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『森山大道展』と映画『ヴィレッジ』の波紋

自分の根幹に響く作品に触れる機会
展示会と新作邦画を連続して吸収した珍しい体験だったので、メモがてらそれらを振り返ってみようと思います

旅のきっかけ

2023/4/20、島根県立美術館で開催されている『森山大道 光の記憶』を観に行きました
その3日ほど前カメラマンの十四楼さんに「興味があれば…」と誘っていただいたのが発端

兵庫県豊岡市から海岸を沿って島根まで、片道4時間程の道のり
晴れ男との2人旅。4月にも関わらず信じられない程に暑く、清々しい天気の1日でした。

森山大道 光の記憶

84歳、現役カメラマン
彼が60年撮り続けた写真はまさに戦後日本の歴史そのものでした。

▼森山大道 公式サイト

さりげないモノクロスナップの深み、味。
個性、感性、置かれている環境、さまざまな要素が生み出したアート。

立ちくらみを起こす程の迫力でした

大きく出力された存在感の強い写真に囲まれる、ある種の恐怖
その怖さをも凌駕してくる感動と刺激。

今回の展示を受けて自分の在り方、これからの活動についてなど色々なことを考えさせられました

自分に足りないもの

帰りの車の中で私はどんな言葉を発していただろう、美術館から出た後しばらく展示に圧倒されてひどく疲弊していたように思います。

写真にそれほどの力を込める事ができる、そんな事実への驚き

そして、そんな写真を撮る為にはとにかく経験を重ねる事。
当たり前の事でしょう、その当たり前の事が果たして自分にできているか…と問われれば答えはNO

SNSなどで写真界隈をみていると、やれレンズがどうだ、やれ構図がどうだと写真に関する論争を頻繁に目にします。
以前から「誰かがそれを美しい、良いと思って撮った写真にとやかく言うのは野暮だ」と静観…というより論争自体に呆れていた私ではありますが

「うるせえ、しのごの言ってる暇があったら1枚でも多く撮れ」
に持論がシフトしました

写真がぶれていようが、ピントがあっていなかろうが、インスタントカメラだろうが中判機だろうが、良いものは良い。
良いものを生み出すためにはひたすら経験を積んで自分自身を磨くのが必須で、それは取ってつけたテクニックや頭の中にある『常識』『定石』では補えない『確立された個性』を会得する為の最善手だと感じました。

今、私の写真に自信がないのは当たり前

一眼レフカメラを手にしてから15年、その15年の内コンスタントにカメラを触りだしてから10年、3650日のうちカメラで写真を撮ったのは何日だろう。
三分の一にも満たないのではないだろうか

圧倒的に足りない
怠惰と思い上がりに笑えてしまう程、今の私には経験値が不足していると痛感しました

と、なると
やることはひとつです

新たな視点

美顔アプリなどで顔のシミ皺、クマなどが簡単に除去できてしまう昨今
撮っていただいたポートレート写真の中のそういった部分から目を逸らしていた自分がいました。

今回の展示で大きく張り出された老婆の『歳を重ねた肌』をまじまじと観て、そうか、これも美なんだ。という感性が自分の中に生まれたのを感じました。
生きている美しさ。誰にも真似のできない自分にしか刻まれない年輪

そもそも錆びたものや時代を感じる商店街等を撮るのが好きなのに、人間のそれが見えていなかったのに驚きました

これに関しては今まで通り『それらを除去して作られた美』と『ありのままの美』と、別々のもとして私の中に存在していくのだろうと思っています。

吸収したものを取り入れるかどうか、選択するのはあくまでも私ですから

映画『ヴィレッジ』

翌日、2023/4/21は藤井道人監督の映画『ヴィレッジ』の公開日で、私はこの日を心待ちにしていました。
実は去年の今頃、京都府で行われた映画のロケにエキストラとして参加しており、2シーンにちょろっと映っていたらいいな…と

関心を持ったきっかけはそんな感じでした

公開日が近づくにつれ、映画の情報がどんどん解禁されていくのに心が躍りました

住んでいる地域ではヴィレッジの放映がなかった為、この日私は定期通院で鳥取に行った足でそのまま神戸へ移動。
レイトショーを主人と観て日付が変わった頃に帰宅しました

公開中の為ネタバレは控えます

個人的に強い興味のあった『能』を取り入れた『閉鎖的な村』を舞台にした『重い内容の映画』
完成した映画は私の好きな要素が詰まったドストライクな作品でした。

藤井監督が魅せる映像美、中村獅童が魅せる伝統芸能
ストーリーは勿論、感性にも響いてくる映画。劇場で観る事ができて本当に良かったです。

濃密な2日間と共通点

とにかく濃密な2日間でした

移動距離もさることながら、脳がパンクするのでは…不安になるくらい感性に鋭い針が突き刺さりまくった衝撃の2日

まずはこの機会を与えていただいた十四楼さんと、付き合ってくれた主人に感謝。

後から気づいた事ですが『森山大道』『ヴィレッジ』の2つには共通点がありました。

河村光庸。
2022年6月11日にこの世を去った映画プロデューサー

彼の遺作となったヴィレッジ
過去に河村氏が企画した映画『あゝ、荒野』で特写を担当し、1966年に発表された原作・寺山修司の小説の表紙写真も担当していたのが森山大道でした。

こういうのも何かの縁なのでしょうか
なんとも表現し難い、不思議なものを感じました。

島根旅

島根に行ったら出雲そばが食べたい

昼食は島根城の近くにある神代そばでいただき、食後に小泉八雲旧居と資料館を観て、実は観光らしい事も楽しんでいました。

旅のスナップ写真をまとめたものをリンクしておきます

インプットの大切さ

良いアウトプットの為にたくさんの物を吸収する事
改めてその大切さに気づきました。

豊岡に戻ってからしばらくできていなかった美術館めぐりやアートに触れる機会を、今後増やしていきたいな…
31歳主婦、まだまだ発展途上のようです。

物好きの投げ銭で甘いものを食べたい。