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レコ屋のジャズ担当が選ぶ、2019年個人的ベスト

某レコード屋のジャズ担当として働く神谷ハヤトと申します。2018年に引き続き2019年の個人的ベストを選びました。今年は最高傑作と迷わず評せるような、ミュージシャン個人のキャリアや方向性、意識している文脈が昇華されている作品が例年よりも多い印象でした。CD屋の一人のスタッフとしては今まで以上にジャンルが入り混じり、なかなか一言では言い表わせない魅力を持っている作品が多いだけに、この素晴らしい作品たちを如何にポップなどでレコメンドするかと言うことに意識的になった一年だったように思います。

昨年同様、個人的な趣味嗜好が反映されている文字通り”個人的ベスト”になってますので、2019年の必聴作品は信頼できるメディアのベストを参照ください。

今年は掲載作品全てに短いレビュー/コメント付きですので、聴取のヒントにどうぞ。2019年も神谷ハヤト(Twitter@ya_K_un)をよろしくお願いいたします。

[プレイリスト作ったらここに置きます]

■Allison Miller’s Boom Tic Boom / Glitter Wolf
[Spotify] [Apple Music]

ブライアン・ブレイドのフェローシップとは趣の異なるアメリカーナ志向のバンドアンサンブル。ハーモニウムによるドローンに陶酔感覚や、マイラ・メルフォードなどインプロ~フリー系の奏者、緩急あるコンポジションを安定したビートの推進力でまとめ上げる。

■Areni Agbabian & Nicolas Stocker / Bloom
[Spotify] [Apple Music]

アルメニアにルーツを持つヴォーカリストと、ニック・ベルチュとも共演するパーカッションによるデュオ作。メロディの美しさを浮き彫りにするヴォイスと、プリミティブでミニマルなパーカッションによる詩のような小曲を丁寧に結び、”ある視点”から訴えかけるカンヌ映画のような世界観に。ECM志向が最も良い形で身を結んだ作品とも。

■Anna Webber / Clockwise
[Apple Music]

M-Baseを探求するレーベルPI Recordingの2019年リリースのかでも際立った一枚では。ソロやメロディを聴かせるというより、リズムを増強増大増幅させて構造体として見せた作品。”時計回り”というタイトル通り、Kore Ⅰで終わり、①Kore Ⅱへと繋げられ無限に連なる輪廻へと誘う。

■Answer to Remember / Answer to Remember
[Spotify][Apple Music]

ドラマーとしてのジャンルレスな活躍やシンガーソングライターとしてしても非凡な才能を魅せてきた石若駿が、新ユニットでキャリアを総括し世界基準のクオリティの作品を作り出した。今後、国内ミュージシャンにとって今作が一つの指標になるのは残酷であると同時に、シーンの盛り上がりに繋がるようにも思える。

■Bill Frisell / Harmony
[Spotify] [Apple Music]

ジャズ・アメリカーナの第一人者が、伝統と革新を掲げるブルーノートとサイン。こんなに意義のある契約も最近では珍しく思える。オリジナルはもちろん、カヴァー曲、曲の内側にあるハーモニーを浮き彫りにするようにハミングが繋ぐ。バンド全体が音響的にもポリフォニックにも漂っているようで曲本来の美しさを際立たせる。

■Brad Mehldau / Finding Gabriel
[Spotify] [Apple Music]

『Largo』と『Mehliana』の延長線上に位置する作品として、メルドーの最高傑作と言っても過言ではない気がしている。大きくフィーチャーされているフォーキーかつ神聖なコーラスは、ジャズを新章へと誘う賛美歌のよう。

■Caroline Davis / Alula
[Spotify] [Apple Music]

マット・ミッチェルが描くエレクトロニクスの地平と、ディアフーフのドラマー:グレッグ・ソーニアによる野生と人間味溢れるドラムスが絡みあい、キャロライン・デイヴィスがそれぞれと呼応しながら電子と血肉を駆け巡る。

■Camila Meza / amber
[Spotify] [Apple Music]

