正式名称は浙江職業足球俱樂部(Zhejiang Professional F.C.)略して浙江FC
ホームタウンは浙江省杭州市(Hangzhou)。歴史古く589年に杭州と名付けられ、南宋の首都だった人口1千万人超の都会。世界遺産の西湖など観光名所も多い。アリババ本社があるなどビジネス面の存在感も強い。
　ホームスタジアムは本来杭州の黄龍体育中心だが、9月のアジア大会開催準備との兼合いで23年はずっと湖州市(Huzhou)のスタジアムを使用している。その影響か今季リーグでは観客動員で苦戦(1万人未満)
　ACLも杭州でなく湖州開催が濃厚。9月の　アジア大会準備で、1年間ずっと使えないって理解に苦しむが

　1998年クラブ設立、不動産デベロッパーの緑城グループ(Greentown)が創立からスポンサー。何度もチーム名変更しているが09年～18年杭州緑城が一番知られているだろう。杭州緑城時代岡田武史・トルシエ・ホンミョンボが監督務め、岡田監督時代2013年は大黒将志も在籍。池田誠剛、小野剛両氏など日本人のコーチやフィジカルコーチも多く在籍。

　2017年の2部(中甲)降格以降はスペイン路線に変更。元スペイン代表＆バルセロナのセルジ・バルファン(Sergi Barjuán)が19年まで監督務め、鄭雄(ZhengXiong)挟み、2021年から現任ヴィニャルス(Jordi Vinyals)就任。1年目で1部昇格、2年目にリーグ3位＆カップ戦準優勝と大躍進した。
　2020年から国有企業の浙江能源(Zhejiang Energy)が資本参加し、現在株式は緑城グループと50％ずつの保有。チーム名も21年から現在の名称に(チーム名にスポンサー名の使用禁止のため)
　緑城時代から育成に定評あり、2部低迷期でもユース代表に多くの選手を輩出した。岡田監督時代に成績は低迷したが、抜擢された多くの選手が中国代表や中超列強の主力として活躍。謝鵬飛(武漢三鎮)石柯(山東泰山)など。現中国代表主砲のFW張玉寧(ZhangYuning/北京国安)も下部組織出身で18歳でトルシエ監督がデビューさせた。

因みに14年から東芝空調、16年からパナソニックがスポンサー入りしており、共にユニフォームに社名が入っている。親日か

杭州緑城時代の2011年以来13年ぶり2度目。前回は初戦で名古屋グランパスに勝利も、最終的に1勝2分3敗でGL敗退。
まずプレーオフ勝ち上がるのは必須で、GL突破が目標か

ジョルディ・ヴィニャルス(Jordi Vinyals)　
1963年スペイン生まれ。バルセロナ下部組織出身、現役時代べティス・ビジャレアルなどでプレイ。引退後にバルセロナのカンテラやBチーム監督をへて2015年中国へ。19年まで青島黄海監督。21年浙江監督就任後、1年目で1部昇格、2年目昇格組ながらリーグ戦3位＆カップ戦準優勝と躍進。目立った有名選手がいるわけでもない浙江を躍進させた手腕は見事、代表監督になって欲しい

22年一杯で40歳のブラジル人FWマテウスが退団も、代わりにコートジボワール代表FWクアッシ(Jean Evrard Kouassi)を獲得。中国歴7年の即戦力はエース候補と期待される。
また上海申花から銭傑給(Qian Jiegei/Alexander N'Doumbou)、広州城から李提香(Li Tixiang)と即戦力級2人を獲得し選手層がアップした。
23年夏、微妙だったカメルーン人FWエウォロの代わりに得点ランク首位のFWレオナルドをレンタルで獲得。

まさかの開幕4連敗と最悪のスタートを切ったが、その後持ち直す。
開幕前に正GK顧超(Gu Chao)が連行されるアクシデントも(その後情報なし、恐らく収賄に関与した容疑でまだ拘留中)。大黒柱・フランコの欠場が増えている中でもそれなりに戦えており、補強の成功と地力UPを感じる。

33趙博(Zhao Bo）29試合　93年
19年から加入。昨年まで控えGKだったが、22年末のカップ戦では準々決勝で1試合2本PKストップするなど準優勝に貢献し評価上げた。顧超のアクシデントで今季正GK務める。8月リーグ最優秀GKに選出された

12頼金峰(Lai Jinfeng)2試合ｰ3失点 97年
雲南省昆明出身。生え抜きの2ndGK。今季はカップ戦と、趙博が退場＆出場停止で20節、21節出場。海港戦(3-4)3失点も致し方ない失点かと。

