大場個人としては同点弾のロングスローからの一連の流れはファウルであったと考えているので(じゃないとGK危ないって)、今回はロングスローへの対策まとめをしていきたいと思います。

筆者の大場コーチとしてもフットサルでのチョンドンに始まり、サッカーでも今回のロングスローやコーナーキックで散々痛いめに遭ってきました。

対策をしたところで防げないときはあるというのが世の中の常ですが、頭の中に入っているだけでもだいぶ違うと思いますので、まとめていきます。

ロングスロー対策について考えてみた

①そもそもスローインにさせない

まずはそもそもスローインにさせないというところから話を考えていきましょう。では何故サッカーではロングスローが起こりうる位置にボールがいってしまうのか。これはサッカーでは競技の特性上、ゴールがピッチ自陣サイドの最終ライン中央にあるためです。


ゴールは中央にある

そうなんです。ゴールは中央にあるんです。この当たり前であり、当然の前提条件から考えていかないといけません。

サッカーは得点を相手より多く取ったチームが勝つスポーツです。必然的に0点に抑えることができれば負けることはありません。よって多くの指導者がまずは守備から整備するわけです。まずは負けないために。

JFAの講習会でよく言われるのがサッカーには4局面あり、①攻撃、②攻撃→守備、③守備、④守備→攻撃。この4つの局面がぐるぐるとサイクルしていくというわけです。

最近ではこの攻撃をボール保持、守備をボール非保持と定義するケースは多くなってきました。個人的にはこのほうが結構好きです。ですが、ここでの好き嫌いは今回の論点とはズレるので機会があればこのボールスポーツについて考えていければと思います。

で、今回はこの守備局面(ボール非保持局面)について考えたときに、JFAでは「この守備局面においてのプレーの目的は何か?」必ず聞かれます。

正解は「ゴールを守る・ボールを奪う」この2点です。

そしてゴールを守るためにはボールをゴールから遠ざければ必然的にゴールを取られる可能性は少なくなるので、自分たちがボールを持っているときには自陣でのプレーを減らし、自陣でのリスクを取るプレーを取らないようにしていくわけです。よってここでクリア(ボールを大きく遠ざけるように蹴るプレー)が生まれたわけです。

このクリアはチームによって基準が異なることが多いです。僕が所属している市立浦和高校では、状況によってアバウトなボールをしっかりコントロールして、自分たちのボールにすることがセオリーになります。自分たちがボールを持つ時間を増やして、90分の枠組みから相手の攻撃の時間を減らしていくことを目指します。
ですが、チームによっては相手の攻撃へのトランジション(ポジティブトランジション)を自陣で起こさせないために、タッチラインに蹴り出すチームが埼玉県1部リーグでもいます。それはオートマチックに判断の時間を削いだ判断が行われているのです。ゴールからボールを遠ざけていくために・・・。

そしてここに落とし穴があるわけです。ゴールからボールを遠ざけるという意味ではミッションコンプリートです。しかし、スローインになり相手ボールからリスタートが始まります。ここが今回の話の肝です。ピンチを遠ざけるためにしたプレーが相手によってはより自分たちのピンチになってしまう危険性があるのです。


ボールを残す守備。それは枝Dの内田淳二さんがまとめてくれているので、これをぜひ参照してください。大事なことは守備のもうひとつの目的「ボールを奪う」です。


②それでもロングスローになったときにはポイントを抑える

とはいえ、全部刈り取ることは難しいし、相手はロングスローやCKでの得点を狙ってきます。CKでの張り付きも同様なのですが、守備を考える時にはまずは攻撃側の心理に立つことが重要です。

基本的にこの事故狙いのデザインされたセットプレーでは大きく3つのパターンです。

  1. ニアに来たボールを直接シュート

  2. ニアからファーへのフリックからシュート

  3. プレーミスが起きた時の中央でのごちゃごちゃシュート

この3つです。これはほぼ揺るぎないですし、ロングスローを見せかけてショート作るとか、CKでの張り付きからのショートコーナーでの揺さぶりは、ほぼ見たことありません。自分が選手だったら、ロングスローでの守備側心理を利用して逆にトリックを仕掛けていきたいのですが、どうやらそのまま上記3つを狙ったほうが得点の割合が高いのを彼らは本能で知っているようです。。。

そしてこのポイントがわかるとチームのなかでどのような選手をその3つのポイントにおくべきか、わかってきますね。

1:ニアにきたボールを直接シュート。
これに関しては、まずチームで1番競り合いの強い選手を置きましょう、相手にそれでも質的優位を取られそうな場合にはもう1人と2人で可動したいところを挟み込む形が有効です。このターゲットマンへの挟み込みが甘くて失点することはよく見られますが、逆に挟み込むことに成功すればほぼ完封できるというのも事実です。相手のターゲットマンがいるところが相手のスローワーから放たれたボールの到達地点ですから、ここは全力で挟み込みにいきましょう。体の向きもボールサイドの片方はボールを見ないで味方同士で向かい合う形を取った方が良さそうです。あとはジャンプのタイミングは相手選手の跳ぶタイミングがそのときです。ボールの入射角を考えて思いっきりジャンプしましょう(少し難しい技術です)。ゴール側にメインのヘディング強い選手が役割としてはいいでしょう。もちろん、GKが出れるようなボールであればGKが積極的に出ましょう。確保できなくて構いません、とにかく弾き返しましょう。

2:ニアからファーへのフリックからのシュート。
こちらに関してはフリックされた場合、反対側のゴールポスト付近に着弾することが多いです。そのため、ここにチームで2番目に競り合いが強く、そしてリアクションスピードが速い選手を投入しましょう。横方向への身体の使い方が上手い選手を置けると最適です。横方向からのボールへの反応が求められることが多いのでもしかしたらFWで合わせるのが上手な選手であるとなお最適かもしれません。ゴールを横切る形になるので、ポジショニングによってはGKが対応できるといいかもしれません。ここではニアでボールが思ったよりも届かずGKが出ない判断をした場合の話です。GKが既にニアでボールにチャレンジしたもののこうなった場合は素早くFPがゴールカバーをします。

3:プレーミスが起きた時の中央でのごちゃごちゃシュート。
最後にこちらです。これはもう気合です。とにかく掻き出すのが上手い選手が入るべきです。大事なことは気合です。

まとめとしてはベースとしてはゾーン対応する、ターゲットには必要ならば2枚マークつける、ファーへの意識、このあたりは重要かと思います。

最後に

最後になりますが、審判は神様じゃありません。全てを見れるわけではありません。ロングスローに関しても投げれる選手がいるなら投げた方が得点になることは多いでしょう。ですが、これは好みの問題で大場はもうちょい苦労してデザインしたほうが最終的に気持ちよさが勝つのではないかと考えます。
フットボールの側面です。どんなプレーも。それぞれの流儀がぶつかり合うからフットボールは世界で1番愛されているスポーツなんだと思います。

青森山田の皆様、おめでとうございました。

今後加筆するかもしれません(2023年12月11日記)

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

いただいたサポートはフットボール界の未来に繋げます😄