前作から踏襲される楽曲の色彩感覚の豊かさは弦楽が加わったことで輪をかけドラマチックで鮮明に。感動的な歌声、流麗かつ雄々しいギターも変わらず魅力的だが、「This is not America」などで初めてみせたエモーションにも注目。

■Chris Potter / Circuits
[Spotify] [Apple Music]

UKのEdition移籍第一作目。多くの楽器を自身が手がけたポスプロ的アプローチや、新鋭ジェームス・フランシスの鍵盤捌きやどっしりしたリズムによる重厚なアンサンブルとファンクネス。大御所の躍進を垣間見る意欲作。

■Christian Scott aTunde Adjuah / Ancestral Recall
[Spotify] [Apple Music]

ジャズの100年分の歴史を背負って、今なおジャズをアップデートし続ける勇姿がここに。あらゆるジャンルの要素を取り入れてて新しい響きなのにジャズとしか言いようのない音楽を想像したクリスチャン・スコットの最高傑作。間違いなく彼がジャズ史の最先端だとライブをみて感じたのも勘違いではないはず。

■Damon Locks & Black Monument Ensemble / Where Future Unfolds
[Spotify] [Apple Music]

ビジュアル・アーティストであるデイモン・ロックと、エンジェル・バット・ダヴィド他、シンガーやダンサー15人によるBlack Monument Ensembleによるデビュー作。ロフトジャズ的な趣と、歌詞や曲名に現れるコンシャスなメッセージ性、アフロセントリックで祝祭的なコーラスとリズム。それらを圧巻のコラージュセンスでまとめ上げ抜群の陶酔感覚を生む。さすがシカゴ。動画でもぜひ。

■Dan Tepfer / Natural Machines
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クラシックにも造詣が深いテファーによるAIによる自動演奏との共演という異色作。連弾とも、メルドー的な両手を駆使した対位法とも異なる、三次元的に広がる音像に、もはやピアノという域を脱した境地にすら感じる。数学的やインスタレーションににまで作曲性を拡張するヤニク・クセナキスを思い出したり。

■Fabian Almazan / This Land Abounds with Life
[Spotify] [Apple Music]

ストリングを交えた傑作「Alcanza」で魅せた作編曲能力と社会派でコンシャスな一面、美しさも不穏さを取り込み世界を鳴らしたキューバ出身のピアニストによるトリオ作。シンプルな編成になったことで大胆かつ自由な演奏スタイルと作曲性がより如実に現れ、奏者それぞれの個性も際立つ。

■Hania Rani / Esja
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ポーランドのピアニストによるUK:Gondwanaからのデビュー作。ピアノ一台で美しく音のヴェールを重ねてピアニスティックに響かせる一方で、椅子やタッチの音すら愛おしいアンビエントにもエレクトロニカのようにも聴こえるチルアウトルームを創造したポーランド出身らしい美意識が随所に行き届いているように思える。

■Harish Raghavan / Calls For Action
[Spotify] [Apple Music]

ジョエル・ロスやイマニュエル・ウィルキンスらバケモン級の新鋭を率いて、現行ジャズのリズムの複雑さや技術的な進歩、他の追随を許さぬライブさながらのアツさをベストな形でパッケージングした意欲作。ここまでやりまくる作品って意外となかったかも。

■Jamael Dean / Black Space Tapes
[Spotify] [Apple Music]

カマシ・ワシントンやサンダーキャットら西海岸のジャズシーンで活動する鍵盤奏者によるStones Throwからのデビュー作。アフロ、スピリチュアルの文脈をLAらしいニューエイジ的な感覚やヒップホップ的なフィルターを通して新しく響かせる。先行EPや、⑥Emiでの既存の演奏をぶつ切りにして二つのベクトルのビートを作りだすアイデアには脱帽。

■Jameszoo / Melkweg
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Brainfeederからのデビュー作『Fool』をメトロポール・オーケストラと再演。オケが電子的に聴こえたり、電子がオケに聴こえたりと、ザラついた質感や曲本来の良さを残しつつも透き通るような見通しの良さをもたらし昇華。『Fool』はエレクトロとアコースティックの融合を図って作ったとJTNCで語っていたが、今作はその究極系とも言える。