2梁諾恆(Leung Nok Hang/香港)22試合1得点　94年　CB
香港生まれの香港代表(中国リーグで香港や中華台北の選手は外国人扱いにならない)。20年から中国本土に渡り、梅州経て21年から浙江へ。高さ、強さ、足元もあるCB。セットプレー時得点力高く昨季4得点。

36ルーカス(Lucas Possignolo/ブラジル)25試合1得点 94年 CB
サンパウロFC出身、188CMの長身CB。ポルトガルのポルティモネンセで8シーズン在籍し多くの日本人選手とチームメイトだった。開幕前移籍話もあったが残留。万全なら守備の軸だがやや怪我が多い印象。ホームの甲府戦では先制点。

28岳鑫(Yue Xin)　27試合　95年　LB/LMF
湖北省武漢出身。不動の左SB。15年に加入した最古株。遼寧・大連でキャリアスタートさせ15年故郷の武漢卓爾(その後解散)、16年デンマーク2部Vejleに在籍しリーグ戦12試合出場。U23,U20代表歴あり。技術は粗いが粘り強い守備や献身的なプレーが魅力で、今季も5アシストを記録している。

19董宇(Dong Yu)23試合　94年　RB
山東省青島出身。右SBのレギュラー。05年に下部組織加入から浙江一筋の生え抜きで、フランク欠場時はキャプテンマークも巻く古株。チーム愛も強いが、今季既に警告4枚退場2回と荒っぽい印象。

4孫正傲(Sun Zheng'ao)20試合1得点　CB　94年
山東省青島出身。下部組織から生え抜きで、岡田武史監督時代にトップに昇格した世代。CBの3番手だがスタメンとあまり差はなくルーカス・梁・孫は誰が先発でもおかしくない。U20代表歴あり

20王東升(Wang Dongsheng)21試合　97年　LB/RB
浙江省台州出身、下部組織から生え抜き。右サイドバックで董宇の控えという立ち位置だが、左にも対応。今季もほとんど途中出場。U19代表歴アリ

5劉浩帆(Liu Haofan)　9試合　03年　CB
湖北省武漢出身。下部組織生え抜きの若いCBで、22年トップデビュー。23年はU20アジアカップの後U22代表合宿に招集されたためクラブでの試合数少ないが今後に期待。U20アジアカップ日本戦ではCKから先制点を決めた。

3王瑒(Wang Yang)　69試合　93年　CB
河北省保定出身。下部組織生え抜きの控えDF、今季の出場もほぼ終盤に守備固め要員として投入される。前回ACL出場した2011年大会でエスコートキッズを務めた

6姚均晟(Yao Junshen)23試合3得点　95年　CMF/AMF
遼寧省大連出身。山東泰山の下部組織出身、14~16年はポルトガル下部でプレイ。19年にW杯予選モルディブ戦でA代表デビュー。攻撃的MFでパスワークやミドル、前線への飛び出しが武器。山東で出番に恵まれずも浙江にレンタル移籍し翌年から完全移籍。

11フランコ・アンドリヤシェビッチ(Franko Andrijašević/クロアチア)
20試合8得点　91年　AMF/FW
主にトップ下だが、189CMと高さもありヘディング、ミドルなど得点量産。キャプテン務める大黒柱だが今季は負傷離脱多くコンディションが不安。
名前長いので中国メディアはフランコ(弗兰克)と略す。16年リエカ時代にクロアチアリーグMVP。同国代表3試合1得点。ベルギー経て21年浙江加入、2部時代から支えている。プレーオフ(1-0ポートFC)でも値千金の決勝点

29張佳祺(Zhang Jiaqi)22試合2得点　91年　CMF/CB
遼寧省瀋陽出身。192CMの長身ボランチ。中盤の底か3バックのセンターでブスケッツみたいな感じ。フランス・ルマンの下部組織出身でフランス2部で得点も。14年大連に加入しA代表入りも、翌年広州恒大(現広州FC)加入後出番に恵まれずレンタル暮らし。22年浙江で復活し、23年中国代表復帰。中盤の守備や、セットプレー時の得点源としても期待

8銭傑給(Qian Jiegei/Alexander N'Doumbou/ガボン)
25試合　92年　CMF/RMF
ガボン代表でロンドン五輪やアフリカ杯出場経験あり。早くにフランスに渡りマルセイユの下部組織出身、19年上海申花、23年浙江へ加入。主にボランチで守備的役割だが時折ミドルやFKでゴールを脅す。
母親が中国人で申花入り後中国籍を回復。但しガボン代表で公式戦出場しているため中国代表入りは不可＆ACLでは外国人扱いになる。その為ACLではなかなか出番がない

