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水戸岡マジックとアイス

NHK広報や鉄道に特化したNHK公式アカウントのツイッターをフォローして時々ゆったりしていて、良さげな番組や鉄道関連の地域ニュースなどを漁って見ている。そんな昨日『グレーテルのかまど』にデザイナーの水戸岡鋭治さんが出るというので見てみた。ここでは水戸岡さんとバニラアイスやアイスキャンデーの思い出が語られていたが、実は「感動体験」をテーマにデザインされる珠玉の列車達の原点となっている。

富山地方鉄道「レトロ電車」
右にいる「しまんトロッコ」車両が「水戸岡マジック」にかけられたもの。
若桜鉄道「昭和号」
大分から小倉まで乗った885系「ソニック」
臼杵(うすき)から大分まで乗った787系「にちりん」
アーバンチックなモノトーンが目を惹く福北ゆたか線817
和歌山電鐵「いちご電車」
京都丹後鉄道「丹後の海」(手前)による特急「はしだて」&「まいづる」
九州新幹線800系。西陣織や金箔を車内デザインに織り込んだ斬新な新幹線。
茅葺きでたま駅長モチーフの和歌山電鐵貴志駅

JR九州や和歌山電鐵、各地方のローカル鉄道で観光から“日常向け”まで色とりどりの列車をデザインした“巨匠”として鉄道ファンにとってはお馴染みだ。JR九州の新造車両は基本的に特急、観光列車を始め、普通列車や快速に用いられる日常的な列車まで水戸岡さんが手掛け、外観がスタイリッシュで型破り。そして、京都丹後鉄道や富山地方鉄道などの地方私鉄や第三セクターでは既存車両を大胆に改造、まるで「魔法」を掛けられたかのような変わりようとなっている。

感動体験とバニラアイス

そんな水戸岡さんのデザインの根底にあるのが「感動体験」。番組でその原点が父に連れられて神戸へ行く列車で味わった小さな木箱に入ったバニラアイスクリームだったそう。ちなみに、このお父さんは家具職人で、それを見てきた水戸岡さんの今の仕事ぶりにも繋がるような気がするし、こういう思い出は僕も似たようなものがある。

ご存知「シンカンセンスゴクカタイアイス」
自販機で買ったハーゲンダッツを関空特急「はるか」にて

新幹線でお馴染みの硬いアイスや関西空港の「ハーゲンダッツ自販機」で買ったのを京都へ帰る道中の関空特急「はるか」で食べたのは僕の「旅の1ページ」に刻まれているし、これらは良い感動だ。時代や形は違えど「列車×アイス」も良い組み合わせだ。

故郷での日々とアイスキャンデー

水戸岡さんが手掛ける車内インテリアはかなり特徴的だ。

「レトロ電車」車内
「丹後の海」車内を覗き見
「昭和号」車内

「レトロ電車」「丹後の海」「昭和号」和歌山電鐵の多くの車両、JR九州817系(福北ゆたか線、鹿児島線、長崎線他多数)など多くで木材をふんだんに使うインテリアが目に付く。これも水戸岡さんの故郷岡山で経験した茅葺き木造建築の生家の居心地良さ、緑豊かな自然で育った記憶などから来ている。国内外問わず過去に大規模な列車火災事故が起きたことで木材は忌避されがちだったりするが、燃えにくい木材を使いつつ、自分の居心地良さや「感動体験」というブレの無いデザインになって、評価されてるわけだ。番組ではこの当時の思い出を自転車で売りに来た「あずきのアイスキャンデー」と共に語られていて、水戸岡さんは今でも毎日食べてはノスタルジーを感じているという。そこから珠玉の列車が生まれると考えると侮れないエピソードだ。

最初は「“鉄道デザインの巨匠”とアイス」という組み合わせが異色さが際立ったものの、水戸岡さんがデザイナーとして大成するきっかけで考える根幹が「バニラアイス」と「あずきのアイスキャンデー」だったことが分かった。型破りなデザインでJR九州やローカル鉄道の魅力向上に一役買う「水戸岡マジック」はこれからも我々を楽しませてくれることだろう。その側には「アイス」が付いて離さないことだろう。

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