■Joshua Redman & Brooklyn Rider / Sun on Sand
[Spotify] [Apple Music]

2019年にNonsuchとNew Amsterdamがパートナーシップを結んだことは現行ジャズにとって重要なニュースの一つだと思うが、今作はそれを象徴する一枚だと。バンドで弦楽のあまりにもシームレスな呼応のしかたや、躍動感ある編曲は裾野が広がった現代ジャズの面白さを物語る。現代的なコンチェルトのような趣も。

■Jeff Ballard / Fairgrounds
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ケビン・ヘイズもシンセとアコースティック、リオーネル・ルエケもアーシーなギターやヴォーカルから変態的なエフェクター捌きまで質感を使い分け、レイド・アンダーソンによるエレクトロニカがノスタルジックなグラデーションを描く。バンド全体が呼吸をする様にエレクトロと人間味を行き来し、ジェフ・バラードのドラミングが見事に紡ぎあげる。

■Joel Ross / KingMaker
[Spotify] [Apple Music]

2019年に最も飛躍したのは彼以外にいないでしょう。シカゴ出身のヴァイブ奏者による満を時したデビュー作。作編曲やグルーヴ、技術の高さは言わずもがな、リズムやドラミング、音響面を重要視されている現行ジャズ界で対等に渡り合える存在は稀有だっただけに、各所から引っ張りだこになるのも納得。鍵盤楽器として、打楽器としてヴァイヴの魅力をも最大限に引き出した、まさにイントロデューシング・ジョエル・ロス。

■Junius Paul / Ism
[Spotify] [Apple Music]

AACMに所属するベーシスト、ジュニアス・ポールのデビュー作がInternational Anthemから。プロデューサーとエディットにはマカヤ・マグレイヴン。現代的なビート感覚の塩梅の妙。ヒップホップ以降のビート感覚と、フリーからスピリチュアルの意匠引き継ぎ噴出させるエネルギッシュさと、モードとかスピリチュアル以降のヒリヒリするようなセッションを同列に並べて聴かせるのはシカゴ・シーンならでは。

■Kassa Overall / Go Get Ice Cream and Listen to Jazz
[Spotify] [Apple Music]

Vaperwave〜Lo-Fiヒップホップなどの質感先行の作品が多い昨今。チルアウト感満載のザラついた音像に、アブストラクトさをも確実に潜ませる。クリス・デイヴがヒップホップ〜ネオソウル的なドラムの申し子なら、カッサはその後の”まだ名前のついてない音楽”のドラムの申し子。

■Kendrick Scott Oracle / A Wall Becomes A Bridge
[Spotify] [Apple Music]

現代随一の技術とセンスを兼ね備えるバンドによる最高傑作。構成する音の全てに意味があり、音の集合体として美しく響く。言葉に出来ない聴き心地良さは各人の技術の高さを物語る。

■Kevin Hays & Lionel Loueke / Hope
[Spotify] [Apple Music]

ケヴィン・ヘイズのイマジネーション豊かなピアノと、リオネル・ルエケのアフロセントリックかつパーカッシヴなギターが交差するデュオ作。各自の持ち曲を繊細かつ素朴に彩る。ビル・エヴァンスとジム・ホール以降、こんなに素晴らしい作品はなかった気すらする。

■Kit Downes / Dreamlife of Debris
[Spotify] [Apple Music]

ソロ・パイプオルガンによる前作「Obsidian」の指向を、盟友のサックス奏者トム・チャレンジャーの他、チェロ、ギター、ドラムを交えて押し進めた意欲作。ピアノとの切り替えや、サックスのブロウ、無機質なギターと呼応させることで「呼吸をしない怪物」とも評されるパイプオルガンすら深呼吸させ、深淵の世界へと誘う。

■Kris Davis / Diatom Ribbons
[Spotify] [Apple Music]

