SF「太陽がほしい」#9
SF「太陽がほしい」#9
僕が話し終えると、焚火の周りの男たちは口をあんぐりと開けながら、こちらを見つめていた。まるで悲劇からの突破口があり、その逆転劇が僕の口から語られることを期待しているようだ。
「なあボス、受け入れてもらえないとは分かってますけどよお、コイツの両親とやらを見つけ出すってのはどうです?」
「我々にそんな義理などない、問答無用だ」
「でもボス、奴はクリスティアンサンから生き残ったんですぜ。両親と離れ離れにさせるなんて紳士が廃るってもんですよ」
「ふん、大体我々だけでどうやってコイツの両親を見つけるというんだ?」
「いや、それは、その・・・」
ボスと言われている男はポケットから地図を取り出した。
「よく見ろ。この広大な大地でクリスティアンサンからの避難者を見つけるにはどこに行ったらいいんだ?」
絶望的だ。みんな方々に散ってしまったに違いない。僕は結局エブイェまで来てしまったのだから。きっともう両親に会うことは叶わないのかもしれない。それは薄々考えていたことだった。
「いや、待てよ。なんかあったような気がするんだよな」
「なんかってなんだよ」
「・・・あ、キャンプ」
「ああ!なんで気づかなかったんだ!」
男たちは座っていられないほど興奮して、頭を抱えたり右往左往するものもいるほどだった。
「ふん、今頃気づいたか」
ボスの目がギラリと光る。
「目的地は難民キャンプだ」
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