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木を伐る、とは

以下メモ
※個人的解釈が入っていることをお断りします

●木を伐る目的と伐り方の区分

木を伐る目的の違い
・主伐:更新(若返り)のために木を伐る
・間伐:残す木を育てるために木を伐る
※収穫を伴う場合と伴わない場合がある

木を伐る手法の違い
・皆伐:丸刈り
・択伐:抜き伐り
※皆伐と択伐の中間に漸伐、画伐、群伐などがある

ありえる
・皆伐による主伐
・択伐による主伐
・択伐による間伐
ありえない
・皆伐による間伐


●間伐の種類(一例)

定性間伐
選木(伐る木と残す木を選ぶ作業)を重視する方法で、結果として間伐量/間伐本数が決まる。例えば…
・下層間伐:劣勢木や被圧木を中心に伐る方法
・上層間伐:優勢木や暴れ木を中心に伐る方法
・将来木施業:育てたい木の周りの木を伐る方法

定量間伐
伐る量(割合)を決めてから、伐る木を決める方法。例えば…
・列状間伐:一定間隔で列状に機械的に伐採する方法


●考察

1.間伐材という品質の木材は存在しない

下層間伐では伐る木は品質の低い立木になることが多いが、その他の間伐では良い品質の木材も伐ることがある。したがって、間伐材だから品質が悪い(=安くてよい)、とは限らない。

そもそも、その木の品質の良し悪しに関わらず、木を伐って出すコストは必ずかかる。だから皆伐であっても意外に採算が悪いことがある(品質の悪い材も出るので)。

2.間伐材だから環境に優しいとは限らない

間伐材だから環境に良いとは限らないし、主伐材だから環境に悪いとも限らない。

丁寧に管理された択伐林では、主伐による若返りが森に活力(成長力)を促し、やり方次第で生物多様性に貢献することもある(伐採は負荷ではなく貢献になる)。

皆伐による主伐が一定の環境負荷を与えることは事実だが、場所選びとやり方次第でその影響は最小限に抑えることができる(だからこそ、行き当たりばったりの主伐はダメ)。

一方で、何をしたいのかわからない無計画な/雑な間伐や択伐は、残す木を傷つけたり、風倒木を発生させたり、土壌をいたずらに壊したりすることで、かえって資産と環境を荒らすことになりかねない。

つまり、主伐か間伐かという看板だけでは、環境にどのような影響を及ぼしているかは判断できない。

信頼できるかどうかの目安のひとつは、成長量に対してどれだけ収穫しているかについて、その山の所有者(あるいは管理者・事業者)が認識を持っているかどうか。

3.一見正しそうな動機に要注意

間伐材を活用することはとても大事なことだが、捨てていたものだから安くて良い、間伐材だから環境によいはず、では、林業という生業も環境もどちらも良くはならない。このことは林業サイドがまず認識を共有して言語化しなければならない。

「もったいない」と「かわいそう」は、正しい動機に見えるが、かえって全体にとって逆の効果をもたらすことがある。森林管理と環境問題の関係は、「木を見て森を見ず」にあふれている。

参考:林野庁WEBサイト「間伐とは?」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kanbatu/suisin/kanbatu.html

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