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『永楽帝』 中国ドラマ 鑑賞記録

明の第三代 永楽帝(朱棣)の生涯を中心にその父 洪武帝から甥 建文帝を経て永楽帝の時代までが描かれる。久し振りに本格歴史大作と呼べる作品を観た。
動機は監督が高希希だったから。2010年の大作ドラマ『三国志』の監督さんで、わたしは未視聴だが三国志ドラマならこれを推す人も多いと聞く。

さてさて、どんなドラマだったでしょうか?!




山河月明
邦題 永楽帝~大明天下の輝き~
配信 优酷 2022年4月6日
全 45話

トップ画像 山河月明 微博


明代

といえば記憶に残る『大明皇妃』。あれは面白かった! 主人公は本作の永楽帝の孫にあたる第五代皇帝 宣徳帝(朱瞻基)の妻 孙若微。その子である 朱祁鎮(第六代 正統帝、第八代 天順帝 演じるのは 张艺兴)までが描かれる。
そして第九代は『成化十四年』の 成化帝だから、これで明は第九代までの流れをドラマで把握できたことに!

おっといきなり話が逸れてしまった… というのも本作は親子の情や夫婦愛を絡ませつつも徹底的に史実重視で描かれる。なのでつい、歴史の流れに目が行きがちなのだ。

さて、明といえば北伐。高希希監督は三国志で戦闘シーンを描くのはお手のものなのだろう、本作もスケールの大きな騎馬戦や城攻めの場面が大迫力だ。

他、治水錦衣衛鄭和の大航海など歴史で習った大事なポイントも盛り込まれている。まるで歴史の復習のようだ。


永楽帝

洪武帝(朱元璋)の四男である 朱棣燕王と呼ばれ子供の頃から頭角を現していたが、当然長男 朱標が太子。彼が皇帝になる前に亡くなってしまうと、その子 朱允炆が第二代 建文帝となる。朱棣にとっては甥、当然年齢も若い。皇位を奪いたくなる気持ちも分からないではない。激しい内乱の末、朱棣は南京の都を攻め落とすことに成功する。

演じるのは 冯绍峰。とても整ったお顔立ちで、若い時よりおじいちゃん皇帝になってからの方が渋さが光ってよかった。


山河月明 微博



お気に入りキャラ

まずはこの方、永楽帝(朱棣)の父 洪武帝(朱元璋)。人間味溢れる人物造形がとても魅力的だった。演者は陈宝国。強い国造りに奮闘し、時に厳しい選択をしながらも妻や子、孫への愛は素朴で温かかった。

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朝廷の官吏で朱棣の恩を受けながらも建文帝方に付く 铁铉(鼎石)。演じるのは『軍師連盟』の 辟邪など、クセの強めな役が上手い 张天阳。この時代の官吏なら誰もがどちら側に付くかに命を懸けなければならないだろうが、この人の場合は打算なのか義を重んじているのかもよく掴めない複雑な動きをする。時に意固地な深い表情演技が流石だった。


同じく官吏の 夏原吉(维喆)。演じるのは 单瑛哲。一貫して国の為に志を貫く清廉潔白な人物。最後永楽帝から牢に入れられても飄々として持論を曲げない姿が竹のように真っ直ぐで強く、真っ向から皇帝に意見する姿に心打たれた。
ここだけの話、片や永楽帝は情けがなさ過ぎだ。大局を見て意見している忠臣を受け入れない度量の狭さ。案の定、死に際まで彼への仕打ちが気になっていたらしい。



編集、クレジット

時々、編集の粗さが目についた。例えばフード付きマントを着て登場する 铁铉が、横からのアングルからだと着ていない。そしてまた正面アングルに戻る、など。編集段階で当然気付くはずなのに、何故w
長い割には後半、脚本のバタバタ感も否めなかった。世界感が大きいから仕方ないのかもしれないが、台詞であっさり事件が解決している場面が多かったように感じた。

またこちらは国内の話であるが…
オープニング、エンドクレジットは割としっかり見る方で、中国作品の国内への調整には放送局さんのご苦労がうかがわれる。何しろ中国ドラマのクレジットは日本と違い全話通じて変化しない。放送されるエピに出る人も出ない人もずっと固定だからめちゃくちゃ長くて多い!

それを日本バージョンにする時に省いたりするのだが、本作は省きすぎだったと思う。映像に映っているのにその俳優さんの名前はなく、別の若い頃を担当された女優さんの映像でクレジットされていたり(永楽帝の皇后「徐妙雲役 穎児」)。あれはどちらの俳優さんにとっても失礼だと思うが?
…不思議な処理ではあった。

そんな諸々が影響し、歴史大河ドラマとして面白かったのだが、すごく入り込めるという作品ではなかった。



こうしてみると、ドラマってキャストに惚れ込むことのできる人がいるかどうかも、すごく重要だなーと改めて思います。
本作にはそれがなかったので。

お読みいただきありがとうございました!


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