上海劇場

梅蘭芳、芥川龍之介、そしてこれから

上海は中国大劇院と蘭心大劇院。いずれも伝統ある劇場です。かつて京劇のスーパースター、梅蘭芳の演技を芥川龍之介が鑑賞した劇場でもある。

中国大劇院では、世界コメディフェスティバルが行われている最中。初日と二日目のトップバッターとして日本代表のコメディがライブで上演されました。700席ほどの劇場はほぼ満員。しかもほとんどが中国人のお客さんでした。さすがにライブの新喜劇は吹き替えできません。字幕で対応していましたが、笑いのツボが中国の観客に伝わるのだろうか?

杞憂でした。まさに笑いの渦。隣席で、はじめは仏頂面だった来賓の一人も、開始後10分もすると体を震わせ始めました。笑うと沽券に係わるみたいな紳士でしたが、ひきつった顔から涙が出ています。

フィナーレでは会場とステージがまさに一体。帰り道では、出演者を囲んで中国人と日本人観客が超盛り上がりのエール交換をしていました。最近はやりの表現を使えば「上手くいき過ぎ、面白過ぎ」だったと思います。

他方の蘭心大劇院。ここでは、女装した白人の演者が、大音響のBGMに合わせてコミカルなショーを演じていました。ショーのレベルは決して高くなく、同種の日本のものの方がはるかに洗練されています。それでも、かぶりつきに陣取った若い中国人たちはカクテルを飲みながら盛り上がっていました。ちょっと、1980年代の六本木を思い出しました。こうしたショーも日本物を上演したらもっともっと「受け過ぎ」になると思います。

日中関係が好転しそうです。政治外交問題はまだまだ複雑で一筋縄ではいかないと思いますが、文化交流は大丈夫でしょう。向こう半年の間に、日中首脳の相互訪問も期待されています。

日中両国民の底抜けの笑い顔を常に見ていたいものですね。

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