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2021.11月24日 T&T長編・4『運命の裏木戸』& Fの方眼編み

トミー&タペンスシリーズ読書記録、長編最後の作品は『運命の裏木戸』です♪

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時は1973年。もうかなり現代に近いですね。
トミーさんとタペンスさんのお二人とも、70代半ばの老夫婦となっています。

現役を引退し、のんびり田舎の家で暮らすためお引っ越しをなさったベレズフォード夫妻ですが
中古の家を、以前に住んでいた人の蔵書も含めて購入したようで
書籍類のお片付けシーンから、この物語が始まります。

残されていた古本の中に、『メアリ・ジョーダンの死は自然死ではない』という謎のメッセージを発見してしまうタペンスさん。
老いてなお好奇心旺盛なお二人は、メアリという名の育児係の女性が不可解な死を遂げた過去の件について、調査を始めるのです。

ポワロものの『象は忘れない』やミス・マープルものの『スリーピング・マーダー』のような、過去に起きた事件を掘り返し、真相を明らかにする形式の作品で
スローなテンポで、のんびりと展開していきます。

テンポはゆっくりとしていますが、トミー&タペンスシリーズなので
諜報活動をしているスパイだとか、ややこしいことを企んでいる秘密集団の残党だとか、色々と絡んできます。
そこは、ぶれてないのですよね、このシリーズ。

それにしても、最後までベレズフォード夫妻は仲が良くて、おしどり探偵のまま。
高齢だけどすごくいきいきしてて、お元気だし。
すてきに年を重ねているお二人の姿に、憧れてしまいます♡

本日の編み物作品は、「F」の方眼編みです。
間に合わせようと急いだため、スチームもかけてなくて、ややヨレています。🙇‍♀️💦💦

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このFは、「運命」Fate のFです♪︎

原題の『Postern of Fate』は、
英国の小説家・詩人 ジェイムズ・エルロイ・フレッカー氏の
『ダマスカスの門』という詩から、引用されています。

「ダマスカスの都に四つの大いなる門あり……」
そのうちの一つが、運命の門で。

門ではなく『運命の裏木戸』と訳したのは、翻訳者の方のセンスの表れでしょうね🤗

この詩だけでなく、スティーヴンスン氏の『黒い矢』という本も、この小説の中で効果的に使われています。

スティーヴンスン氏といえば、『ジキル博士とハイド氏』や『宝島』が有名ですが
『黒い矢』も、人気が高い作品のようですね。
タペンスさんが、幼い頃初めて手にして読んだ本なのですって😃
私はまだ読んだことがないので、ぜひ一度読んでみたいです!

(余談:実は『運命の裏木戸』の中で、ちょっと気になる一文を発見しました。
タペンスさんが
「『宝島』そう、これも楽しい本だけど、もちろん、もう何度も読んでるし、映画になったのも、たしか二本は観てるわ。
映画で観るのは好きじゃない、原作どおりじゃないから」
と、仰っている台詞があるのです。

これって。自身の小説が映像化や舞台化された際に、原作から色々と変更されることがあったクリスティ氏の、心の叫びというか。
プチ不満を、作中の登場人物の発言として、さりげなく盛り込んだのでしょうね😅

何とも、深いお言葉でございます。🙇‍♀️)


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