10李提香(Li Tixiang)28試合　89年　CMF/AMF/RMF/CB
リーグ脱退した広州城(旧広州富力)から加入。北京出身で北京国安育ち。
中国人選手では少ない長髪が特徴的。ボランチが主だが、CBやトップ下にも対応するマルチロール。10番らしく中盤で組み立てを担い、鋭いパスで今季4アシスト。代表入りを期待する声も。でももう34歳なのが惜しい

31顧斌(GuBin)23試合　91年　LMF/AMF/DMF
上海出身。左MFかセンターで起用.昨年カップ戦決勝では見事なミドルを決めた。上海申花育ちで、19年から浙江に加入。11年本田圭佑も在籍したリトアニア・スドゥバ(FK Sūduva)にレンタル移籍しヨーロッパリーグ予選出場経験も。中盤で精力的に動き、時々ミドルを狙う。

22程進(Cheng Jin)16試合2得点　95年　AMF/RMF/LMF
河南省新郷出身。下部組織出身で、レンタル期間を除き浙江一筋。U20,U23代表歴あり。比較的小柄(175CM)ながら技巧派でスピードと技術あり、
主に2列目で起用され、前線へのパスや飛び出しを期待される。

9高迪(Gao Di)17試合4得点　90年　FW/LMF
孔子を輩出した山東省曲阜出身。山東泰山の下部組織育ち、13年杭州緑城時代に在籍し、岡田監督.大黒将志らとプレイ。21年8年ぶりに復帰。外国人FWの影に隠れ出番は多くないが、得点嗅覚に優れ、また積極的守備も魅力でスーパーサブ的役割。中盤でも起用される。第21節で重症負い長期離脱中。代表2キャップ

30ムシェクウィ(Nyasha Mushekwi/ジンバブエ)29試合18得点　87年　FW
ジンバブエ代表でアフリカ杯2度出場。北欧やベルギーなど経て16年から中国へ。大連へて19年から浙江に加入後4年間で95試合55得点。
188CMの高さを生かし強靭なフィジカルで、国際経験も豊富。今季も前線でターゲットマンとして奮闘、海港戦では終了間際自陣で守備に貢献するなど36歳と思えない元気なストライカー。今季はリーグ得点ランク2位。
元バスケの選手でそっちでも同国代表だった

45レオナルド(Leonardo/ブラジル)
(12試合10得点＠長春)16試合9得点　97年　FW
鳥取、新潟、浦和に在籍。21年浦和レッズ→山東に加入も山東で活躍できず、レンタル4チーム目(河北、蔚山現代、長春、浙江)
シーズン前半は長春亜泰で10得点挙げ7月に浙江入り(山東からのレンタル)。将来的に完全移籍で高齢ムシェクウィの後継者にと見込む。加入後即結果を出し、19得点で中超リーグ戦得点王に。

17クアッシ(Jean Evrard Kouassi/コートジボワール)
22試合6得点　94年 LWG/FW
トラブゾンスポル(トルコ)から加入。スピード豊かなアタッカーで、2トップの一角か左ウイングに対応。身体能力を生かしアクロバティックなプレイも。クロアチアでデビュー後、15年～22年まで7年間中国でプレイ。上海海港や武漢長江(解散)に在籍し、中国での活躍認められ代表デビューした珍しいパターン。

21季勝攀(Ji Shenpan)10試合1得点　99年　FW/RWG
浙江省温州出身、山東泰山の下部組織育ち。昨年2部淄博で12得点と活躍し故郷のクラブに加入。技術や得点感覚が売りだがアフリカンたちには見劣りしなかなか出番なし。地元出身で若く今後に期待

39王鈺棟(Wang Yudong)  4試合　06年　FW
浙江省寧波出身。U17アジアカップ予選＆本戦6試合で11得点と突出した実力を見せ、今夏に浙江とプロ契約を提携しカップ戦でデビュー。24節にはリーグ戦デビュー。ACLでもデビュー。中国の未来を担うストライカー。

久々参加かつ、ACL参戦の他3チームより戦力もワンランク落ちる。現役中国代表は張佳祺のみ
昨年3位が出来すぎで、本来の実力は中堅どころ。プレーオフ(VSポートFC)突破は必須として、GL突破できれば十分成功か。