エッジーな楽曲、フリージャズはもちろん、ミニマルミュージックや電子音楽、前衛音楽をも飲み込んだ圧巻の音像を描く。エッジーな楽曲が並んでも聴き疲れしないのは、錚々たるメンツであることはもちろん、カオスになっても騒音にはならないギリギリを攻めるクリスの綿密な作曲性が現れているようにも。

■Lage Lund / Terrible Animals
[Spotify] [Apple Music]

エフェクターを大々的に取り入れギターカルテットのサウンド面での拡張と、これまでの優等生ぶりを打開した意欲作。単発でレビュー書いてますのでそちらもどうぞ。

■Linda May Han Oh / Aventurine
[Spotify] [Apple Music]

リンダ・オーの新作、旦那であるファビアン・アルマザンの『Alcanza』と地続きなポストクラシカルを感じさせる弦楽とのシームレスで流動的なコンポジション、それに加えて膨よかなコーラスワークとドラマチックな展開、一糸乱れぬ即興とで、現行ジャズを象徴する一枚。

■MARK GUILIANA / BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC!
[Spotify] [Apple Music]

レゲエを電子に、電子を人力に。当代随一のドラマーによるビートミュージック・プロジェクトの最新作。ジャズ・プロジェクトも並行していただけに、陶酔感覚はそのままに、ライブ感やバンド感が増しウォームな印象をもたらしている印象。抜群のレイヤーの重ね方もBIGYUKIを始め先鋭が集まったからこそでは。

■Mary Halvorson & John Dieterich / A Tangle of Stars
[Spotify] [Apple Music]

退廃性とフォーキーさを併せ持ちポストパンク〜ニューウェーブをも派手射程距離に置くメアリー・ハルヴォーソンと、ディアフーフのジョン・ディーテリヒとの今作は、個性や表情を浮き彫りにするギターデュオというフォーマットの中でも随一の相性と完成度だろう。アメリカーナを感じる美しいメロディからカオスまで実に表情豊かな作品。

■Miguel Hiroshi / Oníriko Orinoko
[Spotify] [Apple Music]

鎌倉で生まれで親近感を感じる名前を持つスペインのパーカッショニストによるデビュー作。スペインはもちろん、メセニーやカミラ・メサらにも通ずる南米志向を思わせるの色彩豊かさ、ワールドワイドなリズム言語や打楽器のプリミティヴさを浮き彫りにする楽曲を、シャイ・マエストロやペトロス・クランパニスらとのトリオや、打楽器のソロなどバラエティ豊かな編成で魅せる。

■Nathan Schram / Oak and the Ghost
[Spotify] [Apple Music]

ループやポスプロダクションなどヒップホップ的な制作アプローチを行った弦楽四重奏アタッカ・クァルテットのネイサン・シュラムによる意欲作。現代的で陶酔感覚抜群なサウンドコラージュと、弦楽の繊細さや空気感、インディーロック的な趣きが調和する。New Amsterdamだからこそ送り出せたインディー・クラシックの新章。

■Nitai Hershkovits / Lemon the MOON
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RawTapesからのデビュー作、enjaからのソロピアノ作の延長であることはもちろん、参加作でも培った技術やセンスをひけらかすことなく、宝石のような美しさと、水彩画のような繊細さでまとめた作品に。トリオながらレイヤー感覚があったりと、メンバーはもちろんリジョイサーのプロダクションがさすが。

■Or Bareket / 33
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イスラエル出身のベーシストによる2nd作品。特にニタイ・ハーシュコヴィッツがRaw Tapesでやってきたドリーミンなサウンドメイキングや、ソロ作でみせたクラシカルなピアニズムなど、キャリアを引き出し総括して抜群のイスラエリ・ジャズへと昇華した意欲作。ヴィシャイ・コーヘンやオメル・アヴィタルら先駆者とは違ったリーダー格ぶりを魅せて新世代イスラエルの幕開けを予感させる。

