見出し画像

ヒレ肉は大腰筋!!体育座りで鍛えよう

大腰筋とは、牛や豚でいうところの『ヒレ肉』である」というのが前回のホリ研マガジン「進まないバタアシ」の中で私の一番の驚きポイントだったのですが、みなさまご存じでしたか?

横隔膜が「ハラミ」だというのはもはやフィットネス界の鉄板ネタなのでご存じの方も多いのでは?と思いますが、レッスン中あれだけ「大腰筋!大腰筋!!」と連呼している私が「大腰筋=ヒレ」を認識していなかったとはお恥ずかしい限りです。

ヒレ肉の塊が長いのを見れば気付いてもよさそうなものですけどね…。

大腰筋とは?

さて、脂身が少なく柔らかくておいしいヒレ肉…、ではなく人間の大腰筋は、腰の骨から骨盤の中を通り、脚の付け根の内側に付いている筋肉です。

画像1

筋肉の中で唯一、上半身と下半身をつないでいます。

下半身を動かしても上半身がつられないのは大腰筋のおかげ!!

腰のカーブを保ち、股関節を屈曲させるのが主な働き、というと難しいですが、要は脚を前に出すときに縮み、後ろに出すときに伸びる筋肉です。

この筋肉、現代人、特にデスクワークの人のものはとても衰えやすい傾向があります。

お腹の力が抜けて、だらんと腰を丸めて座っている姿を想像してみてください。

画像3

腰の骨と脚の付け根の間の距離が短くなって、大腰筋は縮んでしまっています。

ここで注意したいのは、脚を動かそうと意識的にこの筋肉を縮めているのではなく、無意識にその姿勢になり、しかも長い時間そのままでいることによって、いつの間にか自分の意志ではなく縮んだ状態が続いてしまっている、ということです。

このように無意識に縮められてしまった筋肉は、いざ力を発揮しようとしても意識的に縮めることが難しくなってしまいます

また、ストレッチで伸ばそうとしても頑固になってしまってなかなかうまく伸びません。

骨盤の底の座骨から膝の裏につながっている腿裏の筋肉、ハムストリングも同じ理由で、普段縮んでいるくせにいざ自分の意志で縮めようとすると縮めづらく、伸びにくい筋肉の一つです。

前屈で手が床につかない、脚を伸ばして座る長座ができない、空手の回し蹴りやバレエのグランバットマンなどの脚がちっとも上がらない…これらのお悩みの原因として真っ先に思い浮かぶのがハムストリングの硬さです。

そして同時に大腰筋も硬く凝り固まっていると思って間違いないでしょう。

これらのお悩みがある人は、腰痛を抱えていることも多く、また本人に自覚はなくても歩く際に大腰筋をうまく使えず、膝が曲がったまま前のめりにちょこちょこ歩くようになってしまいます。

また、前腿や腿の外側が発達してしまい、脚が太い、形が悪いというお悩みの原因もハムストリング、大腰筋の硬さであることが多いです。

大腰筋を意識して使う

大腰筋を使う代表的な動きは歩くことです。

腰から脚につながっている大腰筋をイメージして、脚は大きく前に出しましょう。

この時に前脚側の大腰筋が縮みます

同時に後ろ脚もギリギリまで地面につけておき、後ろに長~く伸びるようにします。

この時に後ろ脚側の大腰筋が伸びます

つまり歩くということは大腰筋をリズミカルに伸び縮みさせるということですね。

この意識があるだけで足取りが軽くなり、確実に大腰筋に刺激が行きます。

大きなストライドでのびのびと歩くようにしてみましょう。

前回のホリ研マガジンのテーマだった「バタアシ」もよいですね。

重力から自由になった分、力を抜いて脚を動かせるので、腰から滑らかに動かすイメージでバタアシをしてみましょう。

さらに大腰筋を鍛えて緩める

もう少し直接的にアプローチしたい、という人におすすめなのは大腰筋のバランスを整えるエクササイズ「ランジ」です。

画像2

有名なのでやったことがある人も多いのではないでしょうか?

よく知られているエクササイズではあるのですが、注意点は意外に知られていないように思います。

その注意点とは

後ろ脚を下方向に押さないこと

「伸ばしている!!」という感覚を得たいがために、ついつい後ろ脚をぐいぐい下に押してしまいがちですが、それでは筋肉はあまり伸びません。

それどころか、骨と骨をつないでいる繊維、靭帯を伸ばし過ぎて脚の付け根を痛めてしまう恐れもあります。

前述したように、大腰筋の始まり(起始)は背骨の骨の腰部分、終わり(停止)は脚の付け根、太腿の骨の内側です。

筋肉を伸ばすためには、筋肉の起始部と停止部の距離を物理的に離す必要があります

後ろ脚を下に押すより、腰の骨を少し上に持ち上げるように意識してみましょう。

息を吸うときに心臓の位置が上がるようにイメージしてみると効果的です。

そして、前脚側は腿の骨が胴体に近づいている、つまり大腰筋が縮んでいる動きになります。

ついつい伸ばしている後ろ脚側に意識が向きますが、縮めている前脚側にも意識を向けてみましょう

大腰筋をしっかり縮めている意識があると、前脚の膝が上がってこないので後ろ脚をぐいぐい下に押す必要がなくなります。

このようにランジは大腰筋を伸ばすだけでなく、縮める動きでもあるので、左右1回づつより、2回づつぐらいやった方が効果があるかもしれません。

前脚側がつらい(大腰筋を縮め続けるのがつらい)という人は、簡易版としていわゆるアキレス腱を伸ばす動き(立ったまま脚を後ろに引く)でも十分効果があります。

腰から後ろ脚の付け根が離れていき、骨盤の前側と太ももの骨の間に隙間ができるようにイメージしてみましょう。


大腰筋を意図的に縮めるのにもってこいなトレーニングをもう一つご紹介します。

それは「体育座り」。

子どものころ学校でやらされた時には、腰を丸めておなかの力をだらーんと抜いて座っていたと思いますが…

大腰筋をジワリと縮め、起始部分である腰の骨を、停止部分の脚の付け根の内側に近づけてみます。

おそらくお尻や腿の外側に余計な力を入れずに骨盤が立ち、座骨が下に向いたのではないでしょうか?

大腰筋を意識して美しい体育座りができるようになると、ピラティスのローリングライクアボールやオープンレッグロッカーなどの転がる系のエクササイズもうまくいくようになりますし、シザーズやダブルレッグストレートストレッチ(一般的には「レッグレイズ」と呼ばれるもの)などもより安全に、確実な効果が期待できるようになります。

(逆に言うと、きれいに体育座りができないうちに難しいエクササイズにトライしてしまうと大腰筋をうまく使えず、腰などを痛める可能性もあります。)

やってみると気付くと思いますが、この体育座りを正しい姿勢で長くキープすることはなかなか困難です。

子どもにこの姿勢をさせて、長い時間人の話を聞かせるなんて拷問に近いんじゃ、なんて思いますがそんな話はまた別の機会に。

大腰筋を自分の意志で縮め、また緩めることができるようになると、様々な動きが楽になるばかりか、ポッコリお腹が引き締まり、腰痛を防ぎ、脚のラインも美しくなります。

最高級の部位であるヒレ肉、もとい、大腰筋に磨きをかけていきましょう♡


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?