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「和歌山県」付近の過去の地震まとめ

【はじめに】
この記事では、「和歌山県」周辺で起きた過去の地震をまとめていきます。

1.ここ15年の有感地震

まずは、直近15年(2006~2021年)ぐらいに起きた、和歌山県付近の地震を図示してみました。色が深さを表しているのですが、傾向かなり顕著です。

「和歌山市」などを有する和歌山県北西部は、浅い地震が記録あって以来、普段から非常に多いです。一方、奈良県から紀伊水道にかけて、斜め方向にやや浅い位の深さの地震が纏まって発生している領域があります。

広い視野で見れば、南海トラフの沈み込んだ先に当たる部分で地震が起きているから、こういう斜めな方向に丸が分布しているのかな? と思います。

2.M5以上の中規模地震は数年に1回ペース

では、上の図を念頭に置いて、規模の大きめな中規模地震(M5以上)をピックアップしてみましょう。それがこちらの図。

M5以上:2021年12月3日の地震までに約50回発生

選んだ範囲が完全に適当なので、回数に意味はないですけど、この領域では約50回、中規模地震が発生しています。その約半数が、1940年代に起きた「昭和東南海地震」前後に発生しているので、昭和後半以降として見ると、数年に1回ペースというのが足もとでの数字です。

参考までに、平成以降に限ると上の領域では9回となり、まさに数年に1回というイメージに近い値となっています。具体例を見ていきましょう。

3.昭和以前のM6以上の地震

昭和以前に限定し「M6以上」というかなり大きめな地震を検索すると、以下の6例がヒットしました。1948年の事例は深さが定まっておらず「0km」として登録されているため、茶色表示ですが、他は全て50km付近の黄色の表示となっており、恐らく「浅い地震」では最近では例がないと思います。

1938/01/12 M6.8 強震

今回調べた中で最大なのは、1938年の「和歌山県南方沖」の地震で、Mj6.8という大地震一歩手前の規模でした。最大震度5を「徳島」で観測した他、彦根・大津から室戸岬・高知に至る範囲が震度4(中震)、対馬や屋久島で震度2(軽震)を観測しています。

1948/06/15 M6.7 中震

また1948年(昭和東南海・南海地震の発生後)の地震では、M6.7という規模の地震が和歌山県のすぐ傍(紀伊水道)で発生し、愛知県伊良湖から高知県室戸岬まで震度4(中震)を観測しています。

ここ半世紀あまりM6を超える地震は起きていませんが、元来、このクラスの地震が起きても全くおかしくない領域である事をまず抑えておきましょう。

4.平成以降のM5以上の地震

それではもう少し近い事例として平成以降のM5以上の地震はどうでしょう。

数年に1回のペースで起きていることが分かりますし、和歌山県の西側にほとんどの地震が集中していることも分かります。具体例としては、

1999/08/21 M5.6 5弱

はっきりと内陸を震源とする地震としては、かなり規模の大きい、1999年の事例では、下北山村・新宮市・白浜町で震度5弱を観測しています。

中震:和歌山、尾鷲、徳島 / 弱震:奈良、伊良湖、四日市、津、彦根、豊岡、神戸、洲本

2011/07/05 M5.5 5強

また、深さ「7km」という浅い地震での平成最大クラスは、2011年7月5日に起きた最大震度5強の地震。広川町・日高川町で5強を観測したほかに、徳島県や香川県(小豆島を含む)で震度4を観測するなど、はっきりと震源の西側に揺れが大きく伝わりました。

弱震:和歌山、徳島、高松、多度津、洲本

規模はほぼ同じであるものの、震源の深さと位置が違うだけで、これだけ揺れの傾向が変わるのは興味深い所です。

2021/12/03 M5.4 5弱

海域を震源とする地震で大きかったのは、2021年12月3日に起きた「紀伊水道」のM5.4の地震。とはいえ、陸地に非常に近い所が震源だったこともあって、最大震度5弱を「和歌山県御坊市薗」で観測しました。

弱震:和歌山、尾鷲、洲本、徳島、高松、岡山

最初の図で示したとおり、和歌山県の中部ではこの辺りは地震が多いのですが、深さ18kmというのは比較的浅い部類かと思います。

5.「和歌山」での有感地震

その他、冒頭の図でも示した通り、和歌山市の付近では、ごく小規模ながら浅い地震が頻発しています。それを示すデータとして、

「震度データベース」をもとにレイアウトを多少加工

震度計で観測するようになった21世紀は、10年で150回程度ですが、20世紀は今を遥かに上回る揺れの観測データが残されています。

この「和歌山市男野芝丁」は「和歌山地方気象台」のことで、昭和の大地震の前後で4桁にものぼる揺れを観測しているのが公式記録となっています。

※もちろん、人間が観測する上での誤差はありましょうし、震度の考え方が今と異なる点はありますが、今の10倍のペースで有感地震が認められていたという事実は忘れてはならないでしょう。


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