■Petros Klampanis / Irrationalities
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ギリシャ出身のベーシストによる、いままでのキャリアの全てを生かした初にして最高のピアノトリオ作。色彩感覚豊かな作曲性や細かいテクスチャーへのこだわりにより、もはやピアノトリオという枠を逸脱するほどの完成ど度。強弱どこまでも美しく弾けて完璧なまでの歌心を持つ、ECMからも作品をリリースしているクリスチャン・ランダルにも注目。

■Rajna Swaminathan / Of Agency and Abstraction
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インドの打楽器ムリダンガム奏者のRajna Swaminathan(読み方分からない)によるデビュー作。一聴、インドの伝統音楽っぽく聴こえるが、パーカッションの陶酔感覚に現代ジャズのアンサンブルの方法論が効いている印象。インドとジャズを結ぶ最高のデビュー作に。ファビアン・アルマザンのBiophliaからのリリース。

■Remy Le Boeuf / Assembly of Shadows
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双子の兄弟とストリングスを交えた室内楽的ジャズを聴かせたレミーによるラージアンサンブル作品。単独デビュー作では随所に行き届いた美意識でフェロウシップ以降を思わせる抜群のバンドアンサンブルを聴かせたが、その意匠を引き継ぎ、色彩豊かに心象風景を美しく描き出した傑作を生み出した。リーダー作も素晴らしかった在米のピアニスト/コンポーザー:加藤真亜沙も参加。

■Resavoir / Resavoir
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チルアウトでオーガニックな質感が心地よい、トランペッター:トム・ミラー率いるコレクティブのデビューアルバム。ヒップホップ的なレイヤーの重ね方や、ジャズ的な即興性はさることながら、コーラスやストリングの交えた美しさはカルロス・ニーニョやミゲル・ウッド・ファガーソンらとも呼応する。ブランディー・ヤンガーに客演させたり時代性やスピリチュアリティをも介入させるのはシカゴならではかも。

■Robert Glasper / Fuck Yo Feelings
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ジャズとヒップホップ、どちらの世界に目を向けてもグラスパーとそのチームにしか作り出せないであろう、即興的に録音された演奏をベースに作られた圧巻のミックステープ。映画”ブルーノート・レコード ジャズを超えて”を見ると、ジャズか否かなんて言葉でこの作品を片付けることはできない。

■Ryan Keberle & Catharsis / The Hope I Hold
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カミラ・メサを要する”カタルシス”名義の最新作。室内楽的なアンサンブルの親密さは踏襲しつつも、今までよりもフレキシブルに演奏を繰り広げている印象で各人の技術の高さを思い知らされる。加えてフォーキーさも色彩の豊かさも段違いに色濃く。

■Sasha Berliner / Azalea
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ギタリストを中心にエフェクターによるサウンドの拡張は積極的に行われているが、ヴィブラフォン奏者サシャ・ベルリナーのによる今作もその好例と言えるかも知れない。ヴァイヴ独特の揺らぎにエフェクトと、モーガン・ゲリンによるEWIが繊細に絡みあいレイヤーを紡ぐ。NYの水準の高さを感じさせるコンポジションと技術力もさすが。

■Snarky Puppy / Immigrance
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現代最高のコレクティブによる最高傑作。ワールドワイドなリズム言語や、ファンク、フュージョンなどを飲み込んだ各人の音楽的なバックグランドが作る英知の結晶。

■Theo Croker / Star People Nation
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前作までのカマシ・ワシントンらに通ずるファンクネスやアフロスピリチュアリティを色濃さはやや影を潜め、エフェクトやシンセを巧みに漂わせ、未来とも接続する様な都市かつ現代的でクールな印象に。新世代のドラマー:カッサ・オーバーオールやピアニストELEWの参加にも注目。

■Yaron Herman / Songs Of The Degrees
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エレクトロニクスによるサウンドの拡張や、ジヴ・ラヴィッツとの人力テクノ作を経てピアノトリオへと挑んだ原点回帰的作品。キース・ジャレットさながらのイマジネーション豊かな唄心には関心するばかり。

□2018年版はこちら


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