フォースとは何だったのか?スターウォーズ新三部作を通しての感想

スカイウォーカーの夜明けを見てから一晩考えて、昨日の感情の羅列よりマシなものが書けそうな気がしたのでまとめてみることにしました。

Ep8が何だったのか?というのは前に自分もまとめたのですが、モ。さんが一言でまとめてくれました。

つまるところフォースって何?というところに現実に物語を持ち込む力だ、としたのがEp8までの流れだったわけなのですが、そこでEp9とは何なのか、と考えると「フォースのダークサイドとは、ライトサイドとは何か?」という話だったように思います。

全体として「継承」が新三部作のテーマであり、ルークやレイア姫から渡されるジェダイの意志、散って行った反乱軍や弾圧される人々から託される意志という形でそれは示されていました。しかしそれはシスと帝国軍だって同じはずなんですよね。

「ベイダーに為せなかったことを為すのだ」と言われるカイロレン、デススターやスターデストロイヤーといった帝国の艦隊たち、シスやファーストオーダーも過去から様々なものを継承してきた存在なわけです。そこの極め付けが「パルパティーン皇帝の復活」だった。では両者の違いはどこにあるのか。それはシス、ダークサイドは「元々どんな物語だったのかが分からなくなってしまっており、ただそこに物語があることだけが分かる」という状態だということです。

シスの聖地エクセゴルが「未知領域」に存在するということ、ファイナルオーダー艦隊がどこからやってきたのか全く不明であるということ、シス言語を翻訳するときにC3POのメモリーが消去されてしまったことに顕著に現れているのですが、シスの物語は「誰から託されたものなのか」という情報が完全に消失してしまっている。それをとりあえず仮託された存在が「パルパティーン皇帝」という存在だったわけです。

この構造なら物語が存在し、フォースが存在する限りは必ずダークサイドが存在し続けることになるし、「シスにはマスターと弟子が一人ずつ」というルールも説明できることになってしまいます。なぜなら大勢に物語が託されていたらその時点でダークサイドでは無いからです。「何のためにジェダイを託されたのか」を見失っているベン・ソロが容易にダークサイドに惹かれてしまうのも理解できるし、「何者でもなかった」レイこそがパルパティーンの孫である、というのも素直に接続することになります。

そしてそこから自分の故郷を知らず、帝国の一員であったフィンたちもとトルーパーがフォースのライトサイドに目覚め、それがレイを繋ぎ止める、というのが単なる光と闇の綱引き以上の意味を持つことになります。物語の無いまっさらな状態が闇なのではなく、元々人間は生まれた時からライトサイドに繋がる物語を持っているのです。それに気づいたレイとベンは皇帝を拒絶し、仕方ないので皇帝は自分で直接手を下さざるを得なくなったわけです。

ラストで皇帝を消滅させ、青でも緑でも無い黄のライトセーバーを手に入れたレイ・スカイウォーカー、ライトサイドでありつつもダークサイドを受け入れた、ということだと思うのですが、ライトサイドとダークサイドの衝突がスターウォーズの物語を生んできたのもまた事実。あれ以降の物語はもう存在しない、ということなのか、あるいは別のところから闇が発生するのか。新三部作の締めくくりとしてはベストな終わりだったと思います。色々詰め込みすぎでわかりにくいのはその通りだと思いますが…

スシッ!スシヲ、クダサイ!