いいライターさんがダイヤモンドである件

なんちゃらウドワークスとかで1本500円の「文字の打ち込み」をしている方々が「ライター」と呼ばれないこともない一方で、初稿で最初の読者である編集者を「ううう、この原稿、、、面白れえ、、、」と唸らせる本物の「ライター」もいる。ということを、わざわざ言わないといけない世の中な気がするので言っときます。

上記、両極に位置する2者が、同じライターという単語で表現されること自体がすでに言葉として破綻していると思うのですが、直訳すると「書く人」であるという、広すぎる語義がそうさせているので仕方がない。

で、何がその2者を分けているかということですが、本物はまず、何よりもまず、「書くことで伝える」という目的に対して本気です。(当たり前すぎる)

たとえ編集者から「ここ取材行ってください」と依頼されたから行って話を聞いた取材先であったとしても、(というか、仕事だからだいたいがそうなんですが)気づけば、わたしがその取材先の面白さを引っ張り出して、世の中に出すんだ!という主体性にあふれてしまっています。

そのために、最大限、対象を面白がろうとします。

そのために、自分で自分に対して詰めの甘い原稿を許しません。

まずは自分自身が「この原稿面白い」と思えるかどうかにこだわります。

「この原稿は、こういう人から時間をいただいて読んでいただく価値がある」「この原稿から、こういう人に、こういうことを読みとってほしい」という意志を持ちます。

そして、その意志を遂げるのに十分な語彙力、ストーリー展開力を持ちます。これは、どれだけ面白い文章を読んでいるか、誰かによって紡ぎ出された言葉やストーリーに感動した経験を持つか、が関わっているのではないかと思う。

これも結局は、面白いものをつくって世に出すことへの執着にも似た「感情」があるかどうか。というところに集約されるんだろうな、うん、そうなんだろう。で、そんなエネルギーのかかることを、本来は1本500円でできるはずがなく、SEO対策だかなんだか知らないけど、やたら同じ単語ばかり出てくる内容のない文字の羅列を量産させることを「お仕事」と呼ぶ業者はさっさと一掃してねgoogleさん、よろしく!という話。

そして、儲かるかもって言ってメディアやりたがる事業者の数に比例して、いいライターさんが増えるわけもなく。そもそもいいライターさんを見極める編集者だって足りていない。紙というWebと比べてはるかに文字数やスケジュールの制約が多く一度刷ったら直せない緊張感のあるコンテンツの世界で鍛えられた人は、びっくりするほどWeb音痴だったりもするから、人材の流動は意外と難しい印象。ってことで、Webコンテンツの世界はまだまだ人材不足。したがって、いいライターさんの現在の市場価値はダイヤモンド級だと思う。心から、大事にしていきたい。

さらには、本業で専門分野があってしっかりした仕事をなさっていて、本が好きでよく読んでいて、仲間や依頼先への指示とか、クライアントへのプレゼンテーションなどを通してコミュニケーション力や文脈構築力も培われているビジネスパーソンは、きっといい原稿を書くと思うし、ライターとしてバンバンお仕事、取れると思います。むしろそういう人たちに、書いてほしい。

23歳の冬に編集者になった15年目のプロ編集者のつぶやきでした。


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