翻訳記事:北朝鮮リーグはどうなっているのか?


北朝鮮サッカーに関する詳細な記事を見つけたので翻訳
(有料ですが、全部読めます。払う価値ありと感じたら投げ銭いただけると嬉しいです。)

↓元ネタ アカウント名「大洋洲足球专栏」の投稿(23年8月)
(ただし原文は作者(か取材先)の個人感情や私見が現れた部分があり、かつ政治的な話も多く、それらを削除し、極力客観的事実を翻訳)

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長年、我々は北朝鮮サッカーに対して偏見があるがこれは仕方ない。なぜなら北朝鮮の特殊な政治・スポーツ政策のもとで関連情報は不透明な状況。
 奇遇にも筆者は北朝鮮の関係者や、ブラジルにいる情報通、北朝鮮体育部門の脱北者と意見交換でき、この文章を書くことができた。この文が各位の北朝鮮サッカーについて理解深める助けになればと思う。

1.北朝鮮リーグの体制は?

現在、毎年上半期/下半期にシーズンを分けており、例年年をまたぐ。
 男子について、北朝鮮サッカー協会が4段階のリーグを管轄する。
2023年の1部リーグ4.25,火炬,平壤,燕子,鴨緑江,小白水,黎明,羅先先鋒,月尾島,開城体育団(or烽火山),火車頭、(注:もう1チーム機関車)
2部リーグは軽工業部,自動車,賛同者,海鷗,黎明水,金策工業大学,两江道体育会,龍南山。
3部リーグは王在山(平壤火電連合がスポンサー),三池渊金正淑,慈江道金英柱,妙峰山,金日成総合大学,金元均音楽総合大学,普通江,咸鏡南道哨兵
4部リーグは平壤張哲九商業総合大学,大同江啤酒厂,平壤体育大学,南浦光復,二月八日体育団,礼成江体育団,黄海南道足校。
ただし、全チームを網羅できていない可能性がある。
(注:各リーグチーム数にバラつきがあり、恐らく聞き語りを含むため、未完全なのは仕方ないか)
北朝鮮は2012年(主体100年)時点で、「朝鮮足球最上級リーグ」から名称を
朝鮮足球甲級リーグ(1部)乙級(2部)丙級(3部)、4部は朝鮮足球全国リーグ。
1部リーグは10チームによる3循環制。正常なら12月開幕~翌10月終了。延べ10~11か月のうち、1月中旬~3月はウインターブレークを挟み、この期間は移籍期間となる。7月中旬~8月下旬は2度目の休止。シーズン終了後10月~12月が3度目の休止&移籍期間。
他に、金亨稷師範大学,韓徳铢平壤軽工業大学等の6校は北朝鮮大学生リーグに参戦する。
他に一般人労働者のサッカーについて。「鋼鉄連合企業足球協会」と「電力連合企業足球協会」「火車頭足協」「人民軍足協」といった組織がある。
在今年5月の「鋼鉄..」のリーグは、千里馬鋼鉄連合が金策工業連合に勝利し優勝。両チームはスポンサーのバックアップあり半プロ化されている。
 カップ戦、北朝鮮は目下以下のカップ戦がある。
共和国成立日杯,万景台杯,白头山杯,全国運動会(プロ選手が各地元を代表し戦う。国体のような)鳌山德杯、火炬杯(也即普天堡杯)。
 高校サッカー。平壤牡丹峰第一高級中学優勝、万景台革命学院が準優勝。
 女子リーグは、朝鮮対外経済省傘下の"我的家郷(我が故郷)"(松都師範大学+平壤体育会が合併)が最強チーム。
なお、引続き主に男子リーグに基づいて記述するが、男尊女子の意味はなく、単純に資料や情報不足による。

2.北朝鮮リーグの運営は?

比較的動きが少ないリーグ。昇降格枠は1、下部リーグは2だが、時にお偉いさんの命令で復活することもあるとか。
北朝鮮の4レベルのリーグは北朝鮮サッカー協会が運営。主管部門は国家体育指導委員会。(体育省を飛び越えているが、国家体育指導委員会と体育省が二重でサッカー協会を率いている状態)

3.強豪チームはどこ?

4.25は不動の最強チーム。
最も勢いあるのは羅先先鋒。降格しまた1部復帰後調子が良い。

4.各クラブの背景は?主要チーム紹介

・4.25(April 25)朝鮮労働党政治局に属する。チームの書記(注:社会主義国家なので書記=責任者)は内閣総理の金徳訓。北朝鮮上層部の変動の中で、4.25も不安定な状態に。2021年はリーグを小白水に獲られ、2022は万景台杯、リーグ共に優勝を逃した。
火炬(Hwaebul)朝鮮青年同盟に属する。金正恩の関与で成立したクラブ。2013年4月29日金正恩の指示により平壤で成立。当初は4.25へ挑戦する使命を帯びていた。
平壤(Pyongyang)平壌市共産党委員会のクラブ。平壤の書記がクラブ書記を兼任、22年末に金秀吉が就任。金秀吉就任後成績低迷し残留争いに。
燕子(Jebi)内閣祖国和平統一委員会(即ち南北統一を目指す部門)が統括。
鴨緑江(Amnokgang)黄海南道党委員会所属。数少ない地方の省レベルのサッカークラブ。過去10年で2度火炬杯優勝。
小白水(Sobaeksu),人民保安省のチーム,人民保安省は2020年頃"社会安全省"に名将変更したが、人民保安省の方が馴染まれている。ここの主要任務として、教化所の運営、脱北失敗者への思想改造など、、
黎明(Ryomyong)人民武力省、即ち軍隊系のチーム。先のシーズンでは4.25に次ぐ、羅先先鋒を上回る2位。シーズン前「初タイトルを獲得し、偉大な第8期八中全会に献礼しよう」とのスローガンを持っていた。
・月尾島(Wolmido),月尾島とは西海岸の小島・月尾島に因む。ホームタウンは咸鏡南道の咸興,咸鏡南道のチーム。他のチームと異なり月尾島はサッカーチームしかない(=他は総合スポーツクラブ)。かつ女子>男子。監督李成虎は16年から指揮する。咸鏡南道の書記は李正男。このチームは韓光成(ハン・グァンソン、セリエAでもプレイ)がデビューしたチームでもある。
・開城体育団(Kaesŏng)平安北道党委のクラブ,平安北道書記の文景德がクラブの書記。開城は古都だが現在は辺境の都市。事実上、対外経済省に所属するクラブだったが17年頃開城市党委に委譲され、18年までに平安北道党委に移った。
・烽火山(Ponghwasan)国家建設監督省のクラブ、名称の由来は朝鮮戦争の激戦地・烽火山。多くの中国人義勇兵が戦死した場所。
火車頭(Kigwancha)朝鮮鉄道省のクラブ、鉄道相の張春城が書記。
(注:Kigwancha,,きかんしゃ、、似てる。西欧風に読めばLokomotiveか)

 (注:原文では33チーム分の紹介あるが、しんどいから一旦ここまで
興味ある方は原文から翻訳してください)

5.どうやって移籍するか?

 2018年北朝鮮サッカー協会はボスマン判決を採用。北朝鮮の選手は自由に移籍できるようになり、上層部の意思がすべてではなくなった。
同時に17年待つに協会は選手の契約形態を変更——以前多くの選手は契約がない状態で、自治体政府か党委員会の下にいた。だが18年から協会は選手や指導者の登録システムを導入、それに伴い契約も必要となった。
 初めて自由移籍をした選手は金明順。17年小白水に在籍し年度優秀選手4位に入選。18年1月25日に契約満了後、フリーで4.25に加入。——当時小白水は火車頭と上層部同士で合意しており、以前の慣習では上層部の決定に従わねばならなかった。だが金は火車頭行きを拒否し体育省に仲裁求めた。結果、金はフリーで自由に移籍先を選択できると裁定。金は4.25に加入した。

金明順

北朝鮮の各チームにおいて、上層部の意思はとても重要になる。火車頭と小白水の関係は悪くなかった。火車頭の2軍は龍南山。小白水と4.25は金明順の件で関係悪化することもなかった。慈江道と两江道は以前監督人事の件でいざこざあり、北朝鮮で数少ない関係悪いチームだ。

6.外国人選手は?

北朝鮮には外国人選手の制度はある。——大学の外国人留学生は大学リーグで参加できる。だが18年の改革後外国人選手に関して明確な規定はない。そして少なくとも外国人選手獲得の動きもない。

7.草の根レベルでは?

北朝鮮に地方リーグはないが、全国規模で多くの大会がある。例えば「労働者杯」は労働者や農民がチーム組み参加する。学生は小学校からサッカー教育に触れる、朴斗翼韓光成は北朝鮮ファンの憧れだ。(注:前者は1966年W杯8強時の主力、後者は98年生まれセリエAやカタールリーグでプレイ)
他にも、欧州5大リーグの放送がある(プレミアは少ない、フランスリーグが多い) 欧州カップ戦やW杯も放送がある。また、長白山の向こうの国のリーグ、即ち延辺の試合も放送ある(注:延辺は中国吉林省の延辺朝鮮族自治州のクラブ。以前1部にいたクラブは財政難で解散も、後継クラブは現在2部リーグに参戦中)。

8.選手たちのルーツは?

各クラブのサテライトチームかサッカー学校出身。北朝鮮は多くのサッカー学校があり、選手を育成している。他にも1部大学リーグの優秀な選手がプロクラブに加入している。

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北朝鮮サッカーに関してはWikipediaもFacebookもTwitter(X)もWeiboもなく、公式な情報発信がないため情報を得るのが極めて困難。
インタビューとはいえ、かなり貴重な情報量。
国の体制上仕方ないのか、クラブチームは原則行政機関や自治体の傘下クラブ。民間運営のクラブはないようで、その点倒産とかそういう心配はないのか。中国も最終的にはこうするしかないのか・・?

コロナ禍で北朝鮮の各ナショナルチームは国際舞台から消えていたが、23年杭州アジア大会で復活。日本代表とW杯予選でも同居予定で、今後の復活が期待される。

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