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君たちはどう生きるか(読書感想)

おはようございます。
昨日「君たちはどう生きるか」
の漫画版を読了しました。

Amazonさんの方でも高評価多めですね

なかなか重厚な内容で読み終えるのに二週間ほど要してしまいましたが、とても良いストーリーの仕上がり方で驚きました。

飲み終えてから気がついたのですが、PTA推薦の書物だったそうで、自分の中でも何かと教育的な内容だったのが印象的でした。

主人公の些細な発見から話は始まる

期待通りな感じで、道徳的な事柄についてコペル君と元編集者のおじさんが話し合いながらストーリーが進みます。
「元編集者」っていう立ち位置からして物語の結末が予想しやすかったですが、ある意味このタイプの物語はキャラクターの成長を促すような展開を描ければ良いと思うので自分はそこまで気にしませんでした。

これまでの自分の生き方

これまでの生き方を振り返って大変な時期もありましたが成長をする中で他人との付き合い方も見えてくるものだとは思います。
コペル君にも同じことが言えて、やっぱりどこかで躓いたりもするのですが自分の面倒を見る感覚というのは子供の頃から死ぬまで一貫してあるものです。

それは人間なら誰しもが持っている道徳概念で、話の通じないような少し粗暴な人にも必ず根付いているものです。
登場する中で編集の仕事をできていなかったおじさんにもそういう面倒や感情のうごめく部分があって、共通した世界を構築しているのが理ではあります。

心(友達との接し方で悩むコペル君)と心(コペル君に対して世の理を教えながらも何か著作できないか考えるおじさん)が同じ時間帯と次元を過ごして成長していく様を描いた本作は、読者側に新しい生活のメソッドを構築しようとする活力を与えてくれると思います。

一生のテーマを描く

このマンガは人生の始まりから終わりまでの感情をどう受け止めればいいかをしっかりと描いていると思います。
著者の最後の問いかけに重みを持たせる完成されたストーリーが今の自分を振り返って見る大切な機会を与えてくれる貴重な本です。

「やるべきことをできずに後悔することがあるかもしれない・・・・・」
p 289 コペルの母親

機会を損失することが多いと思いますが、そんな自分を後ろから手で後押ししてくれる過去の自分。
それを大切にして欲しいと言った強いメッセージでした。
苦い経験にも意味があるように感じられるのでとてもよいエピソードだと感じました。

人間の性格の成長というものを満遍なく描けているのが本作という総評です。
各登場人物にアイデンティティや行動について考えるべき点があり、著者のこだわりが隅々まで行き渡っていてメッセージに一貫性があります。

現実の自分とその周囲の人間関係 

では物語を読み終えたあとの自分の現実ではどうか?

やはりいろいろな部分で後悔や無念がある。
けれどそれが共通して同じ時間軸でそれぞれの人間が持ち得るものだからこそどの場所でも助け合いや共感が生まれる。
その結果産業や著者で言うところの「人間分子の法則」によって都会や国が形成される。

大きな時代の流れを感じさせてくれるのが人生なのだと再認識できます。
自分だけの人生に囚われず大きな枠組みを意識することが大切です。

人の一生の儚さ

ナポレオンの話が題材としてでてきました
イメージが似通っていたのでFGOさんの画像をお借りしました。(非公認なので申し立てがあれば訂正します)

自分ばかりの得で動き転落してしまうが、国を含めた世界の流れの想いをのせ(3、4つもの戦争を勝ち残る)実現すれば皇帝にまで登りつめた。
その生き様に期待をのせられたかのような彼は死ぬ以前も死んだ後もこのようにして全国の人々から複雑な感情をのせられます。

ベルレフォーンという汽船にて彼は捕まえられましたが、イギリスの民(今まで貿易が原因で敵対していた国に捕縛された)に対して彼は言葉にすることのできない想いを抱いたはずです。その様をイギリスの人々は嘲笑せず敬意で送り返したエピソードも印象深いものだと思います。

コペル君もまたそのナポレオンに対して心を突き動かされていました。
没落と皇帝という20年の時代の流れを体現した英雄に読者も心惹かれるでしょう。

総評 

納得のいくストーリーと作画です。
是非下の世代にも読んで頂きたい。
コマの割り方にシンパシーを感じました。
悩みを感情として処理できていない表情をマンガとして描ききれていました。
大きな時代の流れを体現した歴史的名著です。

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