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鬼咬鬼(鬼喰う鬼)de月餅

 (この記事は、映画作品の若干のネタバレを含みます)
 今年の中秋節は中国の国慶節と繋がって3連休です。月餅のアテは林正英のこの作品、「鬼咬鬼(邦題:鬼喰う鬼)」。

最近はカスタードの月餅も増えてただのケーキ化。


 こちらは1989年の作品で、キョンシー作品の大元、元祖「サモハンホラー三部作」と呼ばれる作品の初回作「妖術秘伝・鬼打鬼(1980年)」・・・の続編。

ラム・チェンイン主演を基本としたキョンシー作品一覧はこの記事で楽々チェック↓↓


もちろんラム活の一環で見た事がありますが、林正英作品は何回見ても飽きが来ません!

洪金寶(サモ・ハン・キンポー)総合プロデュース、主演
主演はこの3人、洪金寶(サモ・ハン・キンポー)、孟海(マン・ホイ)、我らが林正英(ラム・チェンイン)!
この作品には一応キョンシーも出てきます。
キョンシーが人の血も吸わずに興じるコレ、何だかわかりますか?
そう、これはタダのタバコではなくてアヘンです。

キョンシーか身に纏う服装は清の頃のものですが、この時期、イギリスが金儲けの為にインドで作ったアヘンを清に輸出して巨額の富を得ていました。清もアヘンの輸入は禁じていましたが、英がこんな美味しい商売から手を引くはずもなく、アヘンは「金持ちの娯楽」として蔓延し、清社会を蝕んでいました。

キョンシー夫婦から逃げつつも、追い詰められて最後には

まず妻キョンシーが、キンポーに噛みつき、
逆上した彼女(人間)が妻キョンシーに噛みつき、
夫キョンシーが彼女に噛みつき、最後にキンポー(人間)が夫キョンシーに噛みつくと言う…
4人が順番に噛みついている膠着状態のカオスな図。

 カオス過ぎる状況を収集するのに、この時期、この作品に限らずサモ・ハン・キンポー達は「夢オチ」を好んで多用しています。

 好き放題なカオスも収集できて、ともかく有無を言わずに圧倒的カンフーアクションを観客に見せつけられる一石二鳥な手法…、と言ったところでしょうか。

ところで、香港で永遠のキョンシー映画最高傑作(*個人的な意見です)「霊幻道士」が世に出て、大キョンシーブームを巻き起こした頃(1985年)、日本では「スケバン刑事」が一世を風靡していました(1985~87年の間に、斉藤由貴、南野陽子、浅香唯を主役にした3シリーズが放送されました)。

 それをパロっているのかどうかは不明ですが、何とこの作品で、林正英が女幽霊を退治するのに使用する武器が…。

ジャジャン!林正英が手にしている陰陽対極マークのコレ。
そう!ヨーヨーです。どんな武器を手にしても美しい姿勢が崩れることはありません。
武道家の見せる曲芸的ヨーヨーアクション

この作品では、母親を残して死んでしまった娘が幽霊となって母親を介護していて、そこにサモハンキンポーが巻き込まれ、あくまで陰陽の立場の違いから女幽霊を退治しようとするラム・チェンインと激しく対立する場面が出てきますが、この流れは「霊幻道士」にも一部組み込まれています。

「人にもいい人、悪い人がいるように、幽霊にもいい幽霊、悪い幽霊がいる。ひとくくりにしてしまっていいんですか???」

という強烈な問いです。

ちなみに、この時代今と違ってCGなんて発達していませんから、出て来る虫たちも本物です。

大量のゴキに襲われて、あまりの気持ち悪さに魂が肉体を脱ぎ捨てる場面
 モノホンのゴキ達。「小道具ゴキ」とか演じる役者さんも、それを集めて来る小道具さんも大変ですね・・・(;^_^A
敵との最後の闘いではミイラも出てきます
とにかくどの敵相手にも、このメンツで繰り広げられるカンフーアクションは見応え抜群です。特に敵を打ち取るラストのカンフーバトルは圧巻。

映画は色々新作漁りもいいですが、やっぱりラム・チェンイン作品はやめられません!



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