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頭をぶつけた!「応急処置の基礎知識を学ぼう〜頭部外傷 脳震盪編〜」

こんにちは。

ケガをした時にどうしていいかわからない方が多いかと思います。実際こういう時どうしたらいいかと連絡くれる保護者、もしくは選手本人もいます。

今回は

応急処置の基礎知識を学ぼう!〜頭部外傷 脳震盪編〜

捻った、ぶつけた編はこちらから↓↓↓


ということで早速いきましょう!


脳震盪とは?

まず、脳震盪って何?というところからお話していきます。

脳震盪とは、頭を強くぶつけたり、揺さぶられたりすると、脳にひずみが生じることによって意識がなくなったり、記憶を失ったりするものです。重症の場合は、生命に危険を及ぼすことになります。

スポーツ現場においても的確な判断と対応が求められています。

ここで今年あった脳震盪の後遺症の記事があったので紹介いたしますね。

私もバスケに関わっているだけあって他人事ではないなと痛感いたしました。

ぜひ、ご一読ください。


遭遇したらどうすればいいの?

競技中選手同士で頭をぶつけた、等よくあるシチュエーションかと思います。

実際現場に居合わせたらどうするか。

まずは安全の確保です。以前の捻った、ぶつけた編でもお伝えしましたが、その場所はボールが飛んできたり、人とぶつかったりする危険はないか確認しましょう。

選手が全く動けない状態ならプレーを中断してもらい、その上ですぐに救急車を呼ばなければいけないかを判断しなければいけません。

頭を打っているため、下手に動かすと脊髄等の損傷を助長し、場合によっては重篤な後遺症を起こしてしまうことがあります。

ですから、応急処置に慣れていなくて、自力で選手が動けないようならその場で救急車の到着を待ちましょう。

動ける場合は安全なところに移動し、その後の評価をしましょう。


評価①救急車を呼ぶか?様子を見るか?


*意識はがない、または一瞬でも失った

*反応が鈍い

*嘔吐した

*発作、痙攣がみられる

*手足に力が入らない、痺れる

*激しい頭痛

*イライラしていて攻撃的である

*倒れて起き上がれない

上記の症状が見られる場合には迷わず救急車を呼び、医療機関へ受診しましょう。

前述しましたが、自力で起き上がれない場合は、プレーを中断してもらい無理に立ち上がらせたりせず、安全が確保できればできるだけその場で救急隊の到着を待ちましょう。

脳震盪は命に関わります。迷ったら呼びましょう。


評価②その他の症状

動けていても以下の症状があれば脳震盪を疑います。

*外から見てわかる症状

・まっすぐ歩けない、ふらふらしている

・動きが鈍い、遅い

・ボーッとしている、うつろである

・見当違いをしている、質問に正しく答えられない


*自覚症状

・頭や首が痛い

・嘔吐、嘔気がある

・めまいがしてフラフラする

・眠気が強い

・ぼやけてみえる

・集中できない

・覚えられない、思い出せない

等の症状がないか確認しましょう。


評価③記憶の確認

質問の内容としては受傷前後の記憶があるかどうかも含め確認します。

・今日の会場は?場所はどこ?

・今は試合の何回?(何Q?、前半?後半?等)

・前回の試合は勝った?負けた?

・対戦相手は?

等確認して答えられないようであれば脳震盪を疑います。


その後の対応は?

脳震盪が疑われたら必ず医療機関へ受診をしましょう。

また、一人きりにしてはいけませんし、最初の1〜2時間は寝かせないようにしましょう。(意識が失っているか判断がつかないため)

薬は原則として飲まずに受診しましょう。

また、家までの帰宅方法を確認して1人できている場合には保護者の方に迎えに来てもらう、それが難しいのであれば大人が必ず付き添って帰宅し、保護者への説明も必ず行いましょう。

お風呂はやめてシャワーだけにする、誰かと同じ部屋で過ごす、寝る等の対応が必要かと思います。



復帰は慎重に。

脳震盪と診断されて、その後のスポーツ復帰は特に慎重に。

脳震盪後、完全に回復をしていない状態で2回目の受傷はセカンドインパクトシンドロームと言って、軽度なものでも重篤な脳損傷を引き起こすことが多いとされています。死亡率が高く、後遺症も残すことが多いです。無理な復帰は禁物。ボクシングでは最低3ヶ月復帰までに要したり、協議によってさまざまですが、死ぬ危険がある、というのを必ず頭に入れておきたいですね。

復帰のプロトコールを参考までに載せますが、あくまでもできる限り医師や専門家の指示のもと、段階的に復帰すること、症状消失してから運動を再開することが必須かと思います。

まずは復学のプロトコールから

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で、こちらが、競技復帰のプロトコール

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どちらも1日でちょっとずつ全部復帰させるのではなく、

1つ目の段階大丈夫→症状がないか経過を見る(24時間以上)→次のステップへ

等時間をかけて少しずつ強度を上げるようにしましょう。

もし症状がでたら逆に1つ前の段階に戻ります。

一般的に筋力トレーニングは復帰段階の後半から行います。



まとめ

上記、ざっくり説明致しましたが、何度も言いますが、脳震盪は命に関わります。

知っておくことで誰かを助けることができるかもしれません。


*迷ったら救急車、医療機関へ受診*

*復帰は特に慎重に*


また、JFAのHPにもありますが、脳震盪を疑った場合のツールがあるのでご紹介いたします。

代表者のバッグに入れておく等、チームで一つ保管しておくともしもの時に安心ですね。


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参考

(1)JFA(日本サッカー協会)HPより

(2)福林徹,篠塚昌述,スポーツ整形外科マニュアル 新版,2013

(3)荻野雅宏,重森裕,荒木尚,永廣信治,中山晴雄,溝渕佳史,Paul McCrory,スポーツにおける脳振盪に関する共同声明 ─第 5 回 国際スポーツ脳振盪会議(ベルリン, 2016)─ 解説と翻訳,2019

(4)阿部(平石) さゆり,スポーツ脳振盪とその一次,二次,三次予防法